菅直人首相が「消費税率10%」に言及したことに政府・与党内で波紋が広がっている。国民新党の亀井静香代表は18日、参院選後の消費税増税の場合の「連立離脱」も口にしたが、民主党内にも事前の議論はなく、根回しもごく一部の党幹部だけ。首相の「見切り発車」には小沢一郎前幹事長に近い議員の反発だけでなく、閣内にも亀裂を生んだ。【小山由宇、朝日弘行】
◇亀井氏「離脱」ちらつかす
菅首相発言について、玄葉光一郎公務員制度改革相(民主党政調会長)は「10%」が党の公約となるかについて「当然そうなる」と強調。前原誠司国土交通相も会見で「首相を全面的にサポートしたい」と語った。
しかし、「10%」はマニフェストを取りまとめた11日の政権公約会議でも議論になっておらず、会議に出席した党幹部も「マニフェストの表現は事前に了承したが、10%はまったく聞いていない」と不快感を示した。
連立相手の亀井氏は毎日新聞などのインタビューで連立離脱もちらつかせた。菅首相が提唱した超党派会議にも否定的な見解を示し、「国民新党は断じて賛成しない」と消費税増税への反対姿勢を鮮明にした。
官邸側は「首相の決断で責任与党を示せた」(首相周辺)と胸を張る。就任直後で参院選前のタイミングをとらえて税率アップに言及したのは、党側に首相の指導力を示す狙いだ。小沢前幹事長が選挙前の増税への言及を意識的に避けていたことも踏まえたうえとみられる。
首相は17日、消費税増税の是非を問う衆院解散・総選挙にも含みを残した。9月の党代表選を含め参院選後の政権運営もにらんだ動きで、党幹部は「衆院解散をちらつかせ、政局の主導権を握ろうとしている」と明かす。
こうした菅首相側の動きに、小沢氏に近い中堅衆院議員は「党側で賛成する人はいない」と怒る。小沢氏と近い原口一博総務相は「10%の数字は私たちではなく、自民党の数字」とけん制。非小沢系の閣僚も「参院選候補者には『消費税をあげると決まったわけではない』と徹底させなければ」と懸念する。枝野幸男幹事長は18日、記者団に対し「超党派で議論する時に、第2党の自民党の考え方を参考にするのは当たり前」と語った。
◇社会保障費には不足
菅首相は18日、消費税率10%を目安とする根拠について、「(社会保障費の)自然増を考えるとこの程度の財源が必要。自民党もほぼ同じ考え方だ」との認識を示した。
10年度予算で年金や医療、介護の給付費などに充てる社会保障費は27・3兆円。予算総則では、このうち基礎年金と老人医療、介護にかかる費用(10年度で16.6兆円)の財源に消費税を充てることが規定されている。消費税収は地方に回す分を除いて6・8兆円に過ぎず、5%程度の増税で差額をできるだけ埋めようとの考えだ。
ただし、少子高齢化の進展に伴い社会保障費は毎年1兆円以上増加する。5%程度の引き上げでは財源不足を解消できそうもない。
政府は来週発表予定の財政運営戦略と中期財政フレームで、国と地方の基礎的財政収支を20年度に黒字化するとの目標を示す方針。10年度は33.5兆円の赤字になる見通しで、消費税だけで赤字を埋めるには単純計算で10%を超える引き上げが必要になる。
菅首相は消費税増税に前向きな姿勢を見せるものの、増税で得る財源を何に使うかは明示していない。菅首相は「増税しても使い道を間違わなければ景気は良くなる」として、成長につながる分野に集中投資する考えを示しており、国の借金の返済に充てることには否定的だ。経済成長が実現できれば、税収のより一層の増加につながるとの考えだが、道筋は明確ではない。
政府は7月の参院選後にも、具体的な消費税率などの議論に入る方針だ。しかし納得のいく使い道が示されなければ理解は得られそうにない。【久田宏】
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しかし、「10%」はマニフェストを取りまとめた11日の政権公約会議でも議論になっておらず、会議に出席した党幹部も「マニフェストの表現は事前に了承したが、10%はまったく聞いていない」と不快感を示した。
連立相手の亀井氏は毎日新聞などのインタビューで連立離脱もちらつかせた。菅首相が提唱した超党派会議にも否定的な見解を示し、「国民新党は断じて賛成しない」と消費税増税への反対姿勢を鮮明にした。
官邸側は「首相の決断で責任与党を示せた」(首相周辺)と胸を張る。就任直後で参院選前のタイミングをとらえて税率アップに言及したのは、党側に首相の指導力を示す狙いだ。小沢前幹事長が選挙前の増税への言及を意識的に避けていたことも踏まえたうえとみられる。
首相は17日、消費税増税の是非を問う衆院解散・総選挙にも含みを残した。9月の党代表選を含め参院選後の政権運営もにらんだ動きで、党幹部は「衆院解散をちらつかせ、政局の主導権を握ろうとしている」と明かす。
こうした菅首相側の動きに、小沢氏に近い中堅衆院議員は「党側で賛成する人はいない」と怒る。小沢氏と近い原口一博総務相は「10%の数字は私たちではなく、自民党の数字」とけん制。非小沢系の閣僚も「参院選候補者には『消費税をあげると決まったわけではない』と徹底させなければ」と懸念する。枝野幸男幹事長は18日、記者団に対し「超党派で議論する時に、第2党の自民党の考え方を参考にするのは当たり前」と語った。
◇社会保障費には不足
菅首相は18日、消費税率10%を目安とする根拠について、「(社会保障費の)自然増を考えるとこの程度の財源が必要。自民党もほぼ同じ考え方だ」との認識を示した。
10年度予算で年金や医療、介護の給付費などに充てる社会保障費は27・3兆円。予算総則では、このうち基礎年金と老人医療、介護にかかる費用(10年度で16.6兆円)の財源に消費税を充てることが規定されている。消費税収は地方に回す分を除いて6・8兆円に過ぎず、5%程度の増税で差額をできるだけ埋めようとの考えだ。
ただし、少子高齢化の進展に伴い社会保障費は毎年1兆円以上増加する。5%程度の引き上げでは財源不足を解消できそうもない。
政府は来週発表予定の財政運営戦略と中期財政フレームで、国と地方の基礎的財政収支を20年度に黒字化するとの目標を示す方針。10年度は33.5兆円の赤字になる見通しで、消費税だけで赤字を埋めるには単純計算で10%を超える引き上げが必要になる。
菅首相は消費税増税に前向きな姿勢を見せるものの、増税で得る財源を何に使うかは明示していない。菅首相は「増税しても使い道を間違わなければ景気は良くなる」として、成長につながる分野に集中投資する考えを示しており、国の借金の返済に充てることには否定的だ。経済成長が実現できれば、税収のより一層の増加につながるとの考えだが、道筋は明確ではない。
政府は7月の参院選後にも、具体的な消費税率などの議論に入る方針だ。しかし納得のいく使い道が示されなければ理解は得られそうにない。【久田宏】
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