最近は新聞も、ビジネス誌もIFRS(国際会計基準)のネタが多いですね。これを扱うと売れるそうです。今日の日経新聞にも関連するトピック2件。国際会計基準の説明連載コラムで包括利益について。持合は解消圧力。

また企業の人員削減、採用抑制で、従業員の平均残存勤務期間が短縮傾向、それで年金費用(運用損の償却など)が増加して、収益圧迫という記事があります。このあたりは、いったいどういうロジックか? と考える大変複雑な会計処理です。


そんな中、昨日は、CFA協会のセミナーに、IFRS作りをしているIASB(国際会計基準審議会)の唯一の日本人理事である、山田辰巳さんをお迎えして講演していただきました。

山田さんのお話は、これまでの数ある講演の中でも、もっともエキサイティング(ある意味ショッキング)なものでした。(話し方がというのでなく、その中身、です)。

論点は色々ありますが、日本企業に影響の大きい点は、やはり前述の2点。


株式持合い→ 単年度の損益に大きなインパクトを与える一方、これまでの経営サイドのメリットは消えてしまい、解消に向かうであろう

確定給付型の年金制度→ 単年度の損益に耐えられないほどの多大なインパクトを与えて、この年金制度を廃止する企業が増加するであろう


これらは大きな話ですが、既に色々メディアで解説されています。こうした内容も大変だと改めて認識しましたが、印象に残ったのは以下。 世界統一の会計基準を作るということは、世界各国の政治的、経済的な思惑がからみ、それによる有形無形の圧力もある。 オリンピック開催地選びでは、なぜ東京は負けたのか、何か見えない力が・・・、という感じもありました。 会計基準はそれ以上の大変な話ではないでしょうか。これに、どのくらい国の力を挙げて取り組んでいるか・・・・


会計基準とコーポレートガバナンスの関係、というのは、いずれ整理してみたいと考えます。


最後に。 IASBの山田理事。中央青山監査法人のご出身です。入所したてのころに、私の以前の勤務先にチームで監査に来社されて、ほんの一部の勘定科目処理について担当社員として対応させていただいた、大昔の出来事を覚えています。