『午前十時の映画祭』にて、娘と鑑賞してまいりました。


ジェームズ・スチュワートとグレース・ケリー、黄金期のハリウッド・スターの中で私が一番好きな男女優が共演。しかも、監督もこれまた私の中では5本の指に入るヒッチコックとくれば、スクリーンで観逃すわけにはいきません。


とにかく、グレース様です。私が中3の時、悲劇的な最期を遂げた彼女のニュース映像と、テレビの洋画劇場での追悼放送(『泥棒成金』と『上流社会』)を見てから、完全に彼女の虜。以来28年、恥ずかしながら、初めて彼女のお姿を劇場のスクリーンで拝む機会に遭遇しました。



『スミス都へ行く』でジミー・スチュワートを気に入ったのも中3の時だから、やっぱり1982年は私にとって重大な年だったんだなあ(関係ないですが)。


「一人称の『グランド・ホテル』形式映画」とでもいいましょうか、主人公ジェフの部屋の窓から見える様々な人間模様を、お得意のサイレント映画風手法(遠くで交わされている会話の内容をはっきり観客に聞かせず、当人たちの表情や動きなどで観客に想像させる)などを駆使して巧みに描く技術は、ヒッチコックならでは。


あと、改めて思い知らされたのが、ヒッチコックの女優を描く手腕。グレース様はとにかく美しいのですが、この映画にしても『ダイヤルMを廻せ!』や『泥棒成金』にしても、ヒッチコックの作品では美しさに加えて上品なエロさが漂っていて、彼女の新たな魅力を引き出しています。これは、『北北西に進路を取れ』のエバ・マリー・セイントも同様。アクターズ・スタジオ出身の演技派であるせいか、他の監督の作品ではちょっとカタい感じがして、確かに美しいけどそれ以上の魅力を感じないのですが(失礼!)、『北北西』では(表向きは)男たちを手玉に取る謎のセクシー美女としてのフェロモンがバリバリ放たれています。


主演の二人についても作品自体についても、話せばかなり長くなるので、思い切ってここでは割愛して(え~!?)、強い印象を残す共演者について書いてみたいと思います。


口が達者な看護婦のステラを演じたセルマ・リッターは、舞台出身の実力派。『三人の妻への手紙』『イブの総て』(ジョセフ・L・マンキーウィッツ)、『荒馬と女』(ジョン・ヒューストン)、『西部開拓史』(ヘンリー・ハサウェイ担当部分)など、様々な有名監督・様々なジャンルの映画に出演していますが、なぜかやたらと多かったのがオールド・ミス(もしくは離婚して目下独身)の役。この『裏窓』のように、とりあえず安定した結婚生活を送っている女性の役は珍しいのではないでしょうか。


妻殺しの犯人ラーズ役のレイモンド・バーは、後に人気テレビシリーズ『ペリー・メイスン』『鬼警部アイアンサイド』に主演しましたが、まだこの頃は悪役や敵役が多い時期でした。しかし、正義の味方へ変身途中(?)の1956年、第1作目の『ゴジラ』のアメリカ公開版(アメリカのスタッフが新たにフッテージを撮り足した)に、来日中にゴジラの東京上陸に遭遇するアメリカの新聞記者スティーヴ・マーティン(苦笑)役で出演しました。しかも彼は律儀にも、1984年版『ゴジラ』の海外版(前回とほとんど同じ方法で製作)にも同じ役で登場。ゴジラの復活と日本襲撃がアメリカの軍事面でも重大問題(当時は東西冷戦真っ只中)ということで、30年前にゴジラに遭遇した唯一のアメリカ人であるマーティンが国防総省に招聘され、事態の推移を見守るというナイスな(?)設定でした。


ミスターYKの秘密基地(アジト) )無敵の主演コンビ

ミスターYKの秘密基地(アジト)

麗しのグレース様

ミスターYKの秘密基地(アジト)

世界一のオールド・ミス女優、セルマおばさん