「行動する勇気以外、人生には鍛えるものが無い」といってもいいくらい、人生には行動する勇気が必要だ。

2022年12月18日

 

「行動する勇気以外、人生には鍛えるものが無い」といっても過言では無いくらいに、人生には行動する勇気が必要だ。正しい判断・正しい方法よりはるかに大切なことが、「物事と自分を瞬時に動かす起動力」である。

文責:吉野敏明

日本の航空自衛隊が順次導入している、世界最新鋭(第5世代)戦闘機のF-35。

戦闘機史上最大の推進力を持ち、なんと垂直離着陸もできるジェットエンジンで、アフターバーナー無しで、マッハ1.8を出すとてつもない飛行機です。

ちなみに、私は戦争をした方がいいとか、戦力増強をした方がいいと言っているのではありません。巨大な推進力の例えとして戦闘機の話をしています。しかし、そんなF-35も駐機場に車輪止めがあると簡単には進めません。これだけの推進力のある飛行機でも、動き出すのには相当のエネルギーが必要です。しかし、一度動き出してしまえば、重量31トンもある機体をマッハ2以上まで出すことができます。ロケットでも同じです。現在、ロケットはどの国でも3段式です。第一弾ロケットが98%の燃料を積みます。ロケットも発射する時にそのほとんどのエネルギーを使いますが、一度大気圏外に出てしまえば、多くのエネルギーが無くとも月、いや火星、土星、木星、冥王星どころか、太陽系の外まで慣性力で楽に行くことができるのです。
つまり、どんなに正しい判断ができ、どんなに正しい方法ができ、決断ができていたとしても、起動力を発揮して実践しなければ意味がない、そして起動するためにはとてつもないエネルギーが必要である、ということなのです。
 

高校の物理で、静止摩擦力というものを学びました。動き出す前の摩擦力を静止摩擦力といいます。動かないということは、物体が床面と平行に釣り合っているということですから、物体を動かすには、静止摩擦力以上の外力が必要となります。
外力を徐々に大きくしていき、ようやく動き出した時の静止摩擦力を最大静止摩擦力と言います。F-35が車止めを乗り越えるための力です。
最大静止摩擦力を F0 、垂直抗力を N とすると、静止摩擦力係数をμとすると、
F0 = μN
となります。物体が重ければ重いほどNが、そして車止めの高さが高ければ高いほどμが大きくなります。
F0以上の力を出せば、物体は動きます。それを動かすには、ロケットであれば、ロケットエンジン。戦闘機であれば、ジェットエンジン。自動車であれば、ガソリンエンジン。人間であれば、何エンジン?
人間のエンジンは、知力でも体力でも判断力でも偏差値でも学歴でも生まれでも、老若男女でもありません。美醜すら関係ありません。
人間のエンジンは、ズバリ、勇気なのです。勇気を鍛えなければ、人間は動き出さないのです。勇気の無い人ほど、正しい判断、正しい方法にものすごく執着します。ものすごく正しい判断を下し、欠点を指摘し、そして行動は絶対にしません。そして、行動して失敗した人に向かい「だから、いわんこっちゃない、失敗じゃん」と批判します。
言い訳無用、行動しなければ、どんなに正しい判断でも、どんなに美しい言葉でも、無意味です。なぜならば、行動しない=ゼロ。ゼロは何倍しても、何兆倍してもゼロですが、0.00000001でも動けば、前に進むからです。しかも、行動して失敗したり、非難されたり、叱られたり、嫉妬されることで、初めて解決力が生まれます。
正しい判断で何もしない人は評論家です。映画評論家は映画の評論はできても、演技はできません。人生は演ずるもの。人の批判や悪口や欠点を指摘するよりも、解決力の引き出しを沢山持っている人生の方が、実はトラブルが少なく、平和で穏やかで安全なのです。
 

なぜ警察官が訓練をするのか、なぜ消防士が訓練をするのか、なぜ我々がオペの訓練をするのか?それは想定外のことが起こるのが、日常だからです。生まれた時の赤ちゃんが想定通りに死ぬまで、人生をトラブルなく生きることがあり得るでしょうか。
ドクターである私から言わせてもらうと、誰一人として、同じ症例はありません。もう一度、同じ火事を消す消防もありません。だから、消防士は訓練で解決力を身に着けます。同じ犯人が同じ犯行をすることもありません。だから、警察官は逮捕術を磨きます。
人生、同じことは二度と起こりません。失敗がなく、平和が続くことほど恐ろしいことはないのです。解決力を身に着けていないので、何かあったら一巻の終わりだからです。できるだけたくさんチャレンジし、できるだけ早く失敗に気付き、できるだけ早く撤収する能力を身に着け、できるだけたくさんの解決するカードを持つ。
骨折するほどの怪我をしなくとも、かすり傷は沢山する。つまり、解決力がある人ほど、実は平和で不幸が少ないのです。
とにかく、動かずして判断よりも、行動。車が動く前に、正しくハンドルを切っても曲がらないのと同じです。車は動かなければ、曲がらないのです。
勇気を鍛えること=人間のエンジンの排気量を上げること。勇気には、ガソリンはいりません。排気ガスも出ません。大変エコなエンジンです。
孫氏の兵法に『巧遅拙速に如かず』という言葉があります。上手でも遅ければ、下手で迅速には及ばない、ということです。だから、「行動する勇気以外、人生には鍛えるものが無い」といっても過言では無いくらいに、人生には行動する勇気が必要なのです。

以上

 

※私も来年は、ブログを控えて、行動する年にしたいと考えています。