最近は株主提案も増える傾向にあります。増配、役員報酬開示、それに株主側からの取締役候補者の提案などの事例もあります。(TBSに対して楽天が提出など)。

会社側と株主側から、取締役選任議案が出た場合、状況次第でややこしいことになるようです。

定款で上限10人に対して、会社から10名の提案、株主から3名の提案。このケースでは会社側の議案の順序を先にして、これが先に成立すれば、株主側の議案は否決、という考え方でよいとのこと。定款上の定員10名が既に埋まったので、それ以上の選任は採決することすらできない、ということになるようです。

少し変えて、定款で上限10人に対して、会社から8名の提案、株主から5名の提案。こうしたケースが難しいことになるようです。会社側提案が成立して8名が選任されても、まだ定員までに2名の余裕があるので、株主提案も議案になりうる。しかし仮に株主提案が成立しても5名は選任できない。なぜなら定員は10名だから。5名中2名は選任の可能性がある。そうすると、この議案に対してどう決議するのか?ということが難しい問題になるようです。5名1括での決議はできない。そこで1名づつ決議していく際に、どういう順番でかけるのか?というところで絶対的な基準がないようです。株主提案は賛成が得られず可決されるかずがないと自信があれば、株主提案を先に議案として、これが全部否決された後、会社側の提案を可決すれば会社としてはOK。

しかし株主提案の候補者が非常に魅力的な顔ぶれで、一括で5名、あるいは個別に採決した場合で3名くらい可決されてしまいそうだ、というような状況だと、今度は会社側の候補者8名中数人は定款上、取締役になりえない。はて、一体誰を外すんだ?という話になる。

そんな以外な、実務的には非常にややこしい問題がある。会社にゆさぶりをかけようという側からすると、会社側の役員定員と候補者数などを見て、そこを突くというようなやり方もあるのかも知れません。