大証2部上場のシャルレ。確か元バレーボールの五輪選手三屋さんを社長に迎えて再生を図ったものの、残念ながらうまくいかず、創業家に経営権が戻っていた会社。そのシャルレで創業家がファンド、外資系証券と組んでMBOを実施すると発表。まずはTOBがアナウンスされたところ、その価格決定プロセスに問題ありとの内部通報が複数あり、会社は調査委員会を設置。委員会(弁護士4名)は価格決定プロセスを調査し、問題の有無を判断し報告、となりました。その報告書が公表されています。
買い手と売り手(の代理人である会社側の社外取締役)がそれぞれ、会社事業計画を元に監査法人系のコンサル会社に価格算定を依頼。価格決定法の中でDCFが争点に。同じ事業計画を元にした買い手サイドの評価が低く、売り手サイドの評価が高い。これはまあ当然でしょうか。そこで会社は再度作成した控えめな事業計画を鑑定者に渡して再評価を依頼。何とか価格を近づけて合意した。ここで控えめな計画を作成する過程に、MBO当事者(買い手)の創業家取締役とそのアドバイザーが参加していた。これは過剰介入で、これを受け入れた会社側(売り手の利害を代表する)社外取締役に利益相反の疑念はある。。。 という報告書でした。
色々な人が参加してのMBOの交渉のプロセスが書かれていて、なかなか面白い報告書です。
これは裁判所判断ではないので、この調査委員会の見解が世間、他の事例に対してどれだけの影響があるかはわかりません。しかし企業価値決定に関する幾つかの見解を示しており、その意味でも「じ~つに興味深い」と、思わず最近ハマっているガリレオ風に言ってしまいます。
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