参政党の質問主意書/農水省・政府系企業による昆虫食推進に関する質問主意書と政府答弁書

2023年4月18日

 

※前回記事(3/29)にて質問内容は記載済み

最新統計データ1月 出生数と死亡数/参政党が昆虫食推進に関する質問主意書を提出

 

質問第四〇号

農林水産省、政府系企業による昆虫食推進に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

令和五年三月十六日

神谷 宗幣

参議院議長 尾辻 秀久 殿

 

農林水産省、政府系企業による昆虫食推進に関する質問主意書

 

ここのところ、「昆虫食」や「食用コオロギ」に関する報道やSNS投稿を目にすることが増えた。報道でも「日本では少子化が課題となる一方で、世界の人口は八十億人を超え、急激な増加が続いています。将来の食糧危機に備えて、選択肢の一つとして注目されているのが「コオロギ」です」(二〇二三年三月七日、NHKニュース)などと伝えられている。

また、NTTグループのような政府が三割以上の株式を保有する企業においても、「食用コオロギで「昆虫食」事業に参入」と報じられており(二〇二三年一月十九日、日本テレビ)、「食用コオロギは乾燥させて粉末にし、スナック菓子やプロテインバーなどの商品に使われる」、「食用コオロギは家畜よりも飼育に必要なエサや水が少なく済み、温室効果ガスの排出も減らせるため、将来の動物性たんぱく質の供給源として注目されている」とも解説されていた。

さらに、全国初めてのケースとして徳島県では食用コオロギを養殖する事業者が学校給食事業に参入し、同県立小松島西高校において、この事業者が納入した乾燥コオロギ粉末を校内調理し、給食として提供したことが、二〇二二年十一月二十八日付けの日本経済新聞において報道された。同高校においては、教科活動の中でもコオロギ食材の調理実習が手がけられていたといい、ひき肉に代わるたんぱく源としてコオロギ粉末をカボチャに混ぜて「カボチャコロッケ」を調理し、給食に供したという。

このように、昆虫食は、「人口増加に伴う食糧確保の必要がある」、「コオロギは鳥や豚、牛と比べ多くのたんぱく質を含んでいる」、「環境への負荷が少ない」などと、食糧問題の解決策として肯定的なニュアンスで報じられることが多いようである。一方、これに対し、国民からは、「絶対に食べたくない」、「たんぱく源である牛乳を廃棄しながらコオロギを推奨するのは間違えている」、「公金を使うな 給食に出すな」など多数の批判の声も多く聞く

農水省は、二〇二一年五月、「みどりの食料システム戦略」を策定し、「フードテック」全般の推進を図るとし、その中で昆虫食に関する具体的な取組として、「飼料の代替としての新たなタンパク資源(昆虫、藻類、水素細菌)の利活用拡大」、「昆虫の機能を活用した新素材の開発」、「シロアリを利用した未利用木材の飼料化」、「代替肉・昆虫食の研究開発等、フードテック(食に関する最先端技術)の展開を産学官連携で推進」などが掲げられている。すでに、ムーンショット型農林水産研究開発事業の一環として、養殖マダイに与える飼料の魚粉を昆虫粉に変えたり、シロアリを養鶏用飼料として活用したりする研究が進められている。

さらに、二〇二三年度からは、「コオロギの家畜化に資する飼育標準案の作成、ミズアブの飼育システム・利用方法の開発」が行われ、二〇二五年度からは、「高品質昆虫の持続可能な大量生産システムの開発」が進められるという。

以上のように、国民に十分な周知や合意形成が図られる以前に政府は「昆虫食」推進の道へ歩み始めつつある。背景にあるのは、錦の御旗のような「SDGs推進」であることも明らかだが、長年にわたる人類、そして日本人の営みと叡智の中で蓄積、形成されてきた「何をどう食べるのか」、「健康で安全な食とは何か」を柱にした食文化に、歴史的な経緯から見て全く異質なものを持ち込むような「昆虫食」の有無も言わさぬような推進には強く違和感を覚える。

 

そこで、以下質問する。

 

一 我が国は、政府が「異次元の少子化対策」を掲げなければならないほど人口減少の危機にある。一方で世界の人口爆発を要因とするたんぱく質不足が叫ばれてきたが、これが人口減の坂を下り始めた我が国についてどのような影響が考えられるのか、またその根拠としてどのようなデータを基に分析されているのか政府は具体的に示されたい。

 

二 近年、日本人の食生活が欧米化したと言われるが、それでも長年の食生活の中で培ってきた日本人の体質と欧米人の体質は同じではない。同じ病気でも国や人種によって発症率や原因、症状などに違いが生じることからも分かるとおり、体内環境は人種によって異なる。日本人の体質に合った食生活の構築を目指すべきところ、政府は、昆虫食が日本人の身体に与える影響について、いかなる分析を行い評価をしているのか、具体的に示されたい

 

三 前文で指摘したように、農水省の主導で昆虫食や昆虫飼料、代替肉の研究開発が進められていることについて、多くの国民は知らないままである。歴史上、日本人がこれまで口にしてこなかったコオロギなどの昆虫を食事として、また飼料として用いることには、強い抵抗が生じると予想される。老若、そして子供を含む国民が口に入れる食料に否応なしに昆虫由来食品が含まれる可能性について、現在の研究到達度を踏まえながら十分な周知と議論が必要である。政府は、この点についてどのような対応を考えているのか。

 

四 前文の中で例示した徳島県での学校給食のように、粉末コオロギの使用が一部で開始されているが、現在、市販食品として流通している昆虫食品、食材の種類、量、食品安全上のチェックなどについて、政府が把握している内容を示されたい

 

五 日本人が昔から口にしてきた伝統的食材の中には、イワシを始めとした魚や大豆などのように豊富にたんぱく源を含むものが多くある。「食用昆虫」の大量生産システムを構築したり、「昆虫の家畜化」をしたりするよりも前に、日本人が昔から食べてきた食べ物について生産強化のほか、毎年七十万トンが廃棄されているとされるおからの有効活用、非標準野菜などの流通の見直し、フードロス解消など、優先して行うべき課題があると思われる。こうした取組の推進について、政府はどう考えているのか、具体的に示されたい。

 

六 コオロギを原料として食材に含める際、食品表示法上、どのように表示されるか。「コオロギ」以外の表記が使用されるか。また、原料として含まれていても、表記がされない場合があるか。

 

右質問する。

農林水産省、政府系企業による昆虫食推進に関する質問主意書:参議院 (sangiin.go.jp)

 

内閣参質二一一第四〇号

令和五年三月二十八日

内閣総理大臣 岸田 文雄

 

参議院議長 尾辻 秀久 殿

 

参議院議員神谷宗幣君提出 農林水産省、政府系企業による昆虫食推進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

 

参議院議員神谷宗幣君提出 農林水産省、政府系企業による昆虫食推進に関する質問に対する答弁書

 

一について

御指摘の「世界の人口爆発を要因とするたんぱく質不足」が我が国に与える影響については、特段の分析を行っていない。

 

二について

御指摘の「日本人の体質に合った食生活の構築」の意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国において食用の昆虫の摂取によって健康に対する影響が生じたという具体的な事例は承知していない。他方、厚生労働省においては、「「昆虫食」における大規模生産等産業化に伴う安全性確保のための研究」を令和五年度の厚生労働科学研究費補助事業の公募課題としており、また、農林水産省においては、食用の昆虫に含まれる有害物質の情報収集及び当該有害物質の管理手法に関する研究事業を実施するため、令和五年度予算において、必要な経費を計上している。

これらの研究結果も参考にしつつ、厚生労働省及び農林水産省において、食用の昆虫の摂取による健康に対する影響について情報の収集、整理等を行い、必要に応じて、食品安全委員会において、食品安全基本法(平成十五年法律第四十八号)第十一条第一項に規定する食品健康影響評価を実施してまいりたい。

 

三について

御指摘の「昆虫由来食品」及び「現在の研究到達度」の意味するところが必ずしも明らかではないが、農林水産省が立ち上げた「フードテック官民協議会」による「フードテック推進ビジョン」及び「ロードマップ」(令和五年二月二十一日)については、パブリックコメントを実施し、広く国民から意見を募集した上で策定したものであり、御指摘の「十分な周知と議論」をしてきたものと考えている。引き続き、国民の声を丁寧に聞き、政策に反映させてまいる所存である

 

四について

お尋ねの「市販食品として流通している昆虫食品、食材の種類、量」については、網羅的には把握していないが、例えば、昆虫を使用した煮物や菓子類が販売されていると承知している。また、お尋ねの「食品安全上のチェックなど」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、人の健康を損なうおそれのある食品又は添加物については、食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第六条の規定によりその販売等が禁止されており、当該規定の遵守状況については、一義的には、食品又は添加物を販売し、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列する者が確認する責務を負う。また、国にあっては同法第二十三条第一項の規定に基づく輸入食品監視指導計画に基づき、適切に輸入食品等の監視指導を行っており、都道府県、保健所を設置する市及び特別区にあっては同法第二十四条第一項の規定に基づく都道府県等食品衛生監視指導計画に基づき、適切に監視指導を行っているものと承知している。この枠組みは、御指摘の「市販食品として流通している昆虫食品、食材」についても適用される。

 

五について

御指摘の「日本人が昔から食べてきた食べ物」及び「優先して行うべき課題」の指すところが明らかではないが、御指摘の「おからの有効活用」については、おからは主に飼料及び肥料の原料として利用されていると承知しており、また、政府としては、生産者団体等が定める規格に適合しないことを理由とする野菜の廃棄を削減することにも資するよう、こうした野菜の産地における加工施設の整備等への支援を行っているところであり、さらに、食品ロスの削減については、「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」(令和二年三月三十一日閣議決定)において、「商慣習見直しとしては、食品製造業者と、食品卸売・小売業者の連携の下、賞味期限表示の大括り化(年月表示・日まとめ表示)、賞味期限の延長、厳しい納品期限の緩和(取組企業や実施品目の拡大)を一体的に促進する」としていること等を踏まえ、引き続き、更なる食品ロスの削減に向けて取り組んでまいりたい。

 

六について

食品表示法(平成二十五年法律第七十号)第四条第一項の規定により定められた食品表示基準(平成二十七年内閣府令第十号)第三条第一項の表の原材料名の項の1の一において、「使用した原材料」を「原材料に占める重量の割合の高いものから順に、その最も一般的な名称をもって表示する」こととされており、御指摘の「コオロギ」が原材料として含まれる場合には、その一般的な名称を表示することが必要である。

 

また、同項の1の二の「二種類以上の原材料からなる原材料(以下「複合原材料」という。)を使用する場合」については、同項の1の二のイにおいて、「複合原材料の名称の次に括弧を付して、当該複合原材料の原材料を当該複合原材料の原材料に占める重量の割合の高いものから順に、その最も一般的な名称をもって表示する。ただし、当該複合原材料の原材料が三種類以上ある場合にあっては、当該複合原材料の原材料に占める重量の割合の高い順が三位以下であって、かつ、当該割合が五パーセント未満である原材料について、「その他」と表示することができる。」こととされ、また、同項の1の二のロにおいて、「複合原材料の製品の原材料に占める重量の割合が五パーセント未満である場合、又は複合原材料の名称からその原材料が明らかである場合には、当該複合原材料の原材料表示を省略することができる。」こととされており、御指摘の「コオロギ」が複合原材料の原材料として使用される場合には、その一般的な名称が表示されないこともあり得る

 

【動画】

「なぜいきなり猛プッシュされるコオロギ食??」知らない間に混ぜられてしまうかも・・・?昆虫食は国民の声を聞いてからにしませんか?