4月20日のニューヨーク原油先物市場で、史上初めて価格がマイナスとなりました。

今朝はこの一報で起きました。マイナスってどういうこと?

※日経新聞より

原油需要が激減するなかで在庫が増え、保管スペースが枯渇。買い手がつかなくなった。

ファンドが投げ売りし、1分で10ドル以上下落する場面もあった。4月21日に取引を終える5月物だけの局所的な話だが、世界を代表する国際商品市場で極めて異例の事態である。

米国のWTI原油先物市場において、5月物が一時、1バレル -40.32ドルまで下落した。

原油の貯蔵施設がまもなく満杯で、買い手が完全にいなくなったということです。

例えば株式の場合は、価格ゼロにはなってもマイナスにはならない。ただの紙屑になるだけです。しかしながら、商品先物は“デリバティブ”なので最悪の場合マイナスになる。

デリバティブは、価格変動する資産(債権や原油)に対して、リスクを回避するために本来“保険”として購入する取引契約ですが、現在では金融会社(ファンド)が“投機商品”として購入しているので、このような大変なことになった。(投機は全て害悪)

WTI原油先物(原油を購入する権利)を買うと、期日になると米国オクラホマ州のクッシングで現物(原油)が受け渡される。そこには、9000万バレルの貯蔵タンクがありますが、今はほぼ満杯になっているとのこと。また、パイプラインが周辺の州にも繋がっているそうですが、その他の州でも在庫が満杯になっているようです。

投機で売買している金融会社は、実際に現物(原油)を渡されても困るので投げ売りせざるを得ないということ。WTI原油先物5月物の期限が、4月21日だった。(期限までは紙上の契約でしかないが、期限になると現物を渡される。この売買契約は破棄できません。)

クッシングの貯蔵タンクが一杯で、納品されても困るので原油の買い手がいない。そもそも金融会社が石油を納品されても保管できないし、委託すれば莫大な保管料が必要になる。

先物がマイナス価格とは、要するに原油が過剰在庫となり、かと言って棄てることも出来ないので、お金を払うから石油関連企業に引き取って欲しい、ということ。

(↓ 6月物以降は、まだプラス価格だが、今後どうなるか判らない)

原油価格下落の理由は、

①コロナ危機による需要の大激減(世界経済が一斉に停滞した)

②年初に産油国が増産した。その後OPECプラスによる減産が発表されるが、あまりの需要減に減産しても追いつかない状況となった。

・・・そして、金融会社が購入した原油の行き場がない。

 

米国にはシェールオイル企業が多数ありますが、シェールオイルは掘削コストが高いので、彼らの損益分岐点は1バレル50ドルと言われており、2月の暴落以降すでに危機に瀕しています。つまり、彼らはハイイールド債(ジャンク債)を発行して資金調達している会社が多数あるため、このまま赤字が続くと一斉に破綻してしまう危機に陥っているということ。

但し、これらが一斉倒産するとアメリカ経済・金融市場がパニックになるので、FRBが禁断とも言えるこれらジャンク債の購入を行い、何とか支えている状況。

これを見ても、金融資本市場はやはり末期状態にあると言える。

※投機で儲けようとすること自体が全て害悪であり、世界にはまったく必要ありません。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

何故、ガソリン価格は下がらないのか?

①日本のガソリンはドバイ原油(今回の米国WTIではない)

②高い税金(ガソリン代の半分近くが税金。計57.36円/1リットル)