今回は、”ナノ”について注目してみます。
ナノテクノロジーとか、ナノ化という言葉はみなさん聞いたことがあるも思います。
あらゆる分野の至る所で使われていますよね。
化粧品でも然りです。
最近はなんでもかんでもナノ化するのが流行りみたいですが、そのナノ化ってなんなのでしょうか。
まず、ナノという単位について、
ナノ nano(記号:n)
10億分の1という意味です。
ミリ(m)、マイクロ(μ)、ナノ(n)、ピコ(p)…と1000分の1ずつ小さくなっていきます。
1nm=0.0000001cmです。
ピンとこないですよね。
それくらい途方も無い小ささだということです。
では、ナノ化とはどういうことなのでしょう。
簡単に言えば、”みじん切り”です。
化粧品の成分は、自然由来であろうと人工的な化合物であろうと、全て化学物質です。
化学物質はCとかHとかOとか、中学生の頃に習った原子の周期表(すいへーりーべーのやつ)に出てくる原子から成り立っています。
その原子がたくさん結びついて、化学物質や我々の体を構成するタンパク質になっています。
原子の大きさは、平均的に0.1nmくらいです。
つまり、化学物質をぎりぎりまでみじん切りにすると0.1nmくらいまで小さくすることができます。
例えば、コラーゲンをナノ化してみるとしましょう。
コラーゲンとは、タンパク質の集合体で、さらにタンパク質とは、アミノ酸の集合体です。
アミノ酸の分子量は数百程度ですが、それが集まって分子量が数万のタンパク質を構成しています。
分子量といわれても、分かりづらいとおもいます。
分子の大きさでいうと、タンパク質が10~数nmですので、コラーゲンだと数百nmといったところでしょうか。
皮膚の一番外側でバリア機能を発揮している角質層の細胞と細胞の間は50nmくらいなので、コラーゲンなんでデカすぎて皮膚に浸透することはできません。
そこででてくるのがナノテクノロジーなわけです。
いざ、コラーゲンナノ化!
コラーゲンをぶちぶち切っています。
全部タンパク質にまでぶった切ったら、皮膚には浸透できるサイズになります。
もっとぶちぶち切ってアミノ酸まで小さくすれば、余裕で皮膚に浸透していきます。
これでお肌もちもちぷるぷるー!
というわけにはいきません。
お気づきでしょうか、ここまでくるともはやコラーゲンの跡形もないですよね。
ただのアミノ酸、あるいはアミノ酸がいくつか繋がったタンパク質です。
コラーゲンとは全くの別物です。
ある一定のアミノ酸がくっついたある特定のタンパク質だけが、コラーゲンの役割をしているわけで、ぶちぶち切ってしまうと、全く意味を持たなくなってしまうのです。
あくまで、これはコラーゲンの例ですが、ヒアルロン酸だろうがなんだろうが、一緒です。
なにかお肌に良い成分であったとしても、ナノ化してしまえば、効果もくそもありません。
小さくして皮膚に浸透させようなんて考えが甘いのです。
ましてや、いろいろな化粧品原料がナノ化されていますが、それが全て安全どうかは不透明なことが多いです。
本来ヒトの皮膚というのは、外部からの侵入を防ぐ機能があるので、そこに無理やり何かを浸透させようということこそがトラブルの原因になるのです。
私個人としてはナノ化に関しては全く信用していないですし、むしろ胡散臭いなと思っています。
みなさんの考えはいかがでしょうか。
