宮部みゆきさんの「ICO-霧の城-」です。


 同名のゲームが、「ワンダと巨像」と同じゲーム製作チームからPS2で出てます。ゲーマーでも有名な宮部みゆきさんが描く初のゲームのノベライズ作品であり、ゲームではなかった設定含め宮部みゆきさんの世界観で綴られています。

 ゲームのノベライズ小説てものは、ゲームをやった人の世界観に著者の世界観を押し付けるといった事態になりやすく、概して評価も低くなりにくいもんです。ユーザーの解釈に任せる部分が多いICOってゲームにおいては特に。

 まぁそんな中、ゲームをやったことのない人間として、純粋なファンタジー小説としての感想を書こうと思います。


 中世ファンタジー風の田舎村、トクサ村。そこでは稀に角の生えた子供が生まれる。その子はニエと呼ばれ、13歳になって角が伸びたら”霧の島”に捧げられなければならない。。

 舞台は、今回のニエであるイコが、神官に連れられ、霧の城の棺桶の中に一人残されるところから始まる。

 親友や村長の事前の配慮から窮地を脱したイコは、霧の城で、鳥籠に囚われた少女を助ける。言葉の伝わらない彼女一緒にイコは城を脱出を試みる。

 霧の城はなんなのか?城にいた少女は?少女と城の関係は?少女を奪い去ろうとする影は?時折りイコに見える過去の風景は?



 この小説の真骨頂は、序盤にあります。ICOの、他の小説やゲームとは一線を画した独自の世界観。少々言葉での風景の表現などがくどく、わかりにくい部分もありますが、ボクのように見事にICOの世界に巻き込まれる人もいることでしょう。

 さらに、言葉の通じない少女、正体不明の影、フラッシュバックと、全く周りが見えない状況での脱出劇。心は現代社会を超えて謎の境地へと達することでしょう。

 ひたすら、世界観を楽しむといってもよいこの小説。小説全体としての評価よりあえて見事な世界観への脱帽から、記事にさせてもらいました。


 ゲームは絶版らしいです。なので、聞いたこともあるという方はちょっと書店で手にとってはいかがですか?

ICO-霧の城- (講談社ノベルス)/宮部 みゆき
¥1,334
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 絵からして、他とは違う独自の世界を思わせてくれますね。


 友人に「今まで読んだライトノベルで一番」と勧められ、思わず読んでしまった。身分違いの恋を描いた戦闘機アクション小説です。

 混血で差別されている主人公シャルルは、その飛空士の実力を買われ、極秘任務を言い渡される。それは、貴族の少女ファナを戦闘機に乗せ、敵軍を突破するという内容だった。

 この小説の見どころはなんといっても、身分の低い少年と身分の高い少女の、不器用ながらもお互いを大切に思う初々しい恋。まあこう書いちゃうと王道っつか王道以外何物でもない単純な作品なのですが、この甘爽やかな展開はひじょーーーに、ドキドキする

 スリリングな戦闘シーンも特筆ものです。シャルルの戦闘機よりあらゆる面において性能が高い敵戦闘機「真電」。何機もの真電から、シャルルとファナは如何に逃げ延びるのか。そこまで急展開!!てな感じの小説ではないんだが、細かな描写、スピード感にすごくドキドキしてしまった。

 まあ最後の最後まで王道なんですが、それゆえか、もしくは王道以外の何かがあるのか。爽やかな、とっても気持ちい後味で終われた。作者曰く、「ローマの休日」+「天空の城ラピュタ」を意識したとか。全然重くないけど面白い、更に一巻で終わる手軽さ。たまにはこんなのも・・・みたいな感じで軽く読んでみてはいかがでしょうか。
とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫 い)/犬村 小六
¥660
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ちなみに、amazonでは作者とイラストレータさんのコメントが見られます。特に読み終わった人には見てもらいたいです。

 夢を旅した少年。この物語はボクたちに、忘れていた夢と、夢をつかむ手助けをしてくれる。

 物語の序盤で、いきなりこの小説の重大なメッセージ、いや、問いかけをボクたちは受け取ってしまう。自分の今まで積み上げてきたものを捨てて夢を追うことができるかという問いだ。この小説の手口は鮮やかだ。少年を見ていると、今のままの生活をしていたら得るであろう、平凡で幸せな未来が想像できてしまう。だからこそ、少年の過去を捨てるに至るまでの、また捨ててからの苦悩を痛感してしまう!

 さて、羊飼いの少年は決心をし、羊をすべて売り、自らの夢を求めて新天地へと向かっていく。この時点で、えらい決心をしたなーと思うが、それは始まりにすぎなかった。いきなり襲いかかる苦難、ああ、やっぱり夢を追うのは難しいなぁ。でも、立ち止まって周りを見て。「前兆」は夢を追う人間に必ず 現れる。そう、チャンスはあるのだ。少年は夢を求め、前兆に従うことで、人生においてもっとも重要なことをわかるようになっていく。

 なぜ少年は夢を追う、前兆に従う(チャンスをつかむ)ことができるのか。幸せへの秘訣とも言ってよい考え方が、流れるような心情描写でボクたちに伝わってくる。少年は、誠実で、他人を尊敬できる人間だ。その心が少年を幸せにするのだろう。この小説のスゴイところは、少年の心が、どこかしら夢を見ているよ うな小説の舞台とは対照的に、圧倒的にリアルな人間のものとして伝わってくるところだ。思わず、自分の考え方を見つめなおしてしまう。

 読んでよかった。この本を読んだからこそ、ボクは今日からの人生を夢のある幸せなものとすることができる。この小説の中には、人の心の中で最も大切なものが詰まっている。ああ、明日会う予定の友達にも読んでもらいたいなぁ。まさに万人に読んでもらいたい、魔法の一冊だ。

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)/パウロ コエーリョ
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 読み終わった後の爽快感が気持ちいい。つられてブログを作ってしまった。

 いまや書店で猛烈にプッシュされている伊坂幸太郎さんが、一般に広く知られるようになった作品らしい。伊坂さんといえば、いたるところで異色などという 言葉を聞くが、それもなるほど、シュールとも透明感とも言いえそうでいえない奇妙な雰囲気を感じる。処女作「オーデュボンの祈り」は嘘か現実かよくわから ないふわふわとした感覚を味わったが、今回はファンタジーのないミステリーライクな作品。なのに、ファンタジーっぽさを感じる。不思議なものだ。

 話は、レイプされた母親が生んだ子、春を中心とした家族愛物語。設定として恵まれてはいない家族なのだが、その「重力」を取り払ってくれるような気持のいい暴論が ある。「むちゃくちゃな!!」と思う言動もあるが、読んでいてそれに賛同してしまう自分がいる。なお感じるのは、登場人物がそれぞれ単純に暴論を振りかざ しているわけではないのだ。みんな、悩んでいる。悩んだ上に声を上げているのだ。春といえ父といえ母といえ、春のストーカー、そして一見一般人に見えてし まう「私」(春の兄)さえもが、他人よりも強い重力を感じながらも、それをふきとばして自分の論理で生きている。静かに、かっこいい・・・・!そう思え る。

 また、一応ミステリーっぽい形をとっているのだが、そこまで仰天する謎があるわけではない。むしろ、予感、気づいてしまうからこそ、「私」の気持ち、心が心配でちょっとしぼんでしまうような感覚がよく伝わってくる。こういうのもありだ。

重力ピエロ (新潮文庫)/伊坂 幸太郎
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 伊坂さんの作品は、この「重力ピエロ」と「オーデュボンの祈り」の2作しか読んだことがない。めくるめく摩訶不思議伊坂ワールドはボクはまだ足を踏み入れたばかりだ。次はなによむかなー!