藤原銀次郎著「私の経験と考え方~人をつくる経営法」 講談社学術文庫
昭和59年発行です。藤原さんは三井銀行、三井物産から王子製紙に入り、経営再建をした、中興の祖です。
私が、王子製紙に入社した時に、新入社員全員に1冊づつ渡された本だったと思います。
それを、実は、全く読んでいませんでした。実家の本棚に眠っていたものを、先日、帰省した際に、帰りのバスで読むための本(しかも第2候補)として持ってきました。
しかし、読み始めると、非常に面白く、いちいち納得、なるほどとうなる内容です。
これを新入社員の時にちゃんと読んで、これに基づいて励んでおれば、ずいぶん違った人生だったかもと思っても、もう遅い。しかし、まだ遅くない、今読んでも、あるいは今だからこと分かる点もあります。
参考にしたいと思います。
本の中で、学校(大学)の勉強なんて役に立たないから、早く社会に出て仕事をしながら学べとあります。
確かに、大学の勉強は、あまり役に立ちませんでした。むしろ社会に出て仕事をしている中で、色々な本に書いてあることを、実際の場面に照らし合わせながら考えると納得できることが多かったように思います。
あ~もっと勉強しておけば良かった、などとも思いました。でも、実践がないままだと、仮に学生時代にもっと勉強する気があったとしても、やっぱり頭に入らなかったような気がします。
藤原さんは1869年生まれ。現在大河ドラマで活躍の竜馬さんや岩崎弥太郎さんなどより、25~30年くらい後の人です。それでも明治中期から戦前、戦後の激動の中で、さまざまな経験をし、経営を行い、慶応大学工学部を作りました。実体験に基づく、非常に説得力のある言葉が綴られています。
中身は30年~60年も前の文章ですが、内容は現代にも当てはまります。藤原さんの現状(当時の日本)に対する危機感は、不思議に今、盛んに言われている現在の日本の問題点と あまり変わりありません。
日本に進化がないのか、進化したあと、また後退したのか。いずれにせよ、現在の状況に対して、いかにチャレンジするべきか、の指針になりそうな良い本です。