商事法務 NO.1890(2/15)の最後の「スクランブル」のコーナーは「親子上場規制の議論で欠けている視点」。
民主党政権はコーポーレートガバナンス改革に熱心で、公開会社法制定を目指しています。先日、金融庁から出た上場企業の役員報酬個別開示などを含む情報開示ルールの案も、民主党の意向が多少反映されているのかもしれません。親子上場も批判の大きい点で、どんどん減少しています。しかし、この商事法務のコラムでは、以下の視点が欠落していると指摘。
1)海外、米国で親子上場がほとんど存在しないのはなぜか?支配株主の少数株主に対する忠実義務が、判例法上で認められている。 支配株主が少数株主より優位な立場を持ち、利益を得ることは、第二のエージェンシーリスクとして認知されているそうです。
2)親子上場解消時の税務の扱い。米国では有力子会社/事業をスピンオフ、分離した会社の株式を既存株主に、持分に応じて付与し、分離された会社が全く別個の会社となり、また上場したりします。このときの分離された会社の株式を受け取るときに、すぐ課税されるかどうかなどの点での日本と外国の差異。
3)業界再編の場合、一時期親子上場も日本の文化的には仕方ないのでは。パナソニックと三洋、日本電産グループなどのM&Aでも、被買収会社の上場維持は、外せない条件となっているように思われます。
4)親子上場の問題は、上場子会社の大株主(上場会社)が上場子会社の少数株主利益より自分の利益を優先するリスクですが、それなら親企業が上場しているかどうかは関係ない。親が企業かどうか、上場かどうかに関係なく、支配株主が存在する場合はすべて同じリスクはあるのではないか。 よって支配株主が存在する場合すべてを対象にした対策は必要ではないか、という提案で結んでいます。
最近、香港の上場基準などを少し勉強しています。香港は親子上場についての規制はありません。しかし、支配株主、利害関係者との関係は厳しくチェックするようです。親が上場しているかどうがが問題なのではない、親は自分の職業・身分に関係なく、皆等しく子供と社会に対する責任がある、ということでしょうか。