31歳男、恥ずかしながら痔瘻になりました。種類は全体の7割を占める低位筋間痔瘻(Ⅱ型)、施術法は切開開放法。昨日ついに日帰り手術を終え、無事生還しました。
ここでは、同じように突如として痔瘻という無情な宣告を突き付けられた方に、少しでも自分の経験を共有できたらと思い、書くことました。


始めに言っておくと、ネット上には無数の体験談が載っていますが、その多くは恐怖感を煽るような内容になっています。自分もその恐怖に怯えることとなりましたが、実際手術を終えてみると、少なくとも自分の場合は、そんな痛みや辛さとは無縁で、何ということはなく翌日から普通に生活しています。もちろん病院や先生、症例や程度にも寄るのでしょうが、このブログでは、なるべく恐怖感を煽ることのないよう、痔瘻に悩んでいる方が安心できるような、そんなありのままの体験記を書こうと思います。とりあえず今は、無事に手術を成功させてくれた先生に、ただただ感謝の気持ちでいっぱいです。


さて、簡単に経過を述べると、まず今年の5月、突如として肛門の痛みに襲われました。始めは「少し痛むなぁ。昨日辛いの食べたからかなぁ」くらいに思っていたのですが、ほんの一週間足らずでみるみるうちに腫れ上がり、あっという間に歩くのもままならないくらいの激痛に発展しました。これが痔瘻の前段階の「肛門周囲膿瘍」というやつで、後にも先にも、この時の痛みが一番きつかったです。親指の爪くらいにパンパンに腫れ上がった膿みの塊で、触れるのはもちろん、咳やくしゃみをするだけで全身に激痛が走りました。排便なんてもう地獄の沙汰でした。


これはもうやばいと思い、慌てて病院に行ったのが、最初に違和感を感じてからちょうど一週間後でした。患部を見るなり先生は「あ〜これは相当痛かったね。すぐ切りましょう」と即決でした。肛門に局部麻酔の注射を打ち、ささっとものの一分程で「はい、膿みが出ましたよ」とビニル袋に入った茶色い液体を見せてくれました。麻酔の注射は正直痛かったですが、その後、あれほどきつかったかつての激痛は、ぴたっとなくなりました。素直にすごいと思いました。


ただ、これはまだ痔瘻の前段階で、この肛門周囲膿瘍が一度できると、瘻管という膿みの通り道を形成してしまい、かなりの確率で痔瘻に発展するとのことでした。そして自分の場合も、例に漏れずやはり痔瘻に発展してしまったようで、すぐでなくとも、いずれ根治手術をしたほうがいいとのことでした。そうじゃないと、また同じように膿みが溜まって切除して、を繰り返すことになると言われました。形成されてしまった瘻管の位置、深さなどを触診してもらい、仕事の都合なども考えた結果、手術は約半年後の12月初旬に行うことに決めました。


それまでの間は経過を観察するだけで、特に何に気をつけるというわけではなかったのですが、実は膿みを切除した時の傷はずっと残っていて、定期的に膿みが出ていました。この傷口がないとまた膿みが溜まって膨らんでしまうので、ちゃんと傷口が残るように切除してくれた先生は、確かな腕の持ち主だったのだと思います。そうして時々膿みを出しながら刻々と時を重ね、ついにブラックデー、運命の12月を迎えるのでした。


12月8日、運命の日。事前にネットの情報を一通り調べていた自分は、正直恐怖に怯えていました。ネットの情報をまとめると、手術自体は麻酔が効いてるからほとんど痛みは感じないが、術後に地獄のような激痛に苦しむ、と大方そんな感じでした。
手術の前準備としては、前日の夜に下剤を2錠飲んで、当日は朝8時以降絶飲絶食でした。またお昼に座薬を2錠入れ、お腹に残った便を出しました。理由は、麻酔を打つと肛門が緩くなって、自分の意思とは裏腹に便が出てしまう可能性があるから、それを防ぐためにあらかじめ出しておく。とのことでした。


さて、前準備を終え病院に着くと、早速血圧を測り、点滴を打ちました。点滴は、おそらく術後に麻酔が切れたことを確認するために尿を出す必要があって、それを出しやすくするためだと思われます。点滴を打ったら、次は腰椎麻酔です。病院や患者さんによっては局所麻酔の場合もあるようですが、確実に痛みを感じさせないためには、やはり腰椎麻酔でよかったと思います。チクッと細い針を腰辺りに刺したら、5分程そのまま待ち、少し痺れるような、感覚が鈍くなってきたな〜いう頃に、いよいよ手術開始です。うつ伏せになり、お腹の下に枕を入れて少しお尻が突き出るような格好で、先生が何やらガサゴソいじり出しました。レーザーだったかわかりませんが、時折電子音のような音も聞こえつつ、痛み含め感覚はほとんどありませんでした。一度膀胱がぐーっと圧迫されるような感覚がありましたが、特に苦しいとかはなかったです。そうこうするうちに、ものの5分程で、あっという間に「はい、終わりましたよ」と声を掛けられ、手術は無事終了しました。


その後麻酔が切れるまで2時間程横になり、最後にもう一度傷口を診てもらいました。痛み止めとガーゼと軟膏を処方してもらい、一通り説明を受けてその日は帰宅しました。当日のお風呂と、術後2週間は運動を避けるように言われたくらいで、食事含め他に制限は特にありませんでした。ただ当然排便時には、傷口を擦るように便が出てくることになるので、なるべく消化のいいものを食べて、便が硬くならないようにしたほうがいいとのことでした。


さて、自分が怖かったのはその後、麻酔が切れた頃に、痛み止めの効果を超えるくらい激しい痛みがあるんじゃないかと怯えたのですが、一晩経っても、座った時にちょっと違和感があるくらいで、特にこれといった痛みはありませんでした。また一番怖れていた排便も、さすがに少しは痛みを伴いましたが、当初の肛門周囲膿瘍時に比べたら比べ物にならない程、ほとんど痛みはありませんでした。何となくいきむ時にあまり力が入らないな、というのはありましたが、とにかく苦しむとかはまったくなく、普通に排便できました。
このように、排便を含め、これまでとほとんど変わらず翌日から普段通りの生活を送れたことは、自分にとって本当に幸せなことでした。とても嬉しいと同時に、そのように苦しみとは無縁になるようにうまく施術してくれた先生に、心から感謝したい気持ちでいっぱいになりました。




と、長くなりましたが、自分の痔瘻体験記は以上になります。これを読んで、少しでも痔瘻に苦しむ人、手術しようか迷っている人の不安を和らげることができたら幸いです。
ちなみに参考までに、自分が手術を受けた病院は、南越谷の「たかせクリニック」という所です。毎回こちらの疑問、要望を聞き入れてくれたり、手術中も安心させるような言葉を掛けてくれたりと、とても親切な病院でした。そして何より経験豊富で、施術の腕が確かでした。ぜひ参考にしていただけたらと思います。


それでは、あなたが一日でも早く痔瘻くんとバイバイできますように。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。