季節を生きる/霜降

2022年10月23日


霜降の時期と由来
霜降(そうこう)は、寒露の後に続く晩秋の季節です。
「つゆが陰気に結ばれて、霜となりて降るゆへ也」・・・『暦便覧』 -太玄斎
霜降の時期:新暦10月22日~11月6日頃
霜降とは「霜が降りる」という意味。徐々に冷え込みが強まり、山間部では朝夕の露が霜に変わり始める時期です。
紅葉も見ごろを迎え、まだまだ涼しく過ごしやすい日々が続きます。一方で、冬の訪れを感じることが多くなる時期でもあるため、そろそろ暖房器具の準備を始めてもいい頃かもしれません。

霜降の行事・イベント
■紅葉狩り


晩秋の代表的な行事といえば紅葉狩り!古くは貴族たちが楓(かえで)や銀杏(いちょう)などの紅葉を楽しみながら酒杯を交わし、和歌を詠むなど優雅に楽しんでいたようです。
江戸時代以降になると庶民の間にも広まり、「紅葉狩り」と称して出かける現在のスタイルが定着していきました。
京都の東福寺、栃木の日光、愛知の香嵐渓、北海道の大雪山などが全国的にも有名な紅葉を楽しめる観光スポットです。

■酉の市


酉の市(とりのいち)とは、毎年11月の酉の日に全国各地の社寺に立つ市のこと。酉の日とは十二支の酉にあたる日のことで、12日に1度めぐってきます。11月に2~3回あるため、それぞれ一の酉、二の酉、三の酉と呼び分けています。
2022年は
一の酉:11月4日(金)
二の酉:11月16日(水)
三の酉:11月28日(月)
酉の市の名物は“福をかき入れる”縁起物の熊手。毎年さらなる幸福が舞い込むように、年を経るごとにより大きなものを買うのが良いのだとか。
酉の市の起源は江戸時代、現在の東京都足立区にある大鷲神社(おおとりじんじゃ)へ、近隣農民が秋の収穫を祝って鶏を奉納したことが始まりだといわれています。

■ハロウィーン


10月31日はハロウィーン。近年日本でも若者を中心に定着してきたイベントで、仮装パーティーのイメージが強いですが、もともとは自然崇拝していた古代ケルト人の文化だとか。

霜降の七十二候
霜降をさらに約5日毎に初候、次候、末候の3つに季節を分けたのが七十二候です。

■第五十二候 霜始降(しもはじめてふる)


霜降の初候
新暦10月23日~10月27日頃
霜が降り始める時期という意味

■第五十三候 霎時施(こさめときどきふる)


霜降の次候
新暦10月28日~11月1日頃
小雨が時々降る時期という意味

■第五十四候 楓蔦黄(もみじつたきばむ)


霜降の末候
新暦11月2日~11月6日頃
紅葉が深まる時期という意味

霜降の草花
■ススキ


花言葉:「活力」「心が通じる」
開花時期:7月~9月
別名:尾花(オバナ)、茅・萱(カヤ)
ススキと言えば、十五夜のお月見に備える秋のイメージがありますよね。生命力が強く、茅葺屋根の材料に使われてきました。曾爾高原(奈良県)、奥日光・戦場ヶ原(栃木県)、箱根・千石原(神奈川県)のススキが有名です。

■萩(はぎ)


花言葉:「柔軟な精神」
開花時期:7月~10月
萩は秋の七草のひとつ。痩せた土地でもよく育つたくましい花で、公園など身近なところで見かけることができます。万葉集にも詠まれるほど古くから親しまれてきました。

■藤袴(ふじばかま)


花言葉:「ためらい」
開花時期:8月~10月
秋の七草のひとつ。奈良時代に中国から伝来してきました。香りが強い花で、匂い袋に使われることも多い花です。

■犬蓼(いぬたで)


花言葉:「あなたのために役立ちたい」
開花時期:7月~11月
別名:「赤まんま」
犬蓼(いぬたで)は、北海道から沖縄まで全国各地の野原に咲く花です。昔は、つぶつぶの花を赤飯に見立てておままごと遊びに使われたりしたため、「赤まんま」と呼ばれることもあります。

霜降に食べたい!旬の食べ物
■にんじん


にんじんの品種は西洋系と東洋系の大きく2種類に分けられますが、日本で主に流通しているのは、ヨーロッパで品種改良された西洋系のほう。
にんじんは抗酸化作用のあるベータカロテンを豊富に含むため、免疫力アップやがん予防の効果が期待できます。葉も栄養豊富なので、炒め物にもよく使われます。
にんじんの薬膳的効能
にんじんは血を補い、肝の働きを高めるため、目の疲れや視力低下の改善に効果的。また、消化吸収を助ける作用もあり、食欲不振や下痢、便秘にも有効です。

■落花生(らっかせい)


落花生(らっかせい/ピーナッツ)は日本国内では千葉県が一大産地。旬は秋です。生の落花生は日持ちしませんが、乾燥させると長期保存が可能になるため、一年を通して味わうことができます。
落花生の薬膳的効能
落花生は肺を潤し空咳を止めたり、乾燥肌の改善に効果があります。また、胃腸の働きを高め、消化不良やむくみ、便秘にも有効です。
ただし、脂肪量が多いため食べすぎると消化不良を起こし、逆効果になってしまうため注意が必要。

■牡蠣(かき)


牡蠣(かき)は「海のミルク」といわれるほど栄養価が高く、マグネシウムや亜鉛などのミネラルが豊富で、疲労回復や貧血に効果的です。タウリンも多く含むため高血圧の予防にも。
牡蠣の殻を焼いて粉末にしたものは、「牡蠣(ボレイ)」という名の生薬になり、精神安定剤として使われます。
牡蠣の薬膳的効能
牡蠣は精神を落ち着かせる作用があるため、イライラや不安感、ストレスを解消してくれます。また、血を補ってくれるので心身の疲労回復にも効果的。

■帆立貝(ホタテ)


ホタテはタウリンの含有量が魚介類の中でもトップクラス!肝臓のはたらきを助けるので、酒のお供にぴったりですし、動脈硬化の予防にもオススメです。
ホタテの干し貝柱は長期保存が可能で、出汁もとれる便利な食材です。
ホタテの薬膳的効能
ホタテは脾と胃の働きを助け、消化不良や食欲不振を改善してくれます。また、肝にも効くので眼精疲労やイライラの解消にも効果的。

■柿(かき)


柿は代表的な秋の果物の一つ。ビタミンCが豊富で、色素成分のベータクリプトキサンチンには発がん抑制作用があり、免疫力アップに効果的です。
柿のヘタは、「柿蒂(シテイ)」という生薬でしゃっくり止めに使われます。また、柿の葉も「柿葉(シヨウ)」といい、お茶にして飲むと咳止めの効果があると言われています。
柿の薬膳的効能
柿は肺を潤し、乾燥による咳やのどの渇きを改善します。また、身体を冷やす作用があるので発熱や口内炎を緩和してくれますが、冷え性の人は食べすぎに注意。

■みかん


みかんはビタミンCやクエン酸を豊富に含み、疲労回復や風邪の予防に効果的です。実についている白い筋の部分には、動脈硬化を予防する効果もあるそうです。
中医学では実よりも皮に薬効があるとされ、干した皮は「陳皮(ちんぴ)」という生薬になります。陳皮は古ければ古いほど薬効が強くなるとか。
みかんの薬膳的効能
みかんは気の巡りを良くし、げっぷや咳、胸のつかえ感を解消してくれます。また、胃の働きを活発にする作用もあり、食欲不振の改善にも効果的です。
 

神嘗祭(10月17日)

神嘗祭は、その年に収穫された新穀(初穂)を天照大御神に奉げる感謝祭にあたる。同じく宮中祭祀のひとつで、天皇が天神地祇に収穫を感謝して自ら新穀を食す「新嘗祭」の約1ヵ月前に行われる。新嘗祭は11月23日です。