季節を生きる/立夏

2023年5月6日

 

立夏の時期と由来
立夏(りっか)は、穀雨の後に続く初夏の季節です。
「夏の立つがゆへ也」・・・『暦便覧』- 太玄斎
立夏の時期:新暦5月6日~5月20日頃
立夏とは夏のはじまりのことで、暦の上では5月6日からが夏となります。
本格的な夏が来るのは梅雨明け以降になりますが、この時期は新緑が青々と茂り、温かく湿り気を帯びた風にも少しずつ夏の気配を感じることができます。
春の長雨が過ぎ去った後の安定した気候が続く、気持ちのいい行楽シーズンです。

立夏の行事・イベント
■端午の節句・こどもの日

5月5日は端午の節句。もともとは中国から伝わった厄払いの行事でした。武士の時代になると男の子の節句という意味合いが強くなっていき、そして江戸幕府が五節句を定めたのをきっかけに、男の子の成長と出世を願う行事として定着しました。
1948年(昭和23年)の法改正で、端午の節句は男女を区別することなく祝う「こどもの日」となりましたが、現在でも5月5日は男の子の節句というイメージが強い印象です。

 

<端午の節句の詳細>
旧暦の5月5日は、新暦では6月中旬の梅雨時(つゆどき)にあたり、じめじめし始めて、ものが腐りやすくなったり体調を崩しやすい時期となる。菖蒲のような香りの強い植物は、邪気払いの力があると考えられており、もともとは梅雨を迎えるにあたって邪気払いをすることが目的だった。その後、菖蒲の響きが勝負に繋がるということで、武士の男子が健やかな成長を願う五節句として広まっていった。

江戸時代に入り、世の中が天下泰平になると戦道具を滅多に使わなくなり、ずっと保管することになった。そのため、湿気が多くなる梅雨時期には、メンテナンスのために五月晴れの日に虫干しをする必要が出てきた。この戦道具の虫干しが、端午の節句と結びついて行事飾りとして定着していった。これを見ていた江戸の庶民が、それをマネしたくなり、とは言え武家の飾りをそのままマネするわけにはいかないので、「吹き流し」の替わりに作り出したのが鯉のぼりということだ。



■母の日

「母の日」は5月第二日曜日、母親に対して日頃の感謝の気持ちを込めて花束やプレゼントを贈る日です。
2023年の母の日は5月14日。
母の日はもともとアメリカで始まった記念日で、日本では大正時代にキリスト教会で祝われるようになりました。民間ベースでその習慣が広まっていましたが、戦後1947年(昭和22年)にはじめて公式に5月第二日曜日が「母の日」と定められました。

立夏の七十二候
立夏をさらに約5日毎に初候、次候、末候の3つに季節を分けたのが七十二候です。

■第十九候 蛙始鳴(かわずはじめてなく)

立夏の初候
新暦5月6日~5月10日頃
カエルが鳴き始める時期という意味

■第二十候 蚯蚓出(みみずいずる)

立夏の次候
新暦5月11日~5月15日頃
冬眠していたミミズが這い出してくる時期という意味

■第二十三候 竹笋生(たけのこしょうず)

立夏の末候
新暦5月16日~5月20日頃
たけのこが生え始める時期という意味

立夏の草花
■杜若(カキツバタ)

花言葉:「幸運」「気品」「雄弁」
開花時期:5月~6月
杜若(カキツバタ)は日本に自生する花で、万葉集などでも歌われ古くから親しまれてきました。気品ある花が特徴。江戸時代には園芸用として品種改良も進められ、より一般的になりました。

■片栗(カタクリ)

花言葉:「初恋」「嫉妬」
開花時期:4月~6月
片栗(カタクリ)は下向きに花を咲かせるちょっと変わった花。花が枯れ、葉が落ちると球根のまま冬眠し、次の春を待ちます。

■皐月(サツキ)

花言葉:「協力を得られる」「節制」
開花時期:5月
皐月(サツキ)はその名の通り、5月になると鮮やかな花を咲かせます。生垣や道路などでよく見かける身近な存在です。

■芍薬(シャクヤク)

花言葉:「恥じらい」「清浄」
開花時期:5月~6月
芍薬(シャクヤク)は、アジア原産の多年草で大きく美しい花を咲かせるのが特徴。形が牡丹と似ていて一見区別がつきにくいですが、芍薬が多年“草”であるのに対し、牡丹は落葉低“木”と分類が異なります。葉や蕾の形をそれぞれよく観察すると、違いが分かるはず。
立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と言い、女性の美しさの例えにも用いられています。

立夏に食べたい!旬の食べ物
■鯵(アジ)

良質なタンパク質やミネラルを含む鯵(アジ)、名前の由来は味が良いことから。新鮮なものは刺身やタタキにするとおいしい。
アジの薬膳的効能
アジは胃を温めて消化を助けるため、食欲不振の改善に効果的です。

■たけのこ

たけのこは食物繊維が豊富で、動脈硬化やがん予防の効果が期待できます。一般的な食用のたけのこは「孟宗竹(もうそうちく)」という品種です。
たけのこの薬膳的効能
たけのこは、身体にこもった熱を取り除き水分代謝を促す作用があり、むくみの改善に効果的。ただし、身体を冷やす作用があるため、冷えやすい人や胃腸が弱い人は食べすぎに注意が必要です。

■わかめ

わかめは古くから日本人にとってなじみ深い海藻のひとつ。縄文時代には既に食されていたとか。
わかめの薬膳的効能
わかめは身体にたまった余分な熱を冷まし、水分代謝を高める作用があり、むくみや消化不良を改善する効果があります。
→わかめは、“海洋民族”であったと言われる縄文時代から日本人は食べていたので、消化酵素や腸内細菌があるため吸収できます。しかし、欧米人のほとんどはわかめを吸収することが出来ず、食べることが出来ません。民族によってそれぞれ生きてきた環境が異なり、長年(千年単位)の食物習慣の積み重ねがあるため、食べられるものと食べられないものがあります。逆に日本人は、小麦のグルテンが苦手なのです。

 

 

いよいよ夏です!

春分の日から秋分の日までが、陽のエネルギーが強い期間ですので、どんどん行動していきましょう。そして、夏至の日(6/21)がヤマ場となります。

 

昭和天皇記念館と昭和記念公園