季節を生きる/大寒
2023年1月20日


大寒の時期と由来
大寒(だいかん)は、小寒の後に続く晩冬の季節です。
「冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也」・・・『暦便覧』- 太玄斎
大寒の時期:新暦1月20日~2月3日頃
大寒は最後の節気で、その名の通り一年で最も寒さが厳しい時期です。一方で、梅の花が咲き始めたりと、寒さの中にも春の兆しが少しずつ見えてきます。
大寒の終わりの時期の季語は「春隣(はるとなり)」、次の節気は立春です。また一つ季節がめぐります。

大寒の行事・イベント
■二十日正月(骨正月)


二十日正月(はつかしょうがつ)とは、1月20日、正月の祝い納めの日のこと。京阪神地方を中心とした西日本では「骨正月(ほねしょうがつ)」とも言います。正月に食べた鰤(ぶり)や鯛(たい)の骨や頭を大根などの野菜と一緒に煮て、骨まで食べつくす風習からついた名前です。

■節分


節分(せつぶん)とは「季節を分ける」という意味。 季節の変わり目には鬼(邪気)が出るとされ、豆を投げて追い払い、恵方巻を食べて厄払いをする風習のことです。
節分は本来、立春、立夏、立秋、立冬の前日のことを指し、年に4回ありましたが、中でも冬から春になる時期が重要視され、立春の前日がいわゆる節分として定着しました。

大寒の七十二候
大寒をさらに約5日毎に初候、次候、末候の3つに季節を分けたのが七十二候です。
■第七十候 欵冬華(ふきのはなさく)

大寒の初候
新暦1月20日~1月24日頃
蕗の薹(フキノトウ)が顔を出す時期という意味

■第七十一候 水沢腹堅(さわみずこおりつめる)

大寒の次候
新暦1月25日~1月29日頃
沢に氷が張りつめる時期という意味

■第七十二候 鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)

大寒の末候
新暦1月30日~2月3日頃
鶏(にわとり)が卵を産み始める時期という意味

大寒の草花
■黄梅(オウバイ)

花言葉:「恩恵」「優美」
開花時期:1月~3月
黄梅は早春に花をつけるため、中国名では「迎春花」と呼ばれています。芳香のある明るい黄色の花が特徴。

■金盞花(キンセンカ)

花言葉:「慈愛」「静かな思い」
開花時期:2月~5月
別名:カレンデュラ
原産地は南ヨーロッパ、地中海沿岸。オレンジ色の花が金の盃(さかずき)のようであることから金盞花(キンセンカ)と呼ばれるようになったそうです。

■シクラメン

花言葉:「内気」「はにかみ」
開花時期:11月~5月
シクラメンは生産量が花の中でもトップクラスに多く、冬の鉢植えの代表的存在です。色も形も種類が豊富で、新品種もどんどん開発されています。

■デンドロビウム

花言葉:「わがままな美人」
開花時期:1月~5月
デンドロビウムは蘭の仲間で、花もちがとてもよく耐寒性もあり、育てやすい花です。紅紫、ピンク、オレンジなど色の種類も豊富。

■南天(ナンテン)

花言葉:「深すぎる愛」(赤い実は「幸せ」「よき家庭」)
開花時期:6月~7月
結実時期:11月~2月
南天(ナンテン)は夏頃に白い花を咲かせますが、主役は赤い果実。「難転(なんてん)⇒困難を転じる」という語呂から縁起物としても親しまれています。
赤い実は煎じて飲むと「咳止め」としての効果を発揮します。また、葉には殺菌・防腐作用があり、樹皮や根皮には胃腸や眼病に効果的であることから、古くから薬としても重宝されてきました。
※南天のど飴の南天はこれ!

■福寿草(フクジュソウ)

花言葉:「永久の幸福」
開花時期:1月~3月
別名:元旦草
幸福と長寿を名にもつ花で、正月の鉢植えとして人気です。ただし、根には毒があり、芽が出たばかりの頃はフキノトウに似ているため、誤って食べることのないよう注意が必要です。

大寒に食べたい!旬の食べ物
■牛蒡(ごぼう)

牛蒡(ごぼう)は日本ではなじみ深い根菜ですが、食材として食べているのは日本くらいだとか。中国では特にごぼうの種に解熱や解毒の効果があるとして「牛蒡子(ごぼうし)」という名で呼ばれ重宝されています。
ごぼうの薬膳的効能
ごぼうは、発汗や利尿の作用があり、身体の余分な熱を取り除く効果があります。発熱やはれものの改善や風邪の予防に有効です。また、食物繊維を豊富に含むため便通を改善し、老廃物を排出する効果も。
但し、解熱の作用が強いため、冷え性や胃腸が弱い人は食べすぎに注意が必要です。ごぼう茶も同様に体を冷やします。

■蕗の薹(フキノトウ)

蕗の薹(フキノトウ)はフキの花のつぼみのこと。独特の苦みはポリフェノールで、栄養価はフキよりも高いとか。
※フキノトウとフキは同じ植物!フキノトウは花芽で、フキは葉柄の部分。
フキノトウの薬膳的効能
フキノトウは身体の余分な熱を取り除き、肺を潤す作用があります。疲労回復にも効果的です。ただし身体を冷やす作用が強いため、食べすぎには注意。

■ナマコ

ナマコはウニと同じ棘皮(きょくひ)動物で、北海道から九州まで全国の沿岸部に分布しています。冬のナマコは特に風味が増しておいしいとか。
ナマコの薬膳的効能
ナマコは腎を養う作用が強く、血を補う働きがあるため貧血や不眠の改善、疲労回復に効果的です。
なお、ナマコの内臓を取り除いて乾燥させたものは「海参(いりこ)」と呼ばれ、身体を温めて気を補う作用があります。

■鮪(マグロ)

鮪(マグロ)は刺身や寿司には欠かせない人気の魚。一般的に口にする機会が多いのはメバチマグロで、最高級はクロマグロ。
マグロの薬膳的効能
マグロは気と血を補い身体を温める作用があるため、体力回復に効果的です。また、肝機能を高める効果もあり、貧血改善にも有効。

■水菜(みずな)

水菜は京都で古くから栽培されていた京野菜で栄養価が豊富です。「京菜(きょうな)」「千筋(せんすじ)京菜」とも呼ばれています。シャキシャキした食感が特徴で漬物や鍋料理に使われることが多い野菜です。
水菜の薬膳的効能
水菜は身体の余分な熱を取り除き、水分を補う作用があり、乾燥する冬の風邪や肌荒れの予防に効果的です。ただし、冷えやすいので食べすぎには注意。

■百合根(ゆりね)

百合根(ゆりね)とは、オニユリやコオニユリの球根のこと。ほくほくとした食感とほのかな苦味が特徴です。栄養価が高く漢方薬としても使われます。国産の約95%は北海道産。
ゆりねの薬膳的効能
百合根(ゆりね)は心の熱を静め、神経を落ち着かせる作用があるため、精神疲労やイライラ、不安感、不眠症の改善に効果的です。また、肺を潤す作用もあり、せきやのどの渇きを癒します。