商事法務1851田中教授のレポートの紹介②

企業価値研究会の買収防衛策に関する報告書。

防衛策は、目的・使用方法により2つに分けられる。

①株主が買収の是非を適切に判断するための時間・情報や、買収者・被買収者間の交渉機会を確保する場合

②買収提案の内容に踏み込んで実質的に判断を下して、発動して買収を止める場合


導入、発動の是非については

①目的の場合は、取締役会判断で防衛策を導入し、手続きを守らない買収者には発動もできる

②目的の場合、株主共同利益を毀損することが明確である濫用的買収に対して発動する場合を除き、防衛策発動は株主の意思に基づいて行わねばならない


報告書は、買収者に金銭を支払って退出させるのは好ましくないとし、買収者に経済的補償を行わない希釈型ライツ・プランを適法とする解釈を試みている。(ブルドック事件の最高裁判決は、経済的補償を踏まえて買収防衛策を適法としました)


また上記の分類で①の場合、手続きを守らない買収者への発動はOKと解釈。

②の防衛策の場合、株主共同利益を毀損することが明確である濫用的買収に対して発動する場合は補償不要。

(ちなみに濫用的買収はニッポン放送事件で定義されています)

②で買収提案の実質判断をする場合、防衛策発動には株主の意思に基づく前提で、株主総会で買収者が多数の支持を得られない場合、買収者は提案撤回ができて防衛策発動を回避できる、(ライツプラン実行で自分の持分だけ薄まることでの)損失を回避できるプロセスが保証されていれば補償不要。


研究会の主張はこのようなもの。なるほど、だいぶ整理して理解できてきました。