そんな中、前に声をかけた別店の嬢
(AKBの茶髪のさしこみたいな顔だった)から電話があった。 
さしこは今の店辞めてこっちに来るとの事。
突然の申し出に喜びもしたが裏で怖いお兄さんが 
「よーも引き抜きしようとしてくれたなワレ!」とか
言われるのかとも考えた。 けど俺に選択肢は無い。ふたつ返事でOKを出す。
とりあえず来る前にキレイに辞める事だけをお願いした。 
なんだかんだあったみたいだが結果としては5日後にうちの店に
さしこはやってきた。

 

さてそうなると次の問題は配送の問題が出てくる。 
今までは武蔵の店のドライバーを借りれば良かったが武蔵の店は
「1ドライバー1嬢」の設定だったので運びを依頼する事が出来ない。 
色々悩んだ結果、電話は携帯に転送し、俺自体が運ぶ事にした。 
車で受注受ける→さしこ運ぶ→待つ→次の仕事
と言う感じで、俺とさしこのふたりぼっちのデリヘルが展開されていった。 

ひとまずこれで俺の店は武蔵のレンタルも合わせて在籍3名w 
No3は正直使いものにならんレベルだったので丁重にお断りした。 
武蔵の店はHPがなかったので許可をもらってNo1と2の写真を
モザイク無しで掲載した。すると電話が鳴る鳴るw 
この頃にはリピートも合わせて日に6本くらいのアベレージを
たたき出すようになっていた。配送後の空き時間にHPを
更新できるようにノーパソとドコモから出ていた56kカードも購入。 
車も乗用車からハイエースに買い替え移動する事務所として
日々配送更新を繰り返していた。 

 

今まではさしこは受注の空き時間は自宅に送り届け、
俺はそのマンション近くで待機。
注文が入ったら迎えに行って…と繰り返していたが車が
事務所と化したのと、ハイエースにして後部座席が
快適になったのもあって、さしこは常に車に残るようになった。 
そうなるとやはり会話も増えてくる。今欲しいもの、
飼ってるハムスターの話、風俗始めた経緯…etc 
そこで俺は「なぜ前の店を辞めてうちに来てくれたのか」を聞いてみた。 
正直、めんどくさい人も現れないし、前の店からも何も無い。
ちょっと気持ち悪かったのもあった。 


答えは簡単だった。
「オーナーとつきあってたけど別れたから」だった。 
ここで俺の点と点がつながった。No1クラスの子は
オーナーなり店長なりが情で引っ張っていたと思った。 
これ今じゃ当たり前に思ってるけど、
当時そんな考えがないから本当に目から鱗だった。 

それ以降、粛々と受注は増え続け
一日にコンスタントに3本は受注できる環境になってきた。 
武蔵のNo1嬢がサービスいいのかリピートのお客様も出てくる。 
ただここで一つ根本的な問題が発生する。 
客「今回は前回と違う子で」 さすがに無理っす。と言える訳も無く、
武蔵の店のNo2をレンタルする。 

 

だが…このNo2がくせ者っつーかなんつーか。 
早い話No1より顔もスタイルも落ちるし接客がどうにも
良くないらしく客をすぐ潰す子だった。なぜNo2なのかと言うと武蔵の店の
嬢で7日出勤していたから最大公倍数が多いってだけの子だった。 
武蔵の店も慢性的に嬢不足に悩んでいて、一日の受注に対して
取りこぼす事が多い上に俺の店にも派遣するで武蔵も辛そうだった。 
ここで俺は「スカウトする」事を心に決めた。 

 

スカウトって言えば聞こえはいいが、要は引き抜き。 
業界が業界だけに引き抜きはおそらく御法度だろうし相当に
面倒くさい問題が発生する事は想像した。 
だがこれ以上武蔵に迷惑をかける事も出来ないし、
俺は腹をくくる事にした。 
最悪引き抜きがばれて、その上元々居た店が少々面倒な感じだった
としても命までは取るまいと考えた。とりあえず同業種で
写真掲載されていてかわいいと思った子の
在籍している店に凸りまくった。 

 

結果としてやはりNo1クラスに近い子は
店もがっちりと高待遇で居心地が良いと言うのが結論だった。 
びっくりするほど店に愛着心のある子も多く
正直「風俗嬢」は金で転ぶだろうとたかをくくっていた。 
とにかく不思議だった。 
なぜ不思議と思ったのかと言うと武蔵の店のNo1は
こっそり俺に「移籍」を申し出てきた過去があった。 
武蔵の店のバック率にくらべて俺の店のほうがはるかに
単価が高かったからだと思う。


もちろん武蔵に不義理できないのでやんわりと、
しっかりと移籍は断った。俺の中で初めて同僚として話した嬢が
こんな感じだったので金で転ぶと思い込んだ部分も多いにあった。 
今は違うと断言できる。 

とりあえずデリを商売として始めるにあたって
システムもなにも解らないので武蔵の店に丁稚奉公で入店。
広告の出し方や業者の紹介、電話の応対、嬢との付き合い方やらなんやら… 
武蔵に教えてもらいながら自分の店の準備を進める。 
で、俺の店は高級思考で行く事に決める。 

 

もしもそれがこけたら安い店にシフトチェンジする算段もつけておく…
等々やる事は山のようにあった。武蔵の店は俺の印象では中流店。
コンセプトも無くただ無尽蔵にピンクチラシをくばり待つ…
当時としてはよくあるスタイル。俺はサラリーマン時代に「予算」「コンセプト」
「プレゼン」を叩き込まれたタイプだったのでなんのコンセプトも持たず
これだけ店が転がると言うか運営できる事に最初びっくりした。 
もちろん現金の入出金もかなりアバウト。でも問題無く店は運営されていた。 


時代背景としてこの頃は 
・ネットは「テレホーダイ」からISDNが主流に。ADSLはもうちょっと後。 
・デリヘルの広告と言えばピンクチラシ。 
・ファッションヘルスが主流。 
・ホテトルが普通に公に存在している。 
・テレクラもかろうじて残っていた。 
・援交と言う単語がチラホラ 
・女子は厚底ブーツみんな履いてた 

 

イメージこんな感じ。 
記憶が10年以上前で曖昧だから時代が混ざってるかも。


最終的に俺の店は当時としても高値の60分30Kの価格設定。
延長は30分単位で10K。 そのかわり、
かわいい娘しか在籍していない店として有名にしてやろうと考えた。 
武蔵の店のコンセプトとも被らないし共存出来るとも考えた。 
そして広告宣伝は正規の手法のみを利用。 
ピンクチラシは当時違法認定されだしたので安全策を取る方向に設定。 
で、広告はいわゆる風俗情報誌には一切載せずホームページで集客する事にする。 
今じゃあたりまえの事だが当時は正直画期的な試みだった。 
当時、新聞の三行広告で2週で3万~5万。情報誌のページは1Pカラーで20万。
風俗新聞の枠も7万~と俺にとっては高額だった。 
実際武蔵の店も広告費だけで月に200万くらい使ってた。これが長期に渡って
運営していくに際して一番のネックになると考えた。 
(実際はもっとネックになる事が山のようにあとから出てくるのだが) 
これで客の注文が入るのであればデリの時代が変わるとまで思っていた。 


で、ここで俺ホームページの勉強を始める。
とりあえず今となっては俺の黒歴史だがホームページビルダー買って作成。 
大学が美術系だったのでデザインも自分で作成。でもHPBじゃ思う通りに
作れない…でHTML勉強開始。 つっても当時のサイトなんて、文字と写真と
無駄にカラフルみたいなのが多かったし今みたいにCSSなんて無いから
なかなかに難航するも、それなりに満足の行くHPを完成させる。 
嬢の写真もモザイクだらけで、今で言えば著作権?食えんのそれ?
な写真張りまくってた。 
もちろんメールでの注文にも対応できるようにしておいた。 
そして黒歴史2だが、店のBBSまで設置w 
と…当時は画期的だったんだからね!! 


結局最後まで都合つける事が出来なかったのが嬢とドライバー。
テレクラ行ったり出会い系やってみたり色々したがまったく釣れず。 
援交の子は「働くって感じが嫌」とか言われて八方ふさがりに。
しかも「かわいい」で限定しているから更に門戸が狭い。 
最終的に武蔵に相談して、武蔵の店のNo.1をレンタルする事にする。 

手法と言うか契約はこう。 
・俺の店に注文入る 
・武蔵の店のドライバーがNo1嬢を運ぶ 
・売上も武蔵側で回収 
・閉店後、武蔵と落ち合い清算 

細かい部分は端折るが武蔵とは純利益を7:3で俺が7で話をつけた。 
30Kで注文が入れば15Kがまず嬢に。残りの15Kから1Kがドライバー。
残りを割るって事で俺の手元には9800円。 
広告費がほぼナシに近いのでここから経費を引いたとしても
1本で8000円は利益があった。 
とりあえず1日1本でもサラリー時代の給料ぐらいは稼げそうと判断。 
そして晴れて俺の店をオープンさせた。 
リーマン辞めて3ヶ月経ってた。 


オープンして1週間。 
電話は一切鳴らず。ただひたすら事務所でPS1で遊ぶ日々が続く。 
頭の中にさまざまな事が錯綜する。 
「リーマンのままがよかったんじゃ?」 
「方向性間違ったか?」 
「さすがに高いだろこの金額」 
「HP公開されてない??」 

正直、甘く見ていた部分が多く「初日から電話バンバンwww」
とか考えてた俺は心折れまくってた。 
どうしていいかわからない…どこが悪いか解らない…
毎日考えながらオープンから3週間電話は鳴らなかった。 


自分の貯金と武蔵の支度金を合わせて
半年は無給で楽勝持つ計算だったがどうにも焦る俺。
とりあえず注文が欲しい俺は、風俗新聞に広告を掲載。URLを載せ、
今で言う所の「詳しくはこちら」的な広告を作成してもらう。 
「これでダメなら安い店にシフトチェンジしよう…」
と心に決め掲載日を待った。 
ちなみに新聞を選んだのは、依頼から掲載のサイクルがもっとも
早かったから。一番早いのは三行広告だがそれは無駄撃ちになると考え、
もっとも早く費用の少ない新聞を選択した。 
それでも掲載は三週間後。


そして待ちにまった三週間後。
開店時間を迎えPSの電源も入れず電話の前で正座待機。 
じっと待つ事四時間。22時過ぎに初の電話が鳴る。 
感動と驚きと興奮とで変にテンパる俺。 

俺「お待たせいたしました。デリバリーヘルスAです。」 
俺声裏返る。 

客「えーっと注文したいんですが」 
俺「承知しました!」 
客「実は初めて注文するんですが…」 
俺「ではシステムをご説明させt」 
客「いや内容はHPで見ているので大丈夫です」 

俺喚起。
見てくれたって事だけで腹の底から感動した。 
THE初受注。嬉しくてちょっとちびった。 


武蔵に早速電話し、嬢の配送を依頼。
武蔵に「やったな!」と言われまたニンマリ。 
あとは武蔵に任せるだけとなる。 
効果が出た事を実感しアクセス解析見ると…500ビュー! 
いや、鼻で笑うような数字だけど前日まで10ビューとかだったので
本当に嬉しかった。 

その後も1時間おき程度にシステム確認の電話や注文等の電話が入って 
なんだかんだでその日は4本の受注。単純計算で32Kを俺は
ゲットした事になる。これがもしも毎日続けば…月収100万近く!
等とまた性懲りも無く甘い考えが頭をよぎる。 
その日は武蔵と酒飲みまくった。 

当時の俺の月給は手取りで23万くらい。
ちなみに土建屋の設計。大きな会社じゃなかったけど
それなりに楽しくやってた。25歳独身一人暮らしとしてはまぁまぁ
上々の金額。でも、そんな話聞かされたら若かったってのもあるけど
俄然金に色気が出る駄目な俺。 
武蔵って男は、
今と違ってある程度内容さえ選ばなければ簡単に就職出来て、
仕事に困るなんて考えられなかった時代に仕事に困りまくってた男。 
とにかく物覚えと要領が悪く、かつ一本気な性格の為に仕事が
バイトだろうと社員だろうとすぐクビ切られるか辞めてた。 
そんなヤツが今や手取り月収500万と聞いて正直焦りと妬みと尊敬が
入り交じる不思議な感情を抱いたのを今でも覚えてる。 


武「おいしい商売だとおもうぜ」 
俺「…」 
武「実は今日会いたいってのもあるけどもういっこあるんだ」 
俺「?」 
武、セカンドバックから帯札を3つ取り出し机の上に置く 
俺、再度( ゚д゚)ポカーン 
武「お前には色々お世話になったしこれはそのお礼」 
俺「バカかそんなの貰えるわけないだろ」 
と言いながら帯札をガン見の俺w
 
確かに武蔵は金がとにかく無かったから
昔から飲みに行っては奢ってたし 家賃払えなくて
俺ん家に転がり込んできたり時とか他にも色々面倒見てた。 
まあツレだから面倒見てた感覚もなかったが。 


武「ただ条件っつーかお願いがあってさ」 
俺「なに?」 
武「この金受け取ってお前もデリやってほしい」 
俺「?!」 
武「ぶっちゃけ俺バカじゃん?みんなに迷惑ばっかかけてたし。
で、そんな俺とずっとツレなのはお前だけなんだよ」 
俺「…」 
武「俺さ、お前と一緒に夢見たいんだよ」 
俺「?」 
武「ふたりで金稼いでさ、ふたりで高級ホテルのスイートで
シャンパン空けてジャグジーに入るんだよ」 
俺「なんだそれw 発想がバブルw」 


武「俺、おまえにおごり返したりとかそんなんじゃなくてさ、
同じ立場で同じ位置で遊びたいんだ」 
俺「?」 
武「色々助けてもらったじゃん?それってすげーありがたかったけど
俺自身が情けなかったのもあってさ」 
俺「…」 
武「俺がそれをやり返す?ってかバカだから言葉わかんねーけど、
それは違うと思ったんだ」 
俺「…」 
武「俺も手伝うから一緒にやろうよ。
もちろん店も儲けも別。ライバルであり親友でありたい」 
俺「…」 
武「この金は、その準備金と今までお世話になったお礼と
一緒の立ち位置で居たい想いの三つ分」 

 

俺、次の週に会社に辞表提出。 

元々デリを始めようって思ったきっかけは 
友人が原因で始めることになる。
当時の俺は風俗は誘われたら行くレベルで好きって訳じゃなかった。 
その頃は定職もあったけどバブルが弾け銀行が破綻したり合併したりで 
会社は守ってくれない!だからこそ独立する時代じゃね?
みたいな風潮だった。 

 

で、色々調べたら自分の住んでいた地域は
意外にあっさり申請だせる事がわかったので申請。 
自宅にNTT回線2本引いてISDNで二つに割って4本の電話回線を確保。 
4本の回線を 1.店舗A 2.店舗B 3.店舗C 4.店舗D で申請を出す。
みんなは知ってるかなぁ…
当時は電話は権利制で5万~7万くらいしてたんだぜ?w

 

で、なにも考えずイキオイで申請出してるから
ここからが結構苦労する事になる。 
とりあえず始めるにしてもなににしても嬢が必要。 
ナンパもするしコンパも行くけど
伝説的な女たらしって訳でもないので 
そんな知り合いも居なければ引っ掛ける事も出来ない。 
しかも当時は副業感覚だったので、なおさらやる気も無い。 
申請は出したものの開店休業状態で2ヶ月ほどで頓挫。 
ってか広告も出してないから電話なんか鳴らねぇ。 

 

そんなある日、
始めるきっかけになった友人
(格闘家の武蔵に似ているので武蔵とします)と飲みに行く事に。 
いきなりベンツのSL600で登場。 金無くていつも
俺にもらいタバコしてたじゃんよww
すげー出世ww
「久しぶり1!!」とか言いながら出てきた武蔵、
当時でもあまり見かけなくなりつつある縦縞ダブルのスーツw 
MCMのセカンドバック抱えておまえドコのヤ○ザだよ!って風貌。 
いつもユニクロ(その頃のユニクロは今みたいにちょっと
オシャレなポジションになかった)だった男の変貌に
ちょっとビビる俺。 

ひとまず居酒屋に移動。安居酒屋でひとまず乾杯。 
後ほど後述するが、今思えば居酒屋だったのは武蔵の優しさだったと思う。 

 

武「びびった?なぁ?びびった?w」 
俺「びびったってかお前が金持ってそうなのにビビったわw」
武「銀行強盗してないぜ?」 
俺「わかってるww(ちなみに武蔵は体格も武蔵だが気は小さい)」 
武「やっぱアレだって。お前も店頑張れって。
申請出したつってたろ?なんでやんねーの?」 

俺「ばかか、おまえと違って女集められないし時間もねーよ」 
武「時間は寝なけりゃいいんじゃね?女は知らね」 
俺「ところでお前月どれくらい稼いでんの?」 
武「売上だけなら月1500万くらい」 
俺「はぁ?!?!?!」 
武「半分は女持ってくし、あとはごちゃごちゃと経費で飛ぶけど
月500は手元に残るぜ」 
俺「( ゚д゚)ポカーン」 

マジで俺こんな顔なってた。