マグニツキー法(人権侵害制裁法)の時代に突入/その必要性とは?

2021年12月4日

 

(ソース:Harano Times 2021/12/04)
皆さん、こんにちは。
2009年、ロシアの税理士マグニツキーは、ロシアの税務当局が関与した2億3千万の不正を調査した後に逮捕されて、モスクワの刑務所で死亡しました。
マグニツキーの友人ビル・ブラウダは、ソ連崩壊後、ロシアで活躍したアメリカ生まれのビジネスマンで、彼がこの事件を公表し、汚職に関与したロシア人を制裁する法律を策定する様にとアメリカ政府に働き掛けた結果、ロシアで亡くなってしまった税理士マグニツキーの名前で命名された人権保護に関連する法律が作られました。
この法案は、世界全体を適用範囲にする法案で、米国政府が人権侵害者と見做した者を制裁して、米国への入国を禁止する権限を与えた法案です。今、複数の国で、この様な法案が成立しています。法律によって、実際の名前が違ったりしますが、このマグニツキー法という名前は、世界中で人権保護法の代名詞になりました。
マグニツキー法は人権侵害者を制裁する事によって、人権侵害を止めさせるようにプレッシャーを掛ける方法となります。
当時、ロシアの人権侵害をきっかけに作られたアメリカのマグニツキー法の名前を、よく聞く様になったのは、ロシアの人権侵害ではなく中共の人権侵害が益々深刻化しているからです。

例えば、トランプ政権は2017年、マグニツキー法を根拠にウイグル人に対する人権侵害を行ったという理由で、ウイグル自治区共産党書記:陳全国と他の3人を制裁しました。
彼らのアメリカにある資産が凍結され、金融機関との取引も凍結され、彼らと彼らの家族はアメリカに行く事が出来なくなり、既にアメリカに居る家族はアメリカから強制送還されます。
それ以外に、香港で人権侵害を行ったと言われている中国共産党の上層部も、この法案に基いて制裁されています。香港の女性のトップ(香港行政長官)林鄭が制裁を受けた後、銀行口座とクレジットカードが使えず、給料は現金で支払われて、彼女はインタビューで、「家の中は現金だらけ」と文句を言った事がありました。
彼女のボスである中国共産党は、中国大陸で彼女の銀行口座を作ってあげていません。

その理由は、彼女は制裁リストに載っているので、もし、金融機関が彼女の為に銀行口座を作ってあげると、その銀行が今後ドルを使えなくなる可能性があるからです。
共産党が世の中の全てのモノを敵にしても、ドルは敵にしない(できない)ので、この場合は、アメリカの制裁を守る事を選びます。
2020年12月7日、EUのマグニツキー法が正式に実施されました。今年の3月に、EUはこの法案に基いて、ウイグルで人権侵害に関わった数人を制裁しました。
それで中国共産党は、EUの制裁に対して、EU議会の議員を含む10人に対して報復制裁をしました。EUの議員たちも制裁を受けたので、それは許されないことだと考えて、EU議会は中国との貿易協定を凍結しました。(詳細は、このチャンネルでもこの件をフォローしましたので、ここでは割愛します。)

中国共産党は腐敗した組織です。中国共産党員、特に共産党の上層部はあらゆる手段を使って、中国で大量の富を集めて、それらの資産を海外に移してきました。
その理由はとても簡単です。彼ら共産党員は、自分の資産を中国に置いておくと、とても危険、いつでも没収される可能性がある事をよく知っているから、自分の資産を、個人資産をシッカリ守ってくれる自由の民主国家に置いた方が安全だと考えるからです。
もちろん、マグニツキー法が出来たとしても、アメリカがダメでしたら、イギリス、イギリスがダメでしたら、オーストラリアに行けば良いと考えていた共産党員は沢山いたと思いますが、彼らは、民主国家が次から次へと同じ様な法律を作ると思っていなかったでしょう。
世界で影響力がある主要先進国で、アメリカ、イギリス、カナダ、それ以外にEUでもマグニツキー法が出来ましたので、残りはオーストラリアと日本だと言われてきました。

 


オーストラリアの外相が、今年の8月頃にオーストラリア版のマグニツキー法を通す様に努力すると言っていました。それで、最新の報道によりますと、現地時間の今週水曜日(12月1日)に、オーストラリアの上院・超党派で、オーストラリア版マグニツキー法が全員一致で通過しました。
オーストラリアのメディアの話によると、この法案は今年の年末迄に正式に施行されて、オーストラリア政府がこの法律に基いて、人権侵害者に対して、資産の凍結・没収の処罰と同時に、オーストラリアへの入国禁止等の制裁を実施する事が出来ます。
EUが法案を作った3ヶ月後に、ウイグルで人権迫害をしていた中国共産党幹部に対して制裁を行いましたので、今年の年末にこの法律が正式に施行されると、調査・準備の時間も入れて、来年の2月か3月辺りには、オーストラリアも正式にこの法律を使うと思います。
ウイグルと香港で人権迫害をしている中国共産党の幹部が、最初に制裁を受ける可能性が高いです。
今までオーストラリアで、この法案をずっと押してきた上院議員ジェームス・パターソンは、

「数年前、この法案が提案された時、この法案を支持する人は少なかった。しかし、今の政治の世界環境はもう完全に変わった。
私は、オーストラリア、アメリカ、カナダ、イギリス、EU等の同志国が一緒に、この重要なツールで自国を装備し、成長してきた全体主義と闘う。民主国家がこの武器を手に入れて、人権侵害者個人に代償を払わせて、国際社会のルールを再構築する。
マグニツキー法の時代がやってきた。オーストラリアでも盟友と同じ様な法案が出来たので、人権侵害をした海外の官僚が、他の国で制裁を受けた後、もう、オーストラリアを避難所にする事が出来ない。」と言いました。
彼はここで、中国共産党の名前を出していませんが、状況が分かっている人の全員が、彼は中共の事を言っているのが分かります。彼のこの話の中で、先ず人権侵害者個人に対する制裁というポイントを強調しました。

これはとても重要なポイントです。もし、1つの政権が人権侵害をする時、実際に人権侵害をしている個人は、それは自分の意志でやっている侵害ではなく、組織の意志でやっているものだという意識(認識)でやりますので、あまりプレッシャーを感じません。
でも、個人に対して制裁を行うと、これから共産党の指導部から人権侵害の命令があった時、自分も制裁される可能性があると思って、その指示に従う時に手を抜く可能性がありますし、場合によっては、自分の海外にある資産等を守る為に共産党から離れて、海外へ逃げる事すら考える可能性が出てきます。
この様な事が多くなると、共産党員の中でも、自分がこの様な事をやって得する事があるのかと考える様になります。今まで、利益の為に共産党の幹部になってきたので、その利益が消えてしまうと、共産党でやっていく意味もなくなっていきます。

彼の発言のもう1つのポイントは、これから人権侵害をした海外の官僚は、他の国で制裁を受けた後、もうオーストラリアを避難場所にする事が出来ないという事です。
つまり、中国共産党の幹部たちが、ある特定の国または地域で、制裁を受けた後、共産党員が資産を人権法案が無い国へ移す事はもう知られています。
未だ、制裁を受けていない共産党員は、これから資産を移す事を始めます。では、オーストラリアに逃げる事が出来なければ、これから彼らが何処を選ぶのか、私の頭に最初に浮かんだのは日本です。
皆さんがご存知の様に、日本には似たような法案がありません。そうなると、中国共産党員が海外に隠したい資産を再配置する時、これから日本を重点的に考える様になります。
もちろん、オーストラリアでもマグニツキー法が通ったからと言って、全ての共産党員が直ぐに自分の資産を動かし始めるとは思いませんが、その中の一部が資産の再配置を始めて、日本を自分の資産を隠す国にすると決めて、行動したら、それだけでもかなりの資金がこれから日本に流入する事になります。
資産額が大きくなると、自然と主要都市の不動産市場に流れたり、日本の重要な資源である土地を狙ったりします。その後、日本の不動産市場が、実際の日本経済の状況とはかけ離れた値上がりをしたり、重要な土地が外国人、特に中国人に買われていく可能性が高いです。
これは、私個人の考え方ですので、これを基準にして不動産投資で負けたら自己責任でお願いします。
中国の人権問題は、遠くにある存在で、気にする必要がないと思う人も多いと思いますが、世界中で今、人権保護法を通している流れで、もし日本にも同じ法案が無いと、遠くに存在する人権の問題に対応するどころか、自分の国土、自分の生活すら守れない可能性が出てきます。
ここで特に怖い事を言って、恐怖を煽っているワケではありませんが、今の流れで考えると、誰が考えても、この様な結論になると思います。
人権保護という視点で、日本でもマグニツキー法案を通すべきだと思いますが、人権保護に興味がないと思う方でも、自分の生活、自分の国を守るという視点で考えて、この法案の重要性を理解すべきだと思います。

中国との関係を忖度して、この法案が出来ないという事はよく理解出来ますが、世界の流れが今、中共と対立する方向に向かっている時、この流れに乗って行動していかないと、逆に中共がこの機会を利用して、日本と自分との関係を更に深められてしまう可能性すらあります。
中共が崩壊する時、中共と関係が深い国ほど、ダメージを受けますので、日本がそうならない事を願っています。

 

【動画】

マグニツキー法案の時代に突入、日本の不動産価格が爆上がり、土地がさらに買われる時代になるかもしれません、オーストラリア版のマグニツキー法案