『ロストクライム』つながりで。
私が最初に見た伊藤作品は、彼のデビュー作。そう、『女囚701号 さそり』。
中3の秋、ある日曜日の昼下がりに。
日曜の真っ昼間にテレビでやるかね?
強烈過ぎでした。オクテな田舎の少年にとっては、あまりにインパクトと刺激が強過ぎでした。
『さそり』と言えば、主演の梶芽衣子さんが歌う主題歌の『怨み節』。タランティーノの『キル・ビル』のエンド・クレジットで使われ、再び脚光を浴びたことも、割りと記憶に新しいところです。
作詞は伊藤、作曲は映画の劇伴も担当した菊池俊輔。『仮面ライダー』『ドラえもん』『Gメン’75』『暴れん坊将軍』など、特にテレビでのお仕事に有名なものが多い、その道の巨匠です。
この歌のサビの部分は、常識的な譜割りで歌えば
♪う~らみ~ ぶ~し~(怨み~節~)
となる筈なのですが、伊藤氏は梶さんに
♪う~らみ~ い~ぶし~(怨み~~節~)
と歌うように頑なに指示したそうです。
まさしく「怨みを引っ張る」わけです。ストレート過ぎます。ある意味、作品のテーマに忠実と言えます。
で、数年後、この作詞=作曲の組み合わせが、意外なところで復活します。東映製作のロボットアニメ『惑星ロボ ダンガードA』の主題歌です。菊池氏の得意分野、しかも歌うのはアニソンの帝王・ささきいさお。
どうした経緯で伊藤氏が作詞することになったのか知りませんが、今回の伊藤氏の歌詞は「下げ過ぎだろ」と言いたくなるぐらい対象年齢を下げたような、ほのぼのとした柔らかい感じのものでした。
ちなみに、この番組の劇場版『惑星ロボ ダンガードA対昆虫ロボット軍団』の演出(共同)を担当したのは、何と日本一のカルト監督・石井輝男!血を吸われた人間の死体が累々と横たわるシーンなど、さすが石井演出と言いたくなるグロで奇抜な演出が散見された作品のようです。