三宅裕司 モテるオヤジの演技指導
1951年5月3日生まれ、56歳。東京都出身。国鉄技術研究所職員の父と、日本舞踊師匠の母の間に生まれた。明大落語研究会時代は、四代目「紫紺亭志い朝」を襲名。卒業と同時に立川志の輔に譲り、後に渡辺正行に譲られている。
80年、劇団「スーパー・エキセントリック・シアター」を旗揚げ。84年からニッポン放送「ヤングパラダイス」のパーソナリティーをつとめ人気に。「EXテレビ」「どっちの料理ショー」「カラダのキモチ」などのバラエティー番組司会のほか、「サラリーマン専科」などの映画出演も。映画「結婚しようよ」(佐々部清監督)では、なによりも家庭を愛する父親が次第に居場所をなくしていく悲哀を好演している。吉田拓郎の曲が全編に流れるのも話題。
【断固たる“誇り”主張】
オヤジ受難の時代。若い女の子のミニスカートの足をちょっと見ただけで、痴漢呼ばわりされてしまうオヤジもいる。でも、この人はそんな“逆風”をものともしない。人の良さがにじみ出る笑顔の一方で、断固たる「オヤジの誇り」を主張する。
「小娘、ふざけんじゃねぇや、と思いますよ。オヤジって悪くないぜ、ってね。もちろん、ギラギラすることだってあるし、ムラムラすることもある。その表現の仕方が、オヤジの場合は失うモノがない分、若いヤツらよりもちょっとストレートに出ちゃうだけなんだよな」
この言がオヤジ擁護になるかどうかはともかく、チャキチャキの江戸っ子らしく何を語っても歯切れがいい。なにせ、生まれも育ちも神田神保町。一橋中→明治高→明治大と学舎もすべて神田界隈(かいわい)で、おまけに落研出身ときている。
【目標に挑戦し続ける】
本業はいまでも、劇団「スーパー・エキセントリック・シアター」座長だという。1980年、小倉久寛、八木橋修らとともに旗揚げし、岸谷五朗、寺脇康文ら演技派俳優も輩出したが、まだまだ劇団をやめる気はない。その原動力は? と聞くと、「いまでもとにかく女にモテたいからよ」と笑う。
「カッコいいところを女に見せたい、という気持ちがあるかぎり、オヤジが若い子と付き合っても大丈夫! ま、面倒くさくなることはあるけどね。それと、僕の場合は劇団をどこまで続けられるかという目標もある。チャレンジしたいことが山のようにあるしね。そういう目標があるかないかで、男として輝いていられるかどうかが決まるのよ。新しいことにチャレンジできるエネルギーが、どこまで保てるか-これがオヤジの勝負どころだね」
もうひとつ、“オヤジ道”を極めるうえで、絶対に欠かせない条件がある。よき夫よき父として、妻や子供を心から愛せないオヤジは、若い女性にも絶対にモテないというのだ。
「僕自身、家族にはそうとう思い入れがありますよ。毎年夏と冬は、誰が何と言おうと家族全員で旅行します。長女が大学2年で20歳、長男が高2で17歳ですけど、いい加減にしてよという感じには全然なりません。しょっちゅう連絡を取り合って、食事もしています。よく娘が『お父さんの洗濯物と一緒に洗わないで』なんていう話を聞きますが、ウチはそんなこと、一度もありませんね」
【「週に1度は女房を受け止める」】
2月2日公開の映画「結婚しようよ」でも、妻と娘2人の夕食をつくることに人生をかける頑固なサラリーマンパパを好演しているが、これは実生活の一面を反映したものでもある。小学校の同級生で、プロポーズから結婚まで9年も待たせた奥さんへの愛情も、映画同様に深く重い。
「とにかく面倒くさがらずに、女房との会話に時間を割けるかどうか、だね。面倒くさくて話を早く終わらせたいと思うと、無理に変な結論を出してロクな結果にならない。せめて週に1度は女房のすべてをしっかり受け止めてあげないと。そうしないと、子供にもナメられますよ」 最後にもう一度、“オヤジ道”の話。とくに、オヤジを頭から毛嫌いする若い女性に、この言葉を聞かせたい。
「一生懸命やってきたオヤジってのは、何かひとつ秀でたスゴイものがあるか、いろいろな経験による包容力があるもの。『女の子』の殻の中からだけで見ると、なかなか理解されないし、オヤジも自分から若い子との間の殻を破れない。オヤジはシャイだし、『きっとバカにされるだろうな…』っておびえているしね。だけど、少しの間我慢して付き合ってみてよ。そうすれば、若い男よりもイイところがいっぱい見えてくるからさ」
