ミスターYKの秘密基地(アジト)

ミスターYKの秘密基地(アジト)
The Lord of the Rings (Original Soundtrack Reco.../Leonard Rosenman
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あ、タイトルは思いつきで付けました(恥)。(1)は『ヘルファイター』【サントラ】です。


『ヘルファイター』の音楽を担当したレナード・ローゼンマンは、元々はコンサートの作曲家や音楽の先生をしていたようです。教え子で友人だったジェームズ・ディーンが『エデンの東』の主演に抜擢され、彼の推薦で同作の音楽を担当したのが、映画音楽の世界に入ったきっかけ。


ただ、基本的に現代音楽系の人だったローゼンマンにとって、「クラシカルで甘めのテーマ曲を」という監督や映画会社からの注文は、ちょっと不本意だったみたいです。それでも、彼が書いた『エデンの東』のテーマ曲は大評判となりました。


日本でも最もヒットしたのが、映画音楽の巨匠ヴィクター・ヤング楽団によるカヴァー演奏でしょう。ただ、当時を経験した世代の中には、このヴァージョンがオリジナルだと思い込んでいる人(さらには、『エデンの東』の音楽担当もヤングだと勘違いしてる人)が多くらしく、ローゼンマンらしい現代音楽的なオーケストレーションが施された同作品のオリジナル音源をラジオで流したら、「あんなミョーなカヴァーを流すな!」と苦情を寄せた人が多くいたようです(困)。


人気作曲家の仲間入りをしたローゼンマンは、続いてディーンの2作目『理由なき反抗』も担当。着々とキャリアを積んでいきましたが、その中でも意外に多かったのが戦争映画。ドン・シーゲル監督、スティーヴ・マックィーン主演の『突撃隊』など、それらのほとんどが小部隊の壮絶な戦いを描いたものでした。その流れなのか、テレビドラマの名作、あの『コンバット』も担当。あの有名なテーマ曲も、もちろん彼の作品。『エデンの東』に『コンバット』を手がけたとなると、一般受けするメロディ・メイカーというイメージもあります。


ただ、現代音楽の作曲家としての彼の本領は、心理サスペンスやSF・ファンタジー映画でしっかりと発揮されました。中には、「♪ロ~ボコ~ップ」の混声合唱でおなじみの『ロボコップ2』という苦笑ものの仕事もありますが。2枚目の写真は、ローゼンマンの「直筆サイン」入り『続・猿の惑星』の限定版サントラCD。ぶっちゃけ、何て書いてあるのか分かりません。「直筆」の真偽を疑う以前の問題です(困)。


ちなみに、個人的に一番のお気に入りのローゼンマン作品は、アニメ版『指輪物語』(78年)。映画自体は不完全燃焼ものでしたが、緊張感あふれる戦闘シーンの曲、ゴールドスミス御大の『オーメン』ばりの不気味な混声合唱曲(また…)、そして異様に明るいテーマ曲と、ローゼンマンの映画音楽の集大成とも言える作品に仕上がっております。


で、彼が音楽を担当したSF映画の中でも最も知名度の高い『ミクロの決死圏』が、明日から熊本でリバイバル上映されます。


(つづく)