「ねぇ、ジェルミ」
「んっ?どうしたの?
あ、ミニョも一口食べたいんでしょ?
はい、あーん」
いつもみたいにお日様みたいな笑顔を浮かべて、
スプーンにこれでもかって量のアイスをすくい取って、
私に差し出してきたジェルミ。
思わずポカンとした私に、あれ?ちがった?
って言いながらも、強引に口にスプーンを
突っ込んできた。
私は知ってるの。
ジェルミが好きなのは、イチゴのアイスじゃなくて、
チョコレートのアイス。
でも、こうやって私がいるときは
必ずイチゴのアイスを食べているって。
「おいしい?」
あまりに大量なアイスに、
ちょっと歯が痛いぐらいなんだけど、
うんうんってうなづくと、すごく嬉しそうに
自分も一口アイスを口へと放り込む。
アイスを食べているときより、
幸せそうな顔をするジェルミに胸がチクッとする。
きっとイチゴのアイスを食べた時に、
私が1度すごく喜んだことが嬉しかったんですよね。
イチゴのアイスは私専用って、知っているの。
「あの、シヌヒョン」
「んっ?何?
あ、ミニョも飲む?」
テラスで読んでいた本から目を離し、
私が返事をする前にティーポットから、
お茶を注いでくれるシヌヒョン。
ほら、座って?って、
無言の催促。
差し出されたお茶は、私の好きなブレンド茶。
どうしていつもカップは2つあるんですか?
ってきいたら、話し相手が来るかもしれないだろう?って。
そしていつも私の好きそうな会話を選び、
本当にやさしく色々と教えてくださり、
私を楽しませてくれるんですよね。
私は知ってるの。
いつもカップは2個だけど、
1個はティーポットの陰において、
見えないようにしているの。
ジェルミが近づこうと、ミナムオッパが近づこうと、
決してお茶をすすめないんですよね。
そのカップは私専用だってこと、知っているの。
「オッパ」
「んっ?何だよ?
ミニョさ、そんな顔してないで、
欲しかったら欲しいって言えば?」
にやっと笑ったオッパの表情は、
ちょっと意地悪だけど、見慣れた顔。
私にそっくりなだけじゃなく、
食いしん坊なところまで一緒なオッパ。
今日も甘いシュークリームを3つもお皿に乗せて、
すでに一個美味しそうにほお張ってる。
私は知ってるの。
孤児院にいたころ、おやつでたまにしか出ない
シュークリームが大好きだった。
食べるのが下手だった私は、いつもかぶりついては、
クリームがはみ出して落ちちゃって、
べそをかいて。
慰めるのはいつもオッパの役目だったから。
大人になった今でも、オッパはいつも自分が食べたいとかいいながら、
本当は1つでいいくせに、必ず4つ買ってきてくれる。
私が1個だめにしちゃっても、おかわりできるように。
私だけがおかわりすると私が気にしちゃうからって、
自分の分も2個買ってきてくれるって、私は知っているの。
こんなにみんなに大事にされてるって知っているのに、
みんなが大反対してるって知っているのに。
それでも、私は知っているから。
この人ほど、私を愛してくれる人はいないって。
「ファン・テギョンさん」
「何だ?
………今更その呼び方をするのか、お前は」
ふふふ。そんな目で見ても怖くありません。
口元が笑ってますよ?
無言で私のお皿に、カニと海老のお寿司を乗せるから、
私は無言で本当は未練たっぷりだけど
マグロとうなぎのお寿司を乗せ返す。
私は知ってるの。
テギョンオッパが本当は
マグロをそこまで好きなわけじゃないってこと。
私が惜しそうにしてるのを見るのが楽しいんですよね。
私のことそんなに好きなんですか?
自信をもってこういい切れるぐらい、
この人は私のことを愛してくれている。
ほら、マグロを口に入れようとした瞬間の、
私のゆがむ表情が見たくて、わざとゆっくりお箸を動かしてる。
でも……結局口に入れる直前に、いつもこうやって
口をあけろ!って、私にマグロを食べさせてくれるんですよね。
私が美味しそうに食べているときのオッパの顔が、
私も大好きだったりするんですよ?
マグロを私が食べたいタイミングも把握してて、
私の食事ペースまで見計らってるって、私は知っているの。
みんな普段の気難しい彼と、オロオロしちゃう私を見て、
我慢する必要はないっていうけど、みんなは知らないだけ。
彼ほど私を大事にしてくれてる人はいないって。
悪く言われるのは正直嫌なんだけど、
いいんです。
彼の想いを私は知っているから。
そして私の想いも彼には知ってもらっているから。
私が欲しいのは、アイスでもお茶でも
シュークリームでも御寿司でもないの。
テギョンさんだけが欲しいんです。
それを与えてくれるのはもちろん彼だけ。
私はとても幸せです。
彼は私が望むものを知ってくれていて、
いつもそれを私に与えてくれるから。
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サッカー負けそう…やーん。
