急遽岡山に行った理由は一匹の犬に会う為でした。
その子は、息子さんが年老いた父親の為にと知人からもらってきたそうです。「さくら」という立派な名前もありました。
仔犬の時は小さいし良かったのでしょう。
でも成長して身体が大きくなり、力も強くなり、元気いっぱいのこの子が手に余ったのか…
飼い主自らが岡山の動物愛護センター(いわゆる保健所)に連れてきたそうです。
父親が連れて来たのか、息子さんが連れて来たのかは分かりません。
もっと適任の次の飼い主が見つかれば良いと思っていたかもしれません。
でもきっと「死んでもいい」と思って連れてきたのには間違いありません。でなければ、ここには連れてきません。もっと他に方法があるはずです。
聞いた話によると、迷い犬の場合は飼い主を探す為に2週間の猶予が与えられ、その後に次の飼い主を探す為の期間が2週間。
合計4週間が与えられるそうです。
でもこの子の場合は飼い主が直接持ち込んでいるので、最初から2週間しか猶予がありませんでした。
これは命の期限です。
この子の寿命は一時、2週間しかなかったんです。
勘違いのないように書いておくと、この期限を決めているのは行政です。
里親を探しているボランティアさんたちは、この期間の中でどうにかして収容されている場所からこのような子たちを出そうと必死に尽力されています。
ボランティア団体が作ったこの動画がFacebookでシェアされているのを見た夫がシェアして、それを私が発見したのはこの子の命の期限が切れた30分後でした。
毎日、必ず何件かの里親募集の記事は見ます。
私たちも保護された動物の力になりたい、と昨年この部屋に引っ越してきました。
それからよくチェックはしていましたが、都内や横浜近郊は小柄のわんちゃんも多く、引き取り手さんも多いようなので様子を見ていました。
でもこの子を見た瞬間、私の中の何かが動かされました。
「今やらないで、いつやるんだ」と思いました。
それからはこのNPO法人のボランティア団体の代表とお話したり、スケジュールを調整したり、もうお祭り状態ヽ( ̄▽ ̄)ノ
仕事に行っていた夫に「メッセージしちゃった」と連絡したら、一言めに「えらい!」と返事が来ました(笑)
普通はまず批判か心配をします。特に日本人は。
いつも私の弾丸を受け止めてくれる、そんな夫が大好きです。
さすがに翌日に岡山に行くと言った時には驚いてましたが(笑)
でも結局、一緒に行く事になり、あの弾丸ツアーになったという訳です。
実はこの一週間ほど、軽く体調を崩していました。
いわゆる未病くらいのものですが、本調子ではありませんでした。
しかも自分がリーダーを務めさせて頂く公演の一週間前。
通常の仕事に加え、公演の準備、その他諸々。
タイミングとしては最悪でした。
でも、命の期限は待ってくれません。
忙しいから来週に…というのは通用しない。
その間にこの子はいなくなってるのかもしれないのだから。
今しかない。そんな状態でした。
でも一緒に舞台に立つ仲間たち、観に来てくださるお客様たち、そして私をリーダーに選んでくれた代表にこれを理由に迷惑をかける訳にはいきません。
公演に向けても同時進行で全力で進もうと誓いました。
そして夫婦2人で岡山を訪れ、駅まで迎えに来てくださった団体の代表と色々お話しながらセンターに行き、この子に会いました。
仮の名前で「ミルキー」と呼ばれていました。
一度は飼い主の人間に捨てられた子なのに、人が大好きで私たちにも交互に尻尾を振って挨拶しに来てくれます。
私たちにもすぐに懐いてくれて、その時のミルキーの顔の違いにセンターの方もボランティアさんも驚いていました。
まだ若いから沢山走りたいだろうと思って手綱を持って一緒に走り回ってみましたが、案外、力もそこまで強くなく、すぐに息切れしていました。
最後、太極拳の話になってます(笑)
これは憶測ですが…飼われていたのがご老人だったので、あまり走ったりした経験がないのかも…と言われました。
この犬種でこの若さに対して、この体力のなさに少し驚きました。
前に飼われている時は外に繋がれていたのか、家の中にいたのか、散歩に連れて行ってもらっていたのか、いなかったのか…それも分かりません。
年齢も一歳くらいと聞いていましたが、歯の様子からもしかしたら二歳くらいかも…?という感じです。
他にもセンターに収容されているわんこたちに会いました。隅で震えている子もいれば、出してもらいたくて大声で鳴く子もいれば、じっとお座りして見ている子もいて、様々でした。
奥には処分室がありました。
私とミルキーが写っている写真の奥には、これまでここで亡くなった(殺された)わんこたちのお墓があります…
でもボランティアさんの惜しみない努力とセンターとの信頼関係のおかげで、ここ数年は殺処分数が激減したようです。
しかも止むを得ず処分する場合も、ガス室ではなく注射による安楽死に変わったそうです。
何かを変える為に声を挙げるのは大切な事なんだと学びました。
帰る時、再び檻に入れられるのをミルキーはとても嫌がりました。
何度も振り返って私たちを見ていました。とても辛かった。
他の檻を見学してまたこの子の前を通った時、座っていたこの子は目を大きく開いて輝かせて、私たちに手を伸ばしてきました。
私が手を出すとペロペロと舐めてくれました。
「ああ、この子は分かってるんだ」と思いました。
この日の夜、夫と相談して家族の一員としてこの子を引き取ることにしました。
そして同時に一時預かりボランティアとして、この会に本登録させて頂く事にしました。
ボランティアさんから聞いた話によれば、なかなか岡山県内での引き取り手がいなくて遠方の人が多いとのこと。
でもきっと距離が遠い事がネックになる事も多いでしょう。
であれば、自分を経由して繋がる命が増えて欲しいと思いました。岡山と関東を繋ぐ事ができたら。
この辺りはこれから団体の代表と話し合いながら自分に出来る事をしていきたいと思います。
私たちはこの子を『命を繋いだ子』として【 命(めい)】と名づけました。
5月に出逢ったからMay、の2つの意味です。
新しい命の誕生です。
この子の誕生日は私たちが出逢った5月11日にしました。
これが私たちと『命(めい)』の出逢い。
今、あの子はまだセンターにいますが、準備が整い次第、空輸で羽田空港まで運んでもらいます。
私たちの住んでいるところは決して広くはないので、この子の大きさが限界です。
これから夫が帰ってきたら部屋の模様替えを行います。少しでも快適に過ごして欲しいから。
私は時間を決めて、公演準備も進めていきます。
私の体調はまだ100%ではありませんが、気力もかなり戻りました。
恐らくメイの事で一気にボルテージが上がったおかげでしょう(笑)
夫も日々のお稽古で身体がギシギシだそうですが、やる気満々です。
すでに私たちはあの子に力をもらっています^ ^
でも昨日、岡山から帰ってきて少し気が緩んだのか、今朝久しぶりに豪快に寝坊しました(>_<)
かなり焦りました!
しかも土曜日なのに何故か水曜日と勘違いして、反対方向の電車に乗りそうになって(笑)
あ、私疲れているかも?と初めて思いました^_^;
改めて気を引き締めていきます!
仕事にはなんとか無事に間に合って何食わぬ顔で終えた後、公演に使うものを買い出しして、今は家で音源を取り込む作業をしています。
追い詰められれば追い詰められるほど、人の頭や感覚って研ぎ澄まされていくのも感じています。
必ず公演も仲間たちと良いものに仕上げます。
そしてそれまでに準備を整え、メイを迎えます。
かなり長くなりましたが、自分の記録の為にも記憶が鮮明なうちに想いを綴りました。
最後にもう1つだけ。
今回、夫の友人がメイの記事をシェアしてくれたおかげで私たちはメイに巡り会う事が出来ました。
さらにメイは、彼女に関わる沢山の方との素敵な出逢いをもたらしてくれました。
何か気になる事があっても「シェアしかできない」と思う方も多くいるかもしれません。でもそれが命を繋ぐ事が実際にあるのだと私たちは身をもって経験しました。
だから気兼ねなくシェアしましょう(笑)
それが知らないうちにどこかで誰かの救いになっているかもしれません。
もちろんSNSの怖さもありますので、内容や相手には十分気をつけて…^_^;
あ〜、本当に長くなった!!でもスッキリした!!
最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございます(*^^*)
こんな弾丸的に生きている私ですが、これからもどうぞよろしくお願いします!
沢山の笑顔と幸せをみんなで生み出していける世の中でありますように。




