商事法務1793号 西本強弁護士の「フリーズアウトに関するデラウェア州法上の問題点」によれば、コーポレートガバナンスの目的は、会社において生じるエージェンシー問題の解決にある。
1.所有と経営の分離に起因し、エージェントである経営者がプリンシパル(株主)の利益を犠牲にして、自らの利益と保身を図る。
2.支配株主(エージェント)と少数株主(プリンシパル)の間に生じる。会社を支配することで初めて得られ、少数株主は得られない私的利益を支配株主は得られる。株主間不均衡の問題。
そしてこの二つの問題は、片方の問題を解消するともう一方が大きくなるようなトレードオフの関係である。
これはすごくわかりやすい、納得感のある説明でした。
経営者に圧力をかける大株主が生まれると経営者は好き勝手ができない。
一方でその大株主は、他の少数株主に比べて、何か優遇されている、得している、ということがありそう・・・
ブルドックケースでは、スティール始めアクティブファンドは経営者に企業価値を上げろ、余剰資金は配当しろ、さもなくば去れと圧力をかけます。それ自体は少数株主にもメリットがある。一方でスティールだけが買い占めた株を高値で売り切って儲けたりする。この局面では少数株主は損している。
経営者が支配的な株主の圧力なしで、少数株主に配慮した経営をすることが理想であるわけですが、やはりいい経営者でもずっと良いままではいられないのが人間。時々は支配株主の圧力も必要だったりするでしょう。