「そうですね~ お客さんくらいの歳で、目鼻立ちがハッキリした感じ、ハーフみたいな顔立ちでしたよ…」
ケンジに間違いなかった
新横浜から新幹線に乗った俺は新大阪まで自由席に座った
グリーン車だと目立ち、都合が悪い
電話がきたのが約一時間半前だが、ケンジはゲリラ野郎だ 待ち伏せしている可能性もある
それに先ほどから数人の目が俺を見つめる気配がある…
ケンジひとりじゃなさそうだ
大阪、堺市の港町に小さな定食屋がある。
二代目のオヤジをしているのは谷口と言う元不良で、刑務所で一緒だった
谷口には貸しがある
俺より先に出所した谷口から、出たら必ず会いに着てくれと手紙まで送ってくれてた
谷口は組織の人間につまらない事で狙われ、ビクついていた
俺と部屋も一緒だった谷口の相談に乗ってやって、話しを付けてやった
海に面してるせいか、木造の格子戸は黒く荒んで風でカタカタ音を立てる
夜遅くまで開いてるらしく、作業員風のおじさん達が静かに飲んでいる
谷口「いらっしゃい…あれ?ま、まさ?」
あるホテルの部屋にて…
プルル、プルル…
ケンジ「はい、そうか…谷口?… いや、まぁ待て、俺が良いと言うまで動くな、解ったな」
電話を切った
シャープな顔立ちでニヤリと歯を見せながら、ベッドで寝ている女の背中に語りかけた
ケンジ「あいつ寄り道してるよ、相変わらずマイペースだよな」
ベッドの女 「派手に殺しちゃったら…」
ケンジ「ちゃんと殺すよ! 心配しないでよぅ」
甘えたような口振りでケンジはシャワールームに入った…