ゴジラ・ファンの間では、今日=文化の日は「ゴジラの誕生日」という認識が定着しています。今から55年前の1954年11月3日、シリーズ第1作目の『ゴジラ』が公開されたからです。


私は物心ついた頃から『東宝チャンピオンまつり』で<昭和ゴジラシリーズ>の新作を観ていた、いわゆる“チャンピオンまつり世代”のゴジラ映画ファンです。どうもその頃から、怪獣だけでなく、出演している俳優さんやバックで流れる音楽にも意識がいっていたようです。そういう意味では、「ゴジラ・ファン」というより「ゴジラ映画ファン」だったと言えるかも知れません。


私が小学5年生の時(1978年)、親友のF君が私に2つのゴジラ関連アイテムを見せてくれました。1つは、個々のゴジラ映画の製作背景やスタッフ・キャストにまで言及した朝日ソノラマのムック本。対象年齢層が比較的高い、いわば「大人向けのゴジラ本」でした。そしてもう1つが、シリーズの代表的な音楽を集めたオムニバス・サントラのレコード。この2つは、私が本格的にマニアックな視点でゴジラ映画、ひいては日本映画を観るきっかけになったものと言えます。ムック本でおなじみの俳優さんの名前を知り、サントラ盤を通して伊福部昭や佐藤勝らの作曲家の音楽にハマりました。そして、彼らは日本映画の黄金時代を支えた人々でもあったのです。そこから、私の興味は黄金期の日本映画全体へと広がっていったのです。


伊福部さんとマサルさんは、数年後に一般映画の作品も網羅した全集が発売され、それも買って聴きました。そこから市川雷蔵、黒澤明、岡本喜八といったスターや監督の映画への興味が湧き始めたのです。


クロサワとゴジラは意外にも因縁深い間柄です。昭和ゴジラシリーズのメイン監督だった

本多猪四郎と黒澤は東宝に同期入社して以来の親友同士。晩年は、黒澤の映画に本多が演出補佐として参加し続けていました。土屋嘉男ら贔屓の俳優もかなりカブっています。そんな二人の代表作と言える『ゴジラ』と『七人の侍』は、同じ1954年に公開されました。音楽担当者の伊福部先生と早坂文緒も親友同士(しかも、マサルさんは早坂の弟子で、師亡き後の黒澤映画を支える一方で、伊福部先生に次ぐ登板回数で「ゴジラ映画第2の作曲家」として活躍します)、志村喬らメインキャストも結構ダブっています。ジャンルも雰囲気も全然違うのに、なぜだか「似ている」と思える2本です。


その、シリーズ第1作『ゴジラ』の封切日だった今日は、ゴジラの55回目のバースデーなのです。