ISSは機関投資家に対する議決権行使の助言をしています。今はリスクメトリックス社のグループに入っています。リスクメトリックスといいますと、かつて受けたファイナンスの講座に登場しました。JPモルガン内で、Value at Risk という手法を使ったリスク管理のサービスを提供していた部門が独立したとか、そんな会社でなかったかしらという曖昧な記憶があります。自信がないのでネットで検索するとソニー銀行のページに紹介がありました。
「リスクメトリックス グループは、1998年9月にJPモルガン(現、JPモルガンチェース)のリスクマネージメント部門が独立して設立されました。ニューヨーク、ロンドン、東京、シンガポールに拠点をもち、金融資産ポートフォリオのリスク算定に関する研究・ソフト開発および販売・教育・コンサルテーションを主要業務としています。
同グループのサービスは、金融機関を中心に世界中で600社以上に導入されており、特に同社が開発した「VaR(バリュー・アット・リスク)」は、リスク管理手法として事実上グローバル・スタンダードとなっています。」
EVAを開発して広めているスタン・ステュワート社など、米国の金融関連サービスの裾野が広いですね。
以下は、ISSのコーポレートガバナンスポリシーの中で日本固有の記述の部分の訳です。
ISS国際コーポレートガバナンスポリシー
2008年度版更新 2007年1月8日更新 2008年2月1日以降発行
取締役について
コーポレートガバナンスの論点
取締役の取締役会出席(日本)
現在のISSの見解
取締役や監査役の再任議案に対する議決権行使を考える上で、取締役会や委員会への出席状況は考慮しない。
新しい見解
少なくとも取締役会や委員会への出席率が75%に達していない候補者については、会社が低い出席率についての合理的な説明をしない限り、再任に反対する。監査役についても同じ。75%程度の出席がないと求められる監視機能が果たせないと考える。ビデオ会議や電話会議による出席は実際の出席と同じと考える。
日本では社内取締役の出席率は公表されていないので、この方針は社外取締役と監査役のみに適用する。しかしISSは社内取締役の出席状況の公表を求めていく。
更新の理由
2006年施行の新会社法では、企業は社外取締役と監査役の取締役会への出席率を公表することが課せられた。(監査役は監査役会への出席状況の公表も同じ)。多くの企業はこれを出席した会議の数と解釈している。しかし日本において社外役員の数が増えるに連れて、出席率が低いケースが目に付くようになっている。これは社外役員の兼務による日程調整が付かないことによると見ている。
社外取締役と監査役は、社内の役員が株主の利益のために仕事をしているかどうかを監視するために株主により選任されている。日本では多くの企業が、株主の求めに応じて社外取締役を導入しはじめている時期であり、中には社外取締役を入れておけば買収防衛策が総会で承認されやすいと考えている企業もある。そうした場合、株主としては社外役員が単なる頭数合わせでなく、実際に機能して重要な役割を果たしていることを確認する必要がある。さらに、多くの企業において社外役員の数は少ないので、そうした企業における1人の社外取締役(あるいは監査役)の欠席は、社外役員が過半数を占める企業に比べて大きな影響を持つ。