米大統領選最後のTV討論会 「バイデンの情報隠蔽をトランプが見事に撃ち返す」

2020年10月24日

 

はじめに、米主要メディアが伝える支持率は、バイデンリードとなっているが、その世論調査には重大な欠陥がある。
CNN等の世論調査の欠陥=それは、ラストベルト/いわゆる激戦州の白人・高卒・男性の数字が含まれていないことだ。

ラストベルトは工場が多い州です(ミシガン、オハイオ、ペンシルバニア、ウィスコンシン)

 

■CNNの州別予想=バイデンが圧勝。

ラストベルトと呼ばれる地域も、水色(バイデン)になっている。

それに対して
■10/21 FOX News が、激戦州の世論調査を出した。


ラストベルト(ミシガン、オハイオ、ペンシルバニア、ウィスコンシン)の詳細調査


※白人 高卒 男性は、圧倒的にトランプ支持(この地域はこの人たちが多い)
※また、郊外の住民は、圧倒的にトランプ支持(都会と郊外ではハッキリと異なる)
世論調査は、ラストベルトの白人高卒男性の数字が含まれていないだけでなく、実は都会ばかりで、郊外の数字が入っていないのだ。

それからもう一つ、
ラストベルトの"他の選挙状況"を見ると、大統領選の予想ができる、と言われている。
他の選挙状況とは、大統領選挙と併せて行われる、上院議員選挙、下院議員選挙のことだ。

特に上院議員選挙が重要だが、ラストベルトのミネソタ上院選では、もともと民主党の現職がリードしていたのだが、今、共和党の新人が急激に追い上げている。拮抗状態になっている。


■10/22 THE HILLの記事 「ミネソタ上院選 民主・共和が拮抗している」


ミネソタだけでなく、他のラストベルトでも似たような現象が起きている。
これらの状況を見ると、ラストベルトは、4年前の再現(トランプの勝利)になりそうな感じだ。
 

【最後のTV討論会】

討論会の前に、トランプがメディアからの質問に対して答えている。
「通常の最終討論会は"外交"がメインディッシュのはずだが、今回、外交(フォーリン・アフェア)を大きく取り上げないんだ。本来は、外交を多く語るべきなのに・・・。
司会者はバイアスがかかった人だ。・・・だけど、これが私の置かれた立場だ。」と語った。


そして、討論会場に入る。トランプはいつも通りマスクはしていないが、バイデンは黒いマスクで登場し、演台に立ってからマスクを外した。マスクを終始持っていて、演台の上にずっと置いていた。バイデンは、討論の中でもマスクの話を何度もしていて、カメラに向かって「要はマスクだ。マスクをしていれば大丈夫だ。」と言っていた。


【主要論点】
■パンデミック:バイデン

いつもの通りにトランプを批判し、特に初期の対応が悪かったと、同じ事を言っている。
「大統領にはプランがない。私にはプランがあります。」と。


■パンデミック:トランプ
プランはありますよ。まずはワクチンです。ワクチンの開発を進めていて、それは早く出来ます。司会者が、「そのすぐに出来そうなワクチンの会社名を言えますか?」と質問。「ジョンソン&ジョンソン、モデルナ、ファイザー、他にもある。欧州の企業にも米政府として期待しているところがあると。」 これらの3社は以前から言われている会社で、予想されている会社だ。
そして、「プランがない」と言ったバイデンに対して、こういう切り返しをした。
「H1N1-Swine 豚インフルエンザ」が、オバマ・バイデン政権時に猛威をふるった。大量の感染者を出した。感染者の数では、今回のパンデミックよりもはるかに多かった。死者の数がたまたま今ほど多くなかっただけで、感染者数は多かった。
あの時に大量の感染者が出たが、もしもオバマ・バイデン政権の対応だったら、今頃は70万人以上の犠牲者が出た可能性がある。当時の豚インフルの責任者がバイデンだった。

バイデンは当時、「あれは酷かった。どうすべきか分からなかった」と言っていた。そのように言っていた者が、今出てきて我々に対して「こうすべきだ」と言っている。おかしくないですか?
という切り返しをしている。
また、バイデンは8年間も副大統領として政権にいたが、何の実績もないではないか?と何度も言っていた。

■国の封鎖:トランプ(国のシャットダウンについて、すべきではないという立場)


感染者の99%の人々は回復している。そのような状況で、国を封鎖してはならない。国を封鎖することの方が、逆に犠牲者を増やすことになる。特に若者は回復が早いので、学校を閉鎖してはならない。と強調している。
一方、バイデンは封鎖せよと言っている。


■パンデミックの責任:バイデン
バイデンは、「大統領は、"私には責任がない"と言っている。」

それに対してトランプは、「私は全責任を負います。」と言い切った。この発言は非常に良かったと思う。
そして更に、「ただ、これは中国の過ちであって、私の過ちでも、ジョーの過ちでもない。」と言い、「なぜ我々の間だけで、こんなに攻め合っているのだ。問題は、中国だろう?」と、中国のことを言ったことも良かった。


■シャットダウン(ロックダウン):トランプ
「バイデンの主張はシャットダウンだけじゃないか。しかし、厳しくシャットダウンをした民主党の州こそ、死者が増えた。」・・・数字で見て全くその通りだ。

「民主党の州知事の州こそ厳しいシャットダウンをして、結果、死者が増えている。にもかかわらず、バイデンは"シャットダウン"と言い続けている。これはおかしい。」と言っている。

■プレキシガラス(アクリル板):バイデン
「いや、ただシャットダウンすれば良いと言っているだけではない。シャットダウンではなく、安全なオープンを言っているのだ。例えば、レストランにはアクリル板が必要なのだ。レストランにはアクリル板を入れろ。」と。
それに対し、トランプは冷静に
「何を言っているのだ。今みんな厳しいシャットダウンのせいで、店が潰れそうなんだ。潰れそうなお金のない店に対して、高いアクリル板を買えって言うのかい?買えないだろう。」

と見事に撃ち返した。

■ロシアの選挙介入:バイデン (ここぞとばかりに)
「ジュリアーニ(ハンターのメール疑惑を暴いた人)は、ロシアの手先だ。そのロシアの手先のジュリアーニが、トランプの個人弁護士をやっている。そもそもトランプは、プーチンに対してやけに優しいではないか?なぜ大統領はプーチンを責めないのだ?」と。
いかにも、ジュリアーニが最近暴いていることは、全てロシアの選挙介入だと。皆さんそんな話に騙されないで下さい、と間接的に言っているのだ。
そして、トランプの切り返しは、
「あなたの家族はロシアから350万ドルもらっているじゃないですか。(元モスクワ市長の妻からハンターが350万ドルもらっている。それがバイデン家に入っている)
これは、国民に説明しなければならないですよ。」
「私はロシアから金なんかもらってない。ロシアから金をもらっているのは、あなたでしょ。」と切り返した。

■納税疑惑:バイデン (トランプは毎年8万円ぐらいしか税金を払っていないという疑惑)
「私は過去の納税記録を公開した。しかし、あなたは公開していない。あなたが隠しているのは、納税記録の中身に中国から金をもらっているからだろう。」と。

※バイデンは自ら墓穴を掘っている・・・
それに対しトランプは:
「納税については、"プリペイド" 数百万ドルを前払いで払っている。この証明は後で出しますよ。」と。
そして中国から金をもらっていることについて、トランプは、「私はロシアゲートという魔女狩りにあった。3年間ずっと、ロシアと共謀していたのではないかと疑惑をかけられ、調べられた。
その時、FBIとIRS(米国税局)が私の納税記録を調べたじゃないですか?その結果何も出てこなかったですよね?」と、脱税の容疑はないということを、FBIとIRSが認めてくれていますよと、いう風に切り返した。


そして、本丸に入る・・・
■賄賂疑惑:バイデン
「息子がウクライナの会社の役員になったのは、後で知った。私は完璧な仕事をした。
息子は中国から金を得ていない。中国から金儲けをしたのはこの男だ。」と。


■賄賂疑惑:トランプ
「バイデンの息子は、ずっと長い間失業していた。軍にも入れなかった。そんな彼が、バイデンが副大統領になった途端に、ウクライナのブリスマという大きな会社の役員になった。そして月収が2000万円、更には入社時に前払い金として3億円ももらっている。しかし彼は、そのエネルギー事業については何の経験もない、どういう事なんですか?」
それに対しバイデンは、「多くの人がそれについて調べて、彼には何も問題がなかったのだ」と言っていたが、何の説得力もない。
トランプは、「私はビジネスマンとして、中国事業をやっていたが2015年に止めている。止めてから大統領選に出たのだ。バイデンは逆に、副大統領になってから家族が中国ビジネスによって儲けた。どういうことなんですか?」と。

私はウクライナからお金をもらっていない。君はもらった。

私は中国からお金をもらっていない。君はもらった。と、印象に残るうまい話し方だった。

 

【総括】
バイデンは今回、必至に疑惑を隠蔽しようとした。
この隠蔽ロジックを、トランプが見事に撃ち返した。そういう大統領選TV討論会だった。
客観的に見て、トランプの大勝利だった。

 

ちなみに、討論会後すぐに日本で出た記事は・・・(もちろん事実は伝えない)

"引き分け"と言うのが、精いっぱいなのだろう。

 

 

【追記】 おまけ

前半の「パンデミック」のみのポイント字幕解説

※バイデンが最後に付ける口癖「カモ~ン」が、気になります。