年末というわけでもなく第九を聴くことに。いつもならスィットナーかブロムシュテット、オリジナル楽器であればブリュッヘンなのだが、目についたCDがセルとクリーブランド管によるもの。

かつては廉価版レコード一枚にやり無理納めたもので聴いていた。三楽章が途中でB面に移るという記憶がある。

CD というメディアが第九を一枚に収めることを目的にしていたと聞いたことがあるけれど、レコードを裏返したり取り替えたりするのも一興だったりする。

第九に限らず、ベートーヴェンのシンフォニーを大オーケストラでする演奏は好みではない。その意味からするとブリュッヘンやホグウッドなどのオリジナル楽器演奏は細部まで聴こえてくるキビキビした演奏でよく聴いていた。

さて、セルの録音は久しぶりに聴いたが厚ぼったくなくて良い演奏と思う。管楽器がよく聞こえ情緒的過ぎないもの。第三楽章の美しさはベームの最後の録音に匹敵する。規模の大きさを誇示するどこぞの演奏とは一線を画す名演の録音だと思う。ベートーヴェンの音楽を広める目的の一つとしての企画であることを理解してもスリムでキビキビした演奏が良い。

合唱の楽章も名演で、格調高い八つの変奏曲が感動的。

40年以上前の学生時代に木造アパートでヘッドフォン越しに聴いていたことを思い出す。

さて明日はヘンデルのメサイアを聴くことにしよう。