昨日もショッキングな事件が発生。少女が父親を手にかけてしまった事件など。

当家の娘は小学校4年生10歳。身長は140センチを超え、かなり大きくなってきています。

身体、外見、言動など、大人(というにはまだ早いですが)と子供の間で、少しづつアンバランスな面も出てきました。10代、本人も周りもなかなか難しい時期になるんでしょうか。なんて心配したりしました。

下の息子はこの連休中に、飼育中のクワガタに「ビックゴジラ(相当でかい名前だが、コクワガタ)」と「ブル」と名づけて喜んでいました。こちらはまだまだ幼い。


さて、商事法務NO.1810 9/15号に ブルドックソース事件の法的検討(下) (成蹊大学 田中亘准教授)が掲載されています。前号の(上)とあわせて、じっくり読むとこの事件に関する司法判断の意味、問題、課題などがだいたい理解できるような気がします。 


地裁から最高裁までを経ての判断としては

・防衛策の必要性は基本的に株主総会の特別決議の判断を尊重する。 株主の意思の尊重、これはわかる。


しかし著者の提示する疑問は、

・株主の意思確認は総会で行われるべきか?ブル事件ではTOBへの対応で確認できるのではないか?総会は3月時点の株主の意思、TOBは現在の株主の意思であるぞ!

・買収者の支配権獲得が企業価値を毀損するかどうか、株主が判断するのが適当か?TOB価格がいい値段だと考えて、これに応じる株主はその後の企業価値には無関心であるぞ!


さらに提示された疑問は

・新株予約権無償割当と スティールからの買戻しというスキームの妥当性

・買い戻し価格はスティール提示のTOB価格(新株予約権を加味して、その1/4)

・これはTOB前の市場価格の13~18%プレミアムである

・スティールが会社の言うようにグリーンメーラーなら、スティールは目的はある程度達成でOK!

・スティールの主張にたってTOBで企業価値を高め、TOB価格以上に1株価値を高められると信じるなら、この価格は低いことになる。

したがって、この条件の防衛策はグリーンメーラーを喜ばせるものではないか? 裁判所はこれも株主判断だからいいとしているが、それでいいのか?


・ただ今回の事件で考慮すべきは、事前導入の事前警告型防衛策でないこと。後出し防衛策なので、買収者に有利な条件になった面もあると考えられる。ふむふむ。

・TOB価格を、買取価格の基準にしない場合どう決めるか?TOB価格は基準として高すぎる!などど経営者側が言うと、この経営者では企業価値・株価をTOB価格まで高められない、よってTOB価格有利なのでTOBに応じよう!となるので経営者としては、これも言えない。 なかなか難しい!


アメリカの防衛策を参考にすると、

・買収者が裁判と総会で争って負けた場合には、経済的リスクなしで撤退できる環境があれば、それでも買収を強行した場合には、予約権買取などの救済策なしの防衛策発動で買収者に経済的損失を与えてもOK、という考え方だそうです。

・ブル事件の場合は、最終の司法判断前に防衛策発動となったので、司法の最終判断を見てからの撤退では、買収者に損失が発生。なので予約権買取のような救済措置が必要なのでは、という意見も提示されています。なるほど!


また司法制度の問題として

・日ごろ会社法事件を多く扱っていない裁判所が短期間で防衛策の是非を判断すること

・しかも上級審に行くほど、扱いの例が少ない。地方の裁判所も例が少ない。 この点東京地裁が下級審だが重要な存在!

を上げています。


特殊なケースであるので、ストレートに前例とできない面もあり、いろいろ検討事項を提示した。それでも総会特別決議を取れば行ける!という流れを加速するであろう、という締めくくり。

防衛策もコーポレートガバナンスの原点にかかわるもの。ガバナンスがだれのために、どういう観点で構築されるべきか、というところを常に考えねばなりません。 これも商事法務にありましたが、コーポレートガバナンスは二つのエージェンシー問題の解消のためにある、ということが印象に残ります。(これは確か6月ごろの商事法務です)。