日経新聞1面、ドーンと野村證券社員インサイダー取引!とあります。インサイダー取引というのも、なかなか無くならない、どうしてもやってしまう人が出る、人間の行動のようで、一方で取り締まりは厳しくなっているようで、こうした摘発はこれからも続くのでしょう。
商事法務4/15 NO1830 「村上ファンド事件東京地裁判決の意義と実務への影響」(太田洋弁護士)があります。 村上ファンドのどういった行動が、どうしてインサイダー取引に該当すると判断されるのか?を解説しています。 企業の自社株買いや、証券会社の自己売買などの企業としての正当なアクションにも、制約がかかるかも!?ということで、重要な裁判のようです。 難しいですが、ご一読を。
この中で、村上ファンドの罪(最終的に最高裁まで行って有罪かどうか、わかりませんが、感覚的には悪事!ですね)は、金融商品取引法167条のインサイダー取引規制への違反でなく、同157条1項違反で裁くべきで、もっと重罪に処すべし!という意見があるそうです。ここでも引用されていますし、その著書でも熱く主張していた、早大上村教授などがそのように主張しています。
第百六十七条
次の各号に掲げる者(以下この条において「公開買付者等関係者」という。)であつて、第二十七条の二第一項に規定する株券等で金融商品取引所に上場されているもの、店頭売買有価証券若しくは取扱有価証券に該当するものの同項に規定する公開買付け若しくはこれに準ずる行為として政令で定めるもの又は上場株券等の第二十七条の二十二の二第一項に規定する公開買付けをする者の公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実を当該各号に定めるところにより知つたものは、当該公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実の公表がされた後でなければ、公開買付け等の実施に関する事実に係る場合にあつては当該公開買付け等に係る上場等株券等又は上場株券等の発行者である会社の発行する株券若しくは新株予約権付社債券その他の政令で定める有価証券又は当該特定株券等に係るオプションを表示する第二条第一項第十九号に掲げる有価証券その他の政令で定める有価証券に係る買付け等をしてはならず、公開買付け等の中止に関する事実に係る場合にあつては当該公開買付け等に係る株券等に係る売付け等をしてはならない。
第百五十七条
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一
有価証券の売買その他の取引又はデリバティブ取引等について、不正の手段、計画又は技巧をすること。
157条は抽象的、倫理的な判断にもなるので、検察がこれの適用を避けたということのようですが、この157条1項、短いし感覚的には分かりやすいですね。 これを適用して取り締まるべき案件は他にも多いように思います。
市場の規律を高めるために、この条文をどんどん利用して、不正に自分だけ儲けようとする悪は裁くべし! と思いますが。