季節を生きる/寒露

2022年10月6日


寒露の時期と由来
寒露(かんろ)は、秋分の後に続く晩秋の季節です。
「陰寒の気に合って、露むすび凝らんとすれば也」・・・『暦便覧』-太玄斎
寒露の時期:新暦10月8日~10月22日頃
寒露とは、「冷たい露」という意味。白露の頃にはみずみずしく輝いて見えた露も、寒々として見えるようになる季節になります。
「秋の日はつるべ落とし」と言われるように、夕暮れは短く、あっという間に陽が沈むように感じられる時期です。秋晴れの日が続き過ごしやすい時期ですが、確実に冬が近づいています。

寒露の行事・イベント
■十三夜


十三夜(じゅうさんや)とは、十五夜から数えて約28日後の旧暦9月13日(新暦10月上旬~11月上旬頃)の夜のこと。十三夜の月は満月ではなく少し欠けているのが特徴。豆や栗をお供えしながら、夜空の月を楽しみます。
※十五夜は中国から伝わってきましたが、十三夜は日本独自の風習です。

■スポーツの日


スポーツの日(体育の日)はもともと、1964年東京オリンピックの開会式が行われた10月10日の祝日。2000年に始まったハッピーマンデー制度により、現在は10月第2月曜日となっています。
2022年のスポーツの日(体育の日)は、ちょうど10月10日!
暑さも落ち着き過ごしやすい気候のため、外で運動をして健康な身体を培うのに最適な時期です。

寒露の七十二候
寒露をさらに約5日毎に初候、次候、末候の3つに季節を分けたのが七十二候です。
■第四十九候 鴻雁来(こうがんきたる)


寒露の初候
新暦10月8日~10月12日頃
雁が北の国から渡ってくる時期という意味


■第五十候 菊花開(きくのはなひらく)


寒露の次候
新暦10月13日~10月17日頃
菊の花が咲き始める時期という意味


■第五十一候 蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)


寒露の末候
新暦10月18日~10月22日頃
秋の虫が戸口で鳴く時期という意味

寒露の草花
■葉鶏頭(はげいとう)


花言葉:「不老不死」「高尚」「情愛」
開花時期:7月~11月
別名:雁来紅(がんらいこう)
葉鶏頭(はげいとう)は葉の形がにわとりのトサカに似ていることから名付けられました。また、雁が飛んでくる時期に葉が赤く色づくことから「雁来紅(がんらいこう)」という名でも有名です。

■カンナ


花言葉:「情熱」「尊敬」
開花時期:7月~10月
原産地は中南米。欧米で好まれる花で品種改良により様々な花の色を楽しめるようになりました。

■山丹花(サンタンカ)


花言葉:「張り切る」
開花時期:5月~10月
開花時期が比較的長く、春から秋まで楽しめる花。小さな花が手毬のように丸く咲く姿がかわいい。

寒露に食べたい!旬の食べ物
■銀杏(ぎんなん)


銀杏(ぎんなん)はイチョウの実で、白い殻を割ると中には翡翠色の実が入っています。ぎんなんの実を素手で触ると手が荒れることがあるので要注意。
ぎんなんの薬膳的効能
ぎんなんは肺に潤いを与え、咳や慢性ぜん息など呼吸器系のトラブル改善に効果的です。収斂作用もあるため、頻尿にも有効。

■ザクロ


ザクロは旧約聖書にも登場するほど古くから食されてきた果物。日本でも平安時代から栽培されていたといわれています。継続して食べることで健康や美容にメリットが。
ザクロの薬膳的効能
ザクロは潤いを補い、のどの痛みや咳止めとして効果的です。また大腸にも作用し、慢性の下痢や不正出血を止めるのにも有効。

■チンゲン菜


青梗菜(チンゲンサイ)は中国から伝来した野菜で、日本語名で「体菜(たいさい)」といいます。 みずみずしくシャキシャキした食感が特徴。
チンゲン菜の薬膳的効能
チンゲン菜は身体にこもった熱を取り除き、血の巡りを良くする作用があります。体が冷えやすい人は食べすぎに注意。

■りんご


りんごはさまざまな品種が楽しめる身近な果物。ビタミンやカリウム、ペクチンを豊富に含み、「1日1個のりんごは医者を遠ざける」と言われるほど健康によいとされています。
りんごの薬膳的効能
りんごは胃腸のはたらきを助け、消化不良や疲労を回復してくれます。また、肺にも作用するため咳やのどの渇きなどにも効果的。
 

補足:「十三夜」の意味や由来
十三夜は、旧暦の9月13日~14日の夜をいいます。十五夜が中国伝来の風習であるのに対し、十三夜は日本で始まった風習。十五夜では月の神様に豊作を願います。十三夜は、稲作の収穫を終える地域も多いことから、秋の収穫に感謝しながら、美しい月を愛でるのです。

この時代は、月の満ち欠けなどを用いて暦を計算する旧暦を用いていたため、人々の生活と月は密接につながっていました。

2022年の「十三夜」は10月8日(土)


旧暦は、毎月新月から数え始めます。新月から数えて、14日目~17日目が満月です。十五夜は新月から数えて15日目なので満月、もしくは満月に近い月。十三夜は新月から数えて13日目なので、満月には少し欠ける月です。十三夜は、十五夜の次に美しいとされています。
十三夜のお月見の始まりについては、諸説あります。平安時代に醍醐天皇が、月見の宴を催し詩歌を楽しんだのが、十三夜の月見の始まりではないかという説が代表的です。また、平安時代後期の書物に明月の宴が催されたことが記され、宇多天皇が「今夜の名月は並ぶものがないほど優れている」という意味の詩を詠んだという記述があり、風習として親しまれていたことが分かります。
十五夜も十三夜も、お月見を楽しむことを大切にしており、どちらか一方しか見ないことを「片見月(かたつきみ)」・「片月見」と呼びます。片月見は、縁起の悪いこととされ、災いが来るといって忌まれていました。十五夜と十三夜を合わせて「二夜の月(ふたよのつき)」と呼びます。
また、9月と10月の間に「閏9月」がある年には、十五夜と十三夜が2回訪れ、2回目は「後の十五夜」「後の十三夜」と呼ばれます。閏月(うるうづき・じゅんげつ)とは、月の満ち欠けによって決まる太陰暦の1年と太陽暦の1年とのずれを補うために入れられる月のことです。閏9月が入れられた年は、2回ずつ十五夜と十三夜を楽しむことが出来ます。美しい月を愛でる機会が多いのは、良いことですね。
さらに、東日本を中心に旧暦10月10日に十日夜(とおかんや)と言われる行事がありますが、お月見よりも収穫祭の意味合いが強いです。十日夜に見る月が、その年の収穫の終わりを告げるとされていました。十五夜と十三夜、十日夜が全て晴天に恵まれると、縁起が良いと言われています。(十日夜:新暦では11月3日)