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岐阜のはずれに家を建てる

岐阜の工務店エムズアソシエイツで建てる家づくり。

間取りのこだわり③は「洗濯物は1階に干す」です。


これまで何度も述べているとおり、わが家のコンセプトは「1階で生活が完結できる家」です。

衣類を洗濯して、これを干すという行為は、たぶん死ぬまで続けなければならない家事の一つです。

わが家は基本的に乾燥機を使わないので、今後よほど劇的な、産業革命並みの変化がなければ、洗濯物干しからは逃れられそうにありません。

ですから、普通なら洗濯物は2階のバルコニーなどで干すのだと思いますが、わが家では、寝室を1階に配置したのと同じように、家づくりを考えはじめたころから、洗濯物は1階に干すことを決めていました。


洗濯物干しに対する妻の基本的な希望は、

〇サンルームなどは必要なく、特に晴れた日は必ず屋外に干したい
〇屋外に干したまま外出しても、雨に降られて濡れるなどの心配をしたくない

というものです。

僕は重度の花粉症なのですが、妻は晴れた日のパリッとした洗濯物が好きなようで、我が家では、春夏秋冬いかなる季節でも、太陽の光をいっぱい浴びられるよう、屋外に洗濯物を干していただいております。

そして、わが家の土地は「伊吹おろし」という北西方向からの強風が年間通じて吹く地域にあるため、雨混じりになった時には、生半可な屋根の下では洗濯物はすぐに濡れてしまいます。

一見して矛盾しているように思える希望ですが、大きめの屋根付きテラスがあれば両方解決できるので、問題はどこにそれを設けるのかという話になりました。


少し話は変わります。

僕は良いご縁に恵まれて、今の土地を買ったわけですが、一時期、買ったことをものすごく後悔した時期もありました。

わが家の土地は、いわゆる南面道路と呼ばれる立地です。

日当たりの良さから、昔から家を建てるには好まれている立地ですが、もし僕が今から買うなら、絶対に北面道路の土地にします。

なぜなら、土地の南側が道路に面しているということは、洗濯物を干す場所も、道路に面していることになるからです。

ついでに述べれば、リビングの窓も道路に面するため、カーテンなどで遮蔽することを常に意識しておかなければ、プライベート空間が道路から丸見えになる可能性が高くなります。

洗濯物を2階に干すのであれば、まだ高低差があるので道路からの丸見え感は和らぎますが、1階の、しかも屋外だと本当に丸見えになってしまいますし、実際に起こるかどうかは別として、下着泥棒の危険性も高くなります(年ごろの娘はちょっと本気で心配していました)。

なによりも僕としては、玄関と同じ側に洗濯物が干されていて、その距離も近かったとすれば、来客も目のやり場に困るでしょうし、そんな状況をわかっていて、何の手も打たずに放置しておくことの「みっともなさ」が許せませんでした。

土地を買って、家づくりを本格化していって初めてそのことに気付き、随分後悔したものですが、そんなことを言っても後の祭りなので、今ではわりと綺麗に諦めています。

ですから、土地の南側に遮蔽物がなく日当たりが確保できる、つまりそれなりの広さがあるというのが条件ですが、もしこのブログを見ている中に、これから土地探しという人がいるとしたら、北面道路の土地を買うことを強くお勧めします。


エムズさんのファーストプランでもその点は考慮されていたようで、建物の東側に物干し場が設けられていました。

最初はそれも良いかと思っていましたが、ある時、実際に建物の東側に物干し場のある家で、その建物自体の影に洗濯物が隠れてしまっており、ほとんど日が当たっていないという状況を見てしまいました。

ひとしきり悩んだ結果、とりあえず「みっともなさ」からの回避よりも、しっかり洗濯物が乾く方を優先させようということになり、物干し場は南側に設けるよう、佐野さんに修正してもらいました。

屋根付きの物干しテラス本体は、既製品(本当はエムズさんに作ってもらいたかったのですが諸々考慮して)ではあるものの、建物の雰囲気に合うような木目調の素材を用いたものを、佐野さんが探してくれました。


その後は、自分たちなりに試行錯誤しながら

〇物干しテラスは玄関からできるだけ離す
〇物干しテラスと玄関との間に、目隠しとして植栽を入れる(視線を少し遮る程度の効果ですが)
〇物干しテラスの南側に木製フェンスを立てて、道路からの目隠しと防犯柵を作る(1階の布団干しの壁を兼ねる)

などの方法で、ほんの少しですが、日当たりの良い南側に洗濯物を干しつつ「みっともなさ」を回避することが実現できたのではないかと思います。

ただ、元々が南北に短い土地なので、道路からテラスまでの距離が近いところだけは、どうにもなりませんでした(車1台分しか離れていません)。


雨風対策としては、とにかく物干しテラスの面積を広くとることで解決しました。

わが家の屋根は、約130㎝という軒の深さなのですが、それにテラス屋根を増設したので、奥行が約210㎝あります。

できるだけたくさん干せるよう、幅も約350㎝とっており、テラスだけで、ほぼ2坪もの広さになりました。


たかが洗濯物干しですが、上に述べたように、年老いても続けなければなりませんし、家事全体に占める負担は相当なものです。

だからこそ、なんとか妻と僕の両方の希望を満たすために、ここには書ききれないことも含めて、相当な時間と労力を割きました。

さらに、コスト的な話をすれば、正直なところ既製品のテラスの価格は高いですし、足場となるデッキの面積もそれなりの広さをとらなければなりません。

それだけ苦労してでも1階にこだわった理由は、言うまでもなく、今まで不便なアパートで家事をしてきてくれた妻が、新居では少しでも負担が軽く、できれば気持ち良く家事に取り組めるようにするためです。