共産主義はなぜ深く浸透しているのか?なぜ魅力があるのか?

中間官僚ポストを占めている共産主義と戦うことは極めて難しい
2021年11月24日


(ソース:Harano Times 2021/11/24)
観客1:古典的なリベラリズムや他のイデオロギーに比べて、何故マルクス主義は、これ程迄に深く浸透しているのでしょうか?

ジョーダン・ピーターソン:なるほど、良い質問ですね。

皆さん、こんにちは。この短い動画を後で全部流しますので、その前に簡単に説明します。
この動画で観客からの質問に回答する人は、ジョーダン・ピーターソンです。彼は、カナダの保守派心理学者・作家で、トロント大学の心理学の教授です。彼は十代の時、カナダの左翼政党「新民主党」の為に活動した事がありますが、徐々に距離をおいて、18歳の時にその政党から離れました。
彼のその時の経験が、今の思想に影響を与えた可能性があるかもしれませんが、今の所、私はまだ把握出来ていません。彼は人格心理学・社会心理学・宗教心理学・組織心理学・イデオロギー心理学等の領域で研究を行って、今迄、宗教・資本主義・マルクス主義等について公開討論を行った事もあります。
彼は、ポリコレとアイデンティティ政治を批判する学者です。私のチャンネルで、よくポリコレの話をして、アイデンティティ政治について皆さんに紹介する機会がありませんでしたが、実はアイデンティティ政治は、ポリコレと同じ様にとても危険なモノです。又、機会があれば、皆さんに紹介します。

今回の動画で、彼は何故、マルクス主義はこれ程浸透しているのか?何故、ここまで多くの人を惹きつけているのか?
その理由を、シンプルに心理学の視点で解説しています。
共産主義、マルクス主義について話をすると、何冊の本があっても足りないし、私もずっと勉強していますが、彼の様な学者が自分の専門分野に基いて説明する話を聞くと、このトピックスに興味がある人なら、何か気付きを得る事が出来ると思います。
最後に彼は、共産主義と闘う事は極めて難しい事について話をしていますので、その話について、動画の最後でまた解説します。

観客1:古典的なリベラリズムや他のイデオロギーに比べて、何故マルクス主義は、これ程迄に深く浸透しているのでしょうか?1800年代半ばに誕生して以来ずっと生き残っていて、大学のキャンパス等は殆ど乗っ取られた様な状態です。何故だと思いますか?

ジョーダン・ピーターソン:なるほど、いい質問ですね。

1番最初の共産主義者は、ロシア人だったと思います。議論の前提として言っておきます。
当時の共産主義者は、今日のマルクス主義者ほど哲学的に悪質ではなかったのです。彼らは、ユートピア的なビジョンを持っていたからです。それは必ずしも良い事ではないのですが、彼らはそれが、特に悪い事だとは思っていなかったのです。
その後、古い貴族的なヨーロッパの構造は崩壊し、悲惨な戦争を経験しました。共産主義体制と比べれば、問題の多い帝政時代でさえ、「地上の楽園」の様なモノでした。
ニーチェは、「共産主義は、実験してみる価値がある」と言っていました。ニーチェはこれを、「権力への意志」という概念で説明し、「結果的に何億人もの人々が死ぬだろう」と言いました。これは、歴史上の人物によって語られた、最も注目すべき予言の1つです。
一見、魅力的に見える「ユートピア思想」ですから。しかし、そこには暗い面が隠れています。
自分より豊かな人々は皆、他人から盗んで富を手に入れているという現実です。
そして、それは、人間の持つカイン的要素に働きかけるのです。
(※カイン:逆恨みによって弟アベルを殺した旧約聖書の登場人物)

「豊かな人々は、不正な手段で手に入れている」という現実は、妬みの感情や同様の不正行為を正当化してしまいます。そして人々は、「自分の不正行為は、平等に寄与している」と考える様になるのです。
この様な「憎しみ」による恐るべき哲学は、今や非常に病的で反人間的な精神性によって、更に悪化しています。これは、環境保護運動の根底にも見られます。
もちろん、私たちは地球に対して愚かな事をしています。例えば海洋汚染等は、我々の理解を超えるほど酷い状況です。
しかし私は、環境保護主義者が、「人間は地球の癌だ」と真顔で言っているのを聞いた事があります。もし貴方がそんな事を言われたら、即刻その人から離れるべきです。その様な発言は、心の奥底では大量殺戮を容認している事の表れだからです。

この様に、「憎しみ」に基いた目に見えない動機を持つ連中が存在し、マルクス主義の復活を後押ししているのです。更にこれは、我々の子供たちが受けている偏向教育の結果でもあります。
子供たちは、第2次世界大戦やナチスについては多少の知識があります。しかし、ソ連や中国で実際に起こった事については何も知りません。
私は大学で、よく「人格」について講義をしますが、学生たちは、1930年代に餓死した600万人のウクライナ人の事など教わってきていないのです。殆どの学生は、聞いた事すらないという有様です。「なんてこった!」と言いたくなります。
我々は、人道の為に冷戦を闘ったのです。共産主義が地球を滅ぼす寸前まで行ったんですよ!なのに、突然、「スターリンや毛沢東の度を越した残忍さを新マルクス主義者に気付かれては困るから、教えない様にしよう。」と言い出したのです。
多くの腐敗が、この様な状況を引き起こしています。その根底にあるのが「憎しみ」です。

人間による最悪の感情は、「憎しみ」だと思います。「憎しみ」「偽り」「傲慢」がワースト3です。この3つが一緒になってしまうと、我々は懸念すべき脅威に直面します。

観客2:マルクス主義は衰退していると思いますか?マルクス主義はこれから消えてなくなると思いますか?それとも、より強くなっていくと思いますか?

ジョーダン・ピーターソン:現在のマルクス主義は、ポストモダニズムとアイデンティティ・ポリティクスに変異してしまいました。これは、とてもとても悪意に満ちたモノです。元々は主にフランスの知識人、デリダやフーコーがもたらした思想です。
マルクス主義は消えるどころか、むしろ新しい戦略的な動きをしています。誰も想像していなかった方法で。今や彼らは、あらゆる政治組織の中堅官僚ポストを乗っ取っているのです。
政府組織のトップの顔ぶれを見ても、それほど脅威を感じません。人々を支配する力の多くは、必ずしもそこにあるワケではないからです。より小さな組織の方が、支配力を行使出来るのです。例えば、教育委員会の様な組織。

カナダでは、今、オンタリオ州の弁護士会が、弁護士に倫理原則の声明文を提出する様に義務付けていますが、もともとテンプレートが用意されていて、模範声明文が示されています。
基本的には、公平性、多様性、包括性に関する声明ですが、模範声明文に即した声明文を書かないと、人種差別主義者であると認めたとみなされ、弁護士資格を取得出来ないのです。
だから今、オンタリオ州では、これについて激しく争っています。良い結果になるか、悪い結果になるかは分かりません。
しかし、原因の一部は、一般の人々が自分たちを支配する中堅官僚たちに対して、あまりにも無頓着な事にあります。乗っ取りに長けた連中が、その様な比較的小さな権力の座に就く事を許しているのです。
これは非常に由々しき事であり、我々は目を覚ます必要があります。

彼らに対抗するのは、容易な事ではありません。

 


如何でしたでしょうか?
彼が、共産主義と闘う方法が難しいと言っている理由は、その思想を持っている人は、多くの中間官僚のポジションを占めていて、一般人はそれに気付かず、それを許している事について話をしました。
彼のこの話を聞いて、最近皆さんに紹介してきた教育委員会の話、KGBのスパイが公開した共産主義の浸透の話を思い出しました。今まで皆さんに紹介した話は、何処かで繋がっている事について、皆さんも気付いていると思います。
つまり、これにはある種の普遍性があります。
各国で、その国の状況に合う形で存在しますが、それに気付く人が少ないです。彼のこの話を聞いて、私は何を思い出したかと言うと、過去、このチャンネルでDSに関する話をした事があります。
DSの裏話の様な衝撃的な内容ではありませんので、そこまで面白くないかもしれませんが、まだ聞いた事が無い方は、是非1回、聞いてみて下さい。(一番下に貼付)

今、いわゆる「DS」の重要な構成になっているのは、この心理学者が言っている“中間官僚ポスト”を占めている官僚たちです。もちろん、アメリカのDSになっている人は、全員マルクス主義者であるという事を言いたいワケではなく、DSが中間官僚ポストを占めていて、それに気付かない人が多く支配されています。
この心理学者は、それと闘う事は極めて難しいと言っています。確かにそれはそうです。

でも、完全に出来ないワケではありません。DSに関する動画で、どうやってその問題を解決するかという話をした事がありますが、この共産主義と闘う方法と共通すると思います。
長い時間が掛かる。幼稚な考え方だと言われる事もありますが、共産主義者・DSが時間を掛けてとっていったモノを、そう簡単に取り戻せません。

今日の動画の最後に、過去、公開したDSに関する動画の最後の部分で終わらせます。

では、以上の説明に基いて、DSをどう無くすかという問題を考える時に、やはり政府の権力、政府の管轄範囲を出来るだけ制限する必要があります。
政府が大きければ大きい程、政府が複雑であれば複雑である程、一般国民の監視から離れて行きますので、目に見えない所で一部の人が、自分の利益の為に動く事が出来る様になります。
政府の多すぎる職能を減らして、国民に選択の権利を返す事です。でも、このワシントンの泥沼は、1日で出来たモノではなく、数十年、百年の歴史の中で徐々に出来たモノですので、トランプ大統領の様な人が、ワシントンに入って、一気に全部変える事は無理でした。
前回の大統領選挙で、皆さんが見てきた様に、トランプ大統領がそこまでやって、その結果をひっくり返す事が出来ませんでした。DSのネットワークの強さが分かります。
国民が選んだ大統領が、ホワイトハウスから追い出された事は、人民の人民による人民の為の政治を壊した最も大きな例です。
トランプ大統領の様に真正面からDSを無くす為に闘う方法は、上手くいかなかったので、やはり各領域で具体的なルール改定や、法律の作成によって、少しずつ政治の環境を変えていく必要があります。

この様な話をすると、時間が掛かり過ぎると思って、1人のヒーローが出てきて、一気に全部を変えてくれる事を期待する人が沢山出てきます。でも、それは現実性が無い事です。
DSは急に空から降ってきたモノではなく、長い時間を掛けて、今の力を手に入れました。トランプ大統領の様な人が、それを変えようとしたので、DSが一緒になって彼を降ろしました。
だから、DSを無くそうとすると、DSから絶対反発を受けますので、保守派をメインとするDSに反対する人も、時間を掛けてやっていくしかないです。
そして、トランプ大統領の様な人が出てきたとしても、任期の制限があります。
今回は4年で、彼の任期が終わってしまいました。次出てきたとしても、任期は4年間。大きな問題もなく、健康も許せば、8年間になります。
でも、数年だけでDSをアメリカから無くす事が出来ません。ですので、1人のリーダーがしっかりとした計画を作って、その後の人もそれに沿って行動し、時間を掛けてやっていく必要があります。

トランプ大統領が始めたMAGA運動は、正にDSと長期間掛けて対抗していくベースになると思っています。アメリカを再度偉大にする為に、今のアメリカを、建国者たちが考えていたアメリカに戻す必要があります。
人民の、人民による、人民の為の政治に戻して、DSの為の政治ではなく、国民の為の政治にする必要があります。多くの人がMAGA運動に参加する様になると、トランプ大統領が政治から離れて、他の人が大統領になっても、その国民からの圧力で、その政策、その主張を継続する可能性が高まります。ですので、その運動が拡がると、1人のリーダーの任期の終了によって止まってしまうような事はなく、DSと時間を掛けて闘っていく事が出来ます。
よく、大統領選挙の問題すら解決出来ないアメリカが、今後何も出来ないというコメントを頂きます。それには反論する事が出来ないです。
でも、左翼が報道をコントロールしているので、あまり報道されないだけで、実は多くの州は選挙の法律を強化する様に動いています。
例えば、先日テキサス州の新しい選挙法が、多くの左翼の反対を押し切って、正式に通りました。この話を言うと、結局ドミニオンがという人も出てきます。でも、ドミニオンが1回暴露された事によって、今後、投票機械に対する制限も厳しくなっていくに違いないです。

トランプ大統領がホワイトハウスから離れた後、私は動画の中で、保守派の動きはいつも遅い。何故なら、保守派が守らないといけないモノが多い。責任を負わないといけないモノが多いので、思い立って行動する事が出来ない。
でも、自分たちが大事だと思うモノに傷がついて、もう行動しないとイケナイと思った時に、力を発揮すると話しをした事があります。前回の選挙の事で、アメリカの問題は暴露されて、多くの人がその問題を知りました。
今もそれを解決する為に、違う方向で動いている人や団体がいます。これからは時間を掛けてやるしかないです。但し、それに掛けられる時間は、無限にあるワケではありません。
バイデン政権はアメリカを壊している。中国共産党は弱体に向かっていると言っても、まだまだ体力があるし、これから戦争を起こす可能性すらあります。この世界が取り返しのつかない混乱に陥る前に、アメリカ、又は各国の保守派が、DSに奪われたモノを取り返す事が出来るかが、問題(焦点)かもしれません。

 

【動画】

共産主義になぜ魅力があるのか?中間官僚ポストを占めている共産主義を戦うことは極めて難しい

 

【参考動画】

DSとは何か?CIA?FBI?CDC?中央銀行?ホワイトハウス?国会?