ミスターYKの秘密基地(アジト)

ミクロの決死圏 (ベストヒット・セレクション) [DVD]/スティーブン・ボイド
¥1,490
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娘(小4)と一緒に『午前十時の映画祭』で観てきました。


東側の某国からアメリカに亡命してきた科学者ベネシュが、暗殺未遂に遭い脳内出血で昏睡状態に。彼が持っている重大な知識を必要とするアメリカ軍は、軍事用に極秘開発していたミクロ化技術を使い、医療チームをベネシュの体内に送り込み、外部からの手術が不可能なベネシュを救おうとする・・・。


『鉄腕アトム』のあるエピソードのパクリだという半ば公然の秘密は取りあえず置いといて(苦笑)、原題を直訳したら『幻想的航海』てな感じでしょうか。確かに、血管の中の描写は異次元空間をさまよっているような感じです。

そんな原題に比べると、邦題は無骨というかコテコテ・アクション系ですが、物語のベースが当時たけなわだった東西冷戦を背景にしたスパイ・サスペンスの色合いが強いこと(医療チームの中にベネシュ暗殺の使命を帯びた工作員が混じっているのでは?という、アリステア・マクリーン作品風の展開など)や、ミクロ化の持続時間が60分という、ウルトラマンの変身のようなタイムリミットが設けてあることなどから、ある意味この邦題の方が作品の雰囲気を的確に表現していると言えるかも知れません。


メイン・キャラ7人のキャスティングはチョイ地味です。主演のスティーヴン・ボイトからして、元々悪役が多く、最も有名な『ベン・ハー』のメッサラ役を演じたあたりから(B級作品が多いものの)主役を張るようになった人。他のメイン出演者も当時(1966年)の映画ではよく見る顔ばかりですが、タイトル・クレジットでは「AND ○○○」という形、つまり「トメ」として出てくるような人たちが揃ってます。名優ばかりですが何分「トメ」の集まりなので、地味なのに変わりはありません。そういう意味では、やはりメイン・キャラが4人と少なめのロバート・ワイズ監督『アンドロメダ・・・』に通じるキャスティングのセンスかも知れません。


ただ、あちらの紅一点が太めのおばさん(失礼!)だったのに対し、こちらは周囲の地味さをカバーするかのようにハデ。当時売り出し中のセクシー・ダイナマイト、ラクエル・ウェルチです。同じ年の『恐竜100万年』でのビキニ風原始人ルック(苦笑)とは正反対にお肌の露出はほとんどありませんが、出演場面の大半がボディラインにぴったりフィットのウェット・スーツというかなりベタな設定。中盤でリンパ管の中の抗体が全身にからみつき、それを男性隊員総出でひっぺがすシーンは、正直言ってかなりエロいです(爆)。


これだけの内容が上映時間100分にきっちり収まっているあたり、まさに娯楽映画のお手本と言えるかも知れません。監督を務めたのは、職人系巨匠(?)のリチャード・フライシャーです。


(つづく)