実習中のある日。


「ねぇーねぇ。僕、思いついたんだけどさぁ」


長い前髪をれんれんに、結ばれながら


みんなが、昼食を食べてるときにあおは、言いだした


「なんを?」


「うん。みんな年がバラバラでさっ、名前とか呼びにくくない?」


「まぁ、そりゃー・・・」


「いんじゃね?さん、つけとけば」


「でも、なんか他人な感じがするよね・・・」


「そー!でね、僕、みんなにあだ名つけようと思うんだ!」


「ふーん、いいじゃん」


「うん。面白そう(笑」


「あー、ダメっすよ。あおを調子に乗せたらなんて名前をつけるか分かんないっすもん」


「え、もっと面白そうじゃん。やろーよ」


「とりあえず、れんれん、ちーちゃんでしょー?」


「・・・・・れんれん」


「れんれん(爆笑)ウケる」


「んで、りんりん、翔ちゃん、マオちん(笑」


「は!?まって、マオちんってなに!?」


「えー、いいじゃん。可愛いよ❤」


「マオちん!いいよ(爆笑)」


「れんれん、りんりんの方がウケるし(笑」


「そーかなぁ?僕はりんりんって呼ばれるのに抵抗ないけどなぁ」


「そりゃーりんりんは、そのままな感じがするしねぇ」


「えーおれは?おれは?(笑」


「・・・・恭兄?」


「ずりー!それ、ガチで!え、普通すぎじゃん!」


「よしよし、あおたん、良い子やねぇ」


「あおたん(笑)、お前、あおたん決定」


「・・・・あおたん、マオちん(笑)」


「だれかと対になってんのかコレ!?(笑」


「んー、あとはねぇ、とーや、和兄、孝さん」


「え!なんで、最後の方は普通なわけ!?」 



「マオちん、うるさーい。・・・で、おれは?」


「ゆーしん?んー・・・ゆーしんでいいゃ」


「よしよし、あおたん、良い子やねぇ」


「あ、コラ。パクんなって(笑」


悠心と、恭兄がじゃれてると


「・・・みんな、急に敬語使わなくなったよね」 



「あー、あだ名効果?(笑」


「ほらー。ネ?みんな良い感じ❤」


「良い感じ❤じゃねーよ!」 




「そーだよ!全然よくねーよ!」


「いいじゃーん。馴染みやすいよ」


「てめーは黙ってろ」


2人は息をそろえて言った


「ゆーしんの、ゆーとーりだよぉ?」


「良くねーって!ほんとに、皆使わないでよ!」


「そーだって!ほんとに、マジ考え直せよ!」 



「いいじゃん(笑)マオたん、れんれん?」


「うん、かわいいよー?」


「そーだって。もう決まったことだろぉ?」


「やだよ!てか、決まってないよ!」


「そーだって!マジ、お前、センス悪いよ!」 



「あ?俺のセンスがどうだって?」


いつもニコニコしてる可愛いあおたんが、ものすっごい顔で2人を睨んだ


・・・・こえぇ。


いつもニコニコしてる分怖い。


「い、いや。」


「・・・・なんでもないです」


みんな、顔がひきつってる。。。。


しかも!衝撃過ぎて今、気付いたけど「俺」って!


あおたんが、俺って!




こうして、みんなのあだ名のと


あおたんを怒らせたら怖いという事がみんなに刻まれた。







それから毎日、ずっと店の開店に向けてみんな一生懸命にがんばった。


2月17日、金曜日、午後6時。


開店、一日前。


「いよいよ、明日ね!」


「そーですねぇ」


「あー・・・なんか緊張してきた」


「悠心、早っ(笑」


「うっさいし。お前は緊張しねーわけ?」


「んー?緊張というかワクワク?」


「あおは、余裕だなぁ・・・・。俺も、緊張でバクバクしてる」


「あおは、余裕というより鈍感?(笑」


「れんれん、ちょー失礼(笑」


「あー。ほんっとに俺できんのかなぁ・・・・」


「なんとかなるでしょ!みんないるんだし」


高校生は緊張とか言っても楽しそうだな・・・


「高校生はいいな。」


「なにが(笑」


「そりゃー」


「若さだよねぇ」


「りんりんも、かず兄も若いよ?」


「だよな。まだ大学生だし」


「いやー、なんか違うんだよ」


「うん。だね


「いや、分かんないし(笑」


仲良いよなぁ


てか、めっちゃキラキラしてるし(笑




あ。向こう側は、大人チームかな?



「あー・・・。俺、ちゃんとできんのかな」


「翔ちゃん、どしたの」


「翔さんなら、なんとかなりますよ」


「恭兄はさぁ、接客とか得意じゃん。とーやとかもさぁ、ぶっきらぼうだけど、なんとかなってるじゃん」


「とーやがなんとかなるんだったら、翔ちゃんも、なんとかなるよ」

ようやく、準備を終えたマオちんと孝さんと幸彦さんも加わった


「マオちん、だいぶひどいなぁ(笑)まぁ、どーにでもなるでしょ」


「そうですね。物は慣れです。最初はとにかく、皆で頑張りましょう。」


「幸彦さんにそう言われると、そう思えてくるから不思議だよなぁ・・・。てゆーか、やっぱりマオちんはやだ」


「なんで?いいじゃん、マオちん(笑」


「俺、もう25だよ!?」



ん・・・・・。


大人チームだからと言って落ちついてるわけでもなさそうだな・・・・


てか、マオちんは、あだ名が気に入らないのか(笑


まぁ、たしかに半ば強引にあおが、つけたからなぁ・・・・





それから一週間。


ピンポーン




ついに、着た。


封筒を受け取って急ぎ足で階段を上る


「彩華?どどいた?早く、あけましょうよ!」


「もう!人ごとだと思って・・・・」


「はいはい。ほら、早く!」


「んー・・・怖い。やっぱりムリ!」


「ばばっと開ければいいでしょ!ほら!」


「やだってば!絶対ヤダ!開けない!あけたくない!」


そう言って、封筒から遠のいた


「もー・・・」


ママはしょうがないなぁ。って言いながら封筒を開けようとした


「ダメ!」



急いで、ママの手から封筒をとりあげた。


「開けるのか、開けないか、はっきりしなさいよぉ」


そう言われると、仕方ない・・・・


アタシは震える手で封筒を開けた


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・大丈夫よ、彩華。スベリ止めは受かったんだから」


ママは慰めるようにアタシの肩を抱いた


「受かったよ?」


「え!?」


「落ちたなんか言ってないよ(笑」


「え!?黙るから!ママはてっきり・・・・もう! ・・・でもママすっごい嬉しい!!」


最後の方はもう、叫び声に近かった


「アタシも嬉しい!」


2人でキャーキャー叫びながら、喜び合った。


ママはパパに電話して、合格を報告していた。


それから、一度電話を切って



違う番号にかけて携帯電話をアタシに押し付けてきた


「え?なに?」


「いいから。」


わけがわからないって言ってると


3回コールが鳴って


「ハイ」


・・・・・・


「ママ!」


「もう、いいから。ほら」


ママは携帯を押しつけたまま一階に下りて行った。


「・・・・彩華?」


「・・・うん」


「え!?でも、これ店長のけいたっ」


「受かったよ・・・・」


悠心が言い終わる前に言った


からかわれるかなって思ったけど


「・・・うん。おめでとう」


やさしい声でそう言われて


ちょっとだけ、ほんっとにちょっと、ドキってした。


「それだけだから。」


「おーぅ、春から後輩だな。まぁ、せいぜーガンバレや(笑」


「何をがんばんのよ(笑」


「いやー、色々あるだろ。後輩!」


「先輩ぶんなし(笑」


「うっせぇ(笑)それじゃーな」


「うん。ばーばい」



・・・・嬉しいっ!






マナーの実習とかは


全部、ママと日向さんがやってくれた。


アタシはガチで試験勉強って悪魔に追われて


毎日勉強に明け暮れて・・・・


それで、今日はついに宝徳高校の入試。


「緊張する・・・・」


「大丈夫よ、ママが止めそうになるぐらいまで勉強してたんだから」


「止めるって・・・。ママは甘いから」


「えー?そんなことない。てゆーか、ごめんね。会場についていけなくて」


「ううん。だって今日が最後の実習でしょ?」


「うん。ほんとに一人で大丈夫?」


「もー。子供じゃないんだから!それじゃ、行ってきます」


玄関を出てしばらく歩いてから深呼吸をする。


「っふー。」


ママにはああ言ったけど、すっごく緊張してる。


一人じゃ駄目かもしんないってぐらい。


「おい」


聞きおぼえがある声に振り向く


「・・・・悠心。」


「え、珍しっ。名前で呼んだし」


「うるさい。緊張してんの。声かけないでよ」


「は?緊張する柄か?」


「もー、今喧嘩する気分じゃないの。ほっといてよ!」


急いで歩く


「俺も学校の方に用事があるんだよ」


悠心はそう言って、アタシの隣を歩いた


・・・・はぁ。


ゆっくり歩く事にした


「・・・お前さぁ。なんでそんなに緊張してんの?」


「普通、緊張するでしょ?第一志望校の入試なんだから」


「じゃあ、何が不安なわけ?」


「は?不安なんて一言も言ってないじゃん」


「顔が不安そーなんだよ」


思わず、だまってしまった。


「・・・・・」


「・・・・お前さ、絶対受かるから。どんだけ勉強してたのか俺、知ってるし。大丈夫だよ」


「・・・・・・・・・・・・・・」


さっきよりも、長い沈黙。


「え、なんで、黙んの?そこは、可愛く、ありがとう!とかだろ?」


「え、どんな妄想してんの?意味がわかんないし(笑)」


「かわいくねーな(笑」


「うっさい!・・・・・ちょっとだけ、ありがとう


「は?最後の方、聞こえなかったんだけど」


「なんでもない!じゃーね」


言い終わってすぐ、いそいで会場に駆け込んだ。


・・・・恥ずかしかったんだもん。


ちょっとだけ、自信出た。




予定通り、午後3時


顔合わせスタート。




コツ、コツ、コツ。


長いテーブルの一番前に立つ。


「お揃いですね。では、始めたいと思います」


「はいっ!」


「そんなに緊張されなくて結構ですよ。リラックスしてください」


すごく恥ずかしそうにしている大山君に微笑みかける


うん。まぁこっちも、もんすんっごく緊張してるから・・・・。


でもちょっとだけ緊張とけたかも(笑


「今日は、店長は急な用事で遅れてからいらっしゃいますので私が進めさせていただきたいと思います」


一番右側にすわっていた63歳の日向さんから順番にはじまった


「初めまして。最年長の日向 幸彦(ひゅうが ゆきひこ)と申します。実際、執事をやらせていただいていて、ある理由で仕事を探さなくてはならないときにこの仕事を頂きました。皆様とはかなり年が離れていると思いますがよろしくお願いします」


とても、丁寧な物腰でさすがは本物って感じだった。


「初めまして。城戸 真央(しろと まお)です。25歳で、接客のお仕事の経験は0ですが皆さんと一緒に笑顔の絶えない職場にしたいと思いますので、よろしくお願いします」


「大山 凛(おおやま りん)です!さっきはすみません。おっちょこちょいで、かなりドジですが、お客さんを笑顔にする自信だけはあります!よろしくお願いします!!!!」


いやー、若いって素晴らしいなって言いたくなるような挨拶だった


「初めましてぇ。松岡廉(まつおか れん)宝徳高校、2年生です。俺が好きなのは女の子です♥よろしくお願いしまーす」


笑いがおこった。軽いけどちゃんと周りの事も考えてるみたい。


「初めまして、宝徳高校1年の新庄 悠心(しんじょう ゆうしん)です。経験も実績も、自信もありませんが、真剣にこの仕事と向き合っていきたいと思っています。よろしくお願いします」


悠心はすごい真面目なんだなってあらためて思った。まぁ嫌な奴には変わりないけど。


「矢崎 和(やざき かず) 21歳です。大学一年生です。まだ慣れないことばかりで皆さんに迷惑かけるかもしれないけどやる気だけはあるんでよろしくお願いします」


大学生たちは熱いなぁ・・・・


「初めまして!こーこ1年生の千早です!あっ!すみませっ、葉月 千早(はづき ちはや)です!!仕事は初めてなんですけどよろしくお願いします!」


大山凛と同種か(笑


「初めましてぇ!最年少で今は中学3年生の無月 蒼(むつき あお)です!!あおって呼んでください!よろしくお願いしまっす!」


タメらしいけど、見えない。かわいい系男子?うさ耳とか似合いそう・・・・


「三國 十夜(みくに とうや)っす。23で大学は行ってないんで。よろしくお願いします」


やる気あんのか、コラ。もうちょっとで言ってしまいそうだった


「橘 祥吾(たちばな しょうご)です。28歳、独身です。女の子探してまーす。誰か紹介してぇ」


おいって思ったら、やっぱり


「あ、祥吾さん、あとで俺が紹介しますよぉ」


「あ、まじで(笑)」


「東 恭介(あずま きょうすけ)33歳です。俺も独身ですが、楽しくやってます(笑)よろしく」


・・・・うん。まぁ、ふつう。


なんで、俺が最後か分かんないっすけど、二宮 孝司(にのみや こうじ)です。41のお酒大好きなおっさんですが、よろしくね」


で。最後にアタシなんだけどなぁ


「とりあえず、全員終わりましたね。では最後に。改めましてMs.Dollです。名前以外、すべて秘密なので一番疑わしいかと思いますがそれも売りなので大目に見て下さい(笑) よろしくお願いします」


すべったらどうしようかと、思ったけど笑ってくれたのでよかった。


「それでは店の中を一通り案内します」


厨房、食材庫、スタッフルームと倉庫。待合室とお客様用トイレと従業員用のトイレ


まぁMs.Dollの部屋は秘密ということでなにも言わなかった。


「最後に、皆様がいらしたホールがお客様に食事を楽しんでいただくスペースです。」


それから、執事服の説明とマナーの実習。ママが考えたシフトを確認して


今日のところは修了。


マナーや接客の実習をこれから一カ月、根気よく続ける予定だ。