デジタル独裁の実態/一生逃げられない中国の信用スコア~すべてがAIに採点される人生
2022年1月3日
そこで2014年、中国共産党は、信用出来る人民はどこでも自由に行けるが、信用出来ない人民は一歩も動けない様にする制度を導入しました。
(ソース:Harano Times 2021/12/30)
皆さん、こんにちは。この動画を後で全部流しますので、その前に中共の「デジタル独裁」について話をします。
「デジタル独裁」という話は、よく話題に出る様になりました。国際社会で「デジタル独裁」という話が出る時、だいたい中国共産党の社会をコントロールする方法を指します。
デジタル時代で独裁政権が存在すると、自然と「デジタル独裁」が生まれます。例えば、皆さんが聞いているウイチャットという通信サービス、アリペイという決済サービス等は、全部「デジタル独裁」のツールの一部です。
これらのツールを使っている人の個人生活から仕事等まで、全てをコントロールする、監視する事が出来ます。
では、何故、ここまで監視しないといけないかというと、独裁政権が一番怖いのは、国民からの反抗です。でも、この様な「デジタル独裁ツール」があれば、国民からの反抗を出来るだけ早く最初の段階で止める事が出来て、徐々に人の思想をコントロールする事が出来ます。これは、「デジタル独裁」の目的です。
中国共産党がそこまでして、国民の個人情報をシッカリと管理する1つの目標は、個人をグループからピックアップする事です。
個人のプライバシーというのは、自分を政府のコントロールから守るとても重要なモノですが、中共は中国人の"プライバシー"という保護機能があるモノを失くす事によって、個人をグループの中からピックアップし易くしています。
人と政府が対抗する時に、人がグループとなって、群衆として政府と対抗しないと意味がありません。
でも、中国共産党が社会組織を厳しく管理した上で、個人のプライバシーまで全部把握する事によって、人がグループ化出来ない様にして、1人1人の個体にします。
何かあった時、その1人をピックアップすれば、その1人と国の暴力機関との対抗になりますので、その1人1人には勝ち目がありません。
また、「デジタル独裁」があれば、個人をコントロールするだけではなく、国民というグループに対するコントロールを強化する事が出来ます。
例えば、共産党が同じ内容を一瞬で全国民に送りつけて、指示をする事が出来ます。これは、グループに対するコントロールです。
この様な事によって、人は「いつでも監視されている」 「政府と対抗する為に何かをやっても無駄」と考える様になりますので、政府がそこまでコントロールしなくても、個人が自分の言動に気を付けて、自己管理する様になってきます。
だから中国の何処に行っても、仮に海外に行っても、中国政府に見られている様に、その基準に基いて行動します。
勿論、これだけでは足りません。独裁政権が国民をコントロールする最終的な目的は、全ての国民に対する洗脳です。
人の意識をコントロールして、強制ではなく、人が自分の意識で、その政権を擁護する様になる様にする事が最終的な目的です。そこまでいけると、政府が人の行動を思うままに操作する事が出来ます。
例えば、反日のデモが必要な時、人にその様な政府の意図を匂わせれば、人は自ら反日デモをします。アメリカと関係が悪い時、自然とアメリカの映画を見なくなります。これは、独裁政権が一番見たい状況です。
しかし、人には思想がありますので、政府としてシステム的に人の思想をコントロールした上で、継続的に洗脳し続けないといけません。これも何故、中国は外部からの情報を制限して、国内で嘘をつき続けているのかの理由です。
「デジタル独裁」の基礎になるのは、個人情報です。では、中国政府はいつから情報の収集を始めたかと言うと、1997年、中国の銀行は信用システムの構築を始めました。
その目的は勿論、ローンの貸付でリスクをコントロールする事がメインです。銀行がお金を貸し出す事に、コストやリスクがあります。しかし、リスク自体には価値がありません。だからリスクをデータ化、指標化してくれるのが信用システムです。
普通の国では、金融機関が主体として情報を共有する事によって、信用システムを構築していきますが、中国の場合は政府が主導でやります。
それで、2004年から中国政府は、中国企業の情報の収集を始めました。2013年、中国の国民(全人代)は、信用システムで使う情報の収集に関する規定を出しました。その規定は情報収集に関する話を色々決めて、あらゆる所から個人情報を収集する様にしましたが、その情報をどう使うかについて、ハッキリ決めませんでした。
中国政府が法律で決められている事すら守らないのに、決められていない事であれば、勿論、自分を制限する事(方向性)はありません。だから、中国政府のあらゆる部門が信用システムを使う事が出来て、全く裁判等が無いまま、信用システムを利用して、個人の自由を制限する事が出来ます。
ですので、社会信用システムと言うと、銀行のローン等を思い出して、それがあって当たり前と考える人が多いと思います。しかし、中国の信用システムは完全に違うモノです。
金融機関等が損失を回避する為に使う、限度があるモノではなく、政府の独裁を守る為に、個人に対して、無限のコントロールが出来るデジタル独裁のツールです。
今回の動画で、中国の一般国民は社会信用システムをどう思っているのか、もし、ブラックリストに載るとどうなるのか等について話をしています。この動画は、2019年の動画になりますので、今の技術は更に進化して、コントロールも強化していると考えても問題ありません。
1点だけ事前にお伝えしたい事は、この動画の最初の40秒位には、著作権に引っ掛かるBGMが入っていますので、「音声無し字幕のみ」になります。ご了承下さい。では、どうぞ。
(本編)
あなたの行動、購買活動、振る舞いが全て追跡され、政府があなたにスコアを付ける様な生活を想像してみて下さい。
そのスコアによって、あなたが市民としてどれだけ信用出来るか、この先あなたが何をして良いかが決まるのです。
電車に乗るのも、住宅ローンを組むのも、全てこのスコアで決まります。
これが、「社会信用システム」と呼ばれるものです。
まるで、映画『ブラック・ミラー』の様な話ですが、実際には中国で導入が進んでいるのです。
これは、生活にどの様な変化をもたらすのでしょうか?
生活を一変してしまう事なのでしょうか?
あなたの一挙手一投足が監視される生活とは、どの様なモノでしょうか?
「システムの目」はビックデータ、人工知能、そして、およそ2億台の監視カメラの中に潜んでいます。
昊玉(ハオユー)さんは、それを全く気にしていません。
彼女は21歳で、良い学校を良い成績で卒業しました。勤勉で感じの良い子です。
当然スコアも752点。
これは、セサミ・クレジットという民間企業が、中国政府と共同開発したアルゴリズムに基いて計算したものです。
スコアは350点から950点迄あり、その人の習慣や行動を評価します。
服やおむつを買うのは良い事。
飲酒やゲームのし過ぎは、あまり良くない事。
ハオユーさんのスコアは752点で、「模範的市民」に分類され、割引を受けたり、保証金なしで自転車をレンタル出来る等の特典が与えられます。
彼女も彼女の友人も、それに満足しています。
彼らは皆、かなり高いスコアを持っています。
ハオユー:「これは、より良い市民となり、特に中国で生活する上での信用を積み上げてくれるシステムです。」
ハオユーの友人①:「だって何も悪い事をしていないのに、罰せられるなんて、有り得ないでしょう。」
ハオユーの友人②:「そこがポイントだと思います。このシステムは、人々が良い市民となる事を、警告やアラートで後押ししてくれているのです。」
「このような国民になれば問題ない」という考え方は、とても怖い考え方です。このシステムの中で、誰が良い人で、誰が悪い人なのか、どの様な行動は良い行動で、どの様な行動は悪い行動なのかを決めるのは、犯罪組織である「中共」です。
勿論、一般的な道徳に関する事も入っていますので、このシステムは良いと思う人も多いと思いますが、実際、中国共産党がやりたいのは、人の道徳を上げる事ではありません。しかし、多くの中国人はそれに気付いていません。
しかも、これは強制です。全国に普及すれば、中国の国民一人一人に、信用スコアが生涯に渡って割り当てられる事になるのです。
奇妙なのは、多くの人がそれに納得している事です。
中国は、あっという間に極貧国から経済大国に成長しました。
しかし、信用システムは、同じペースで成長しませんでした。
その為、人々はローンを払えなくなると、そのまま逃げていました。
更に、偽の食品、汚染粉ミルク、模造品等の問題が相次ぎ、その結果、信用に大きな問題が生じました。
そこで2014年、中国共産党は、信用出来る人民はどこでも自由に行けるが、信用出来ない人民は一歩も動けない様にする制度を導入しました。
そのモデル都市となったのは、栄成市です。山東省にあります。
整然とした街並みにはゴミ1つなく、車は減速してくれます。
中国では考えられない事です。
宣伝ポスターには、誠実や信用という言葉が使われています。
展示ボードには、「栄成市で最も栄誉ある市民」の写真が飾られます。
スコアは1,000点からスタートします。
レポートは、いつでもプリントアウト出来ます。
信号無視、ゴミのポイ捨て、タバコの吸い殻の投げ捨て、嘘の流布等は減点対象です。
多くの監視カメラに加えて、かなりアナログな監視もあります。
ポスターには、ポイントの獲得方法と減点項目が表示されています。
そして毎晩、地元のテレビが、その日の監視映像のハイライトを放映します。
彼女の名前は焦さん。
彼女は、「情報収集員」として近所を歩き回り、人々の行いを記録する事で収入を得ています。
例えば、酔っ払いを家まで運んだ男性は、良い行いをしたと彼女に評価されました。
しかし、悪態をついたり、無礼な態度を取った農夫は、悪い行いと報告されます。
彼女のノルマは月に10件。
彼女はこの仕事を気に入っており、この監視が街を良くしていると考えています。
社会的信用システムの問題は、未だ統一の評価システムが存在しないという事です。
地域によってルールが異なります。
では、信用スコアが低い人は、どうすれば良いのでしょうか?
例えば、中国版TwitterであるWeiboで相談する人もいます。
スコアに問題を抱える人々が不満を述べたり、アドバイスを受けられる掲示板があります。
重慶で、黄さんという男性に会いました。
以前、彼は会社を経営していて、クライアントから訴えられましたが、約1千万円の和解金を払う事を拒否しました。
それで、裁判所は彼をブラックリストに載せたのです。
その為、生活は更に悪化しました。
彼は、「ブラックリスト入り」の現実を語ってくれました。
飛行機や列車のチケットを買えません。買おうとすると、「信用なし」と表示されます。
昨年末迄に、ブラックリストに載った人々は、2,300万回分の航空券と500万回分の高速鉄道の予約を拒否されました。
それだけではありません。
信用を失えば、仕事も、ローンも、ホテルも、子供を特定の学校に入れる事も難しくなります。
更に、公衆の面前で恥をかかされます。
ブラックリストに載った市民のフォトギャラリー、借金をしている人が自分の周りに居るかが分かるアプリもあります。
中国では、監視される事は目新しい事ではありません。
しかし、アルゴリズムによる監視は、政府に従わない人の詳細な個人情報データの収集を可能にします。
今、地球上にある全てのビデオ監視カメラの内、半分近くが中国にあります。
レポーター:「人々は、プライバシーに関する心配をしていますか?」
市民:「多くの監視カメラが安全を保証してくれていると思っています。それは本当に良い事です。多くの人がそれを受け入れています。」
カメラは進化し続けています。
レポーター:「私の顔から取得する情報で、中年の女性である事、眼鏡をかけているかどうか、顔の形等を特定するのです。」
AIは、次の段階へと進化しています。
単に認識するだけではなく、その人物の事を理解しているのです。
どの時点で、テクノロジーは「行き過ぎ」となるのでしょうか?
既にそうなっているのでしょうか?
市民:「殆どの場合、人々はそんな事気にしていません。しかし、もしテクノロジーが学習し過ぎて、ある一線を超えてしまうと、それはあまり良い事ではありません。」
レポーター:「一線を引く必要が生じるのは、どれ位先の事でしょうか?」
市民:「非常に難しいところです。10年か、20年か、15年か、そんなところでしょう。」
レポーター:「そんなに先ではないですね。」
市民:「そうですね」
レポーター:「すぐそこですね。」
市民:「そうですね、すぐそこです。」
どんな結末が待ち受けているのでしょうか?
ハオユーさんは気にもしていない様です。彼女の信用スコアは高得点。
人生は上手くいっていて、オンラインで生活する事に慣れている。
学歴や病歴、法律違反等が、即座に信用スコアに反映される人生。
どこへ行っても、誰かが後ろからついてきて、こう尋ねるのです。
「あなたは誰を信用しますか?」
【動画】
【日本語字幕】デジタル独裁の実態、一生逃げられない中国の信用スコアすべてがAIに採点される人生 | 2019