結婚式において、新婦様がお父様と一緒に新郎様のもとへ歩く道「バージンロード」。
結婚式ではおなじみですよね。
入口ドアから新婦様はお父様と入場し、お母様のベールダウン。
思わず泣いてしまうお母様と新婦様。
そのような光景を何度も見てきました。
映像などで後からそのシーンを見返すと、カメラマンの私も思わずウルッときてしまうことが何度もありました。
いつ見ても素敵なシーンだと思います。

 

ところで、みなさんは「バージンロード」の意味はご存知ですか?
バージンロードは人生を表し、幼い頃から大人になるまでの思い出を振り返りながら一歩一歩新郎様の所まで歩いていくという意味があります。
その為、そのバージンロードは新郎新婦様やお父様やお母様など御一緒に入場される方以外のゲストの方々は足を踏み入れてはいけないとされています。

そして、新婦様の入場が終わったら新郎新婦様は祭壇の上に上がりセレモニーが続きます。
その時、映像や写真のカメラマンはバージンロードに入って撮影してもOKな式場もありますが、NGな式場もあります。
バージンロードに入る事が出来れば新郎新婦様の大事なシーンを一番良いポジションで撮影できたり、ゲストの良い表情も狙うことができます。
もちろん、バージンロードに入れない式場でも、カメラマンはベストなポジションを見つけ最高のカットを狙っています。

式場によってカメラマンの撮影出来るポジションが決まっているのが普通ですが、カメラマンによって撮影出来る場所が違うという、極めてレアなローカルルールの存在する式場があります。
その式場には、写真業者2社(A社、B社)と映像業者1社が入っているのですが、写真業者A社だけはバージンロードに入ってもOKで、かつ禁止されている祭壇の上を横切るのもOKとの事でした。

もう1社の写真業者B社と映像業者は、決まり通りバージンロードの立ち入り及び祭壇の上を横切るのはNGでした。
つまり、その写真業者A社だけは、ベストなカットが撮れる最適なポジションを確保できるということです。
しかし、お客さんはそんなことは知りません。
なので、写真クオリティに差が生まれてしまうことになりますね。
入る業者によって、撮れる場所が違うというおかしなルールが存在するのは、私の知る限りその式場だけです。
なぜそのようなおかしなルールが存在するのか。

どうやら、この写真業者A社のカメラマンと式場スタッフで、結構な癒着があるようです。

そして、ある事件がきっかけで、その式場では比較的理解のあるプランナーさんに、そのおかしなルールを指摘して、改めて写真・動画カメラマンのチャペル内で撮影出来るポジションをルール化してほしいと伝えました。
後日、各カメラマンの撮影可能・不可ポジションをルール化した書面を頂きました。
これで、おかしなルールがなくなりお客様にどのカメラマンが入っても差の出にくい商品が提供出来ると思っていました。
が、後日、動画業者の挙式の撮影シーンの動画を見たら(私ではない別の動画カメラマンが撮影)・・・ 写真業者A社のカメラマンは堂々と祭壇の上を横切り、バージンロードに入って指輪交換などを撮影してるのが映像で確認出来ました。
これだけルール化したにもかかわらず、式場スタッフはいつも通り動くA社カメラマンには何も言わないようです。
その式場スタッフとA社の写真カメラマンだけは、以前から友達感覚で基本的に何をしてもOKな雰囲気でした。
ちなみに、ルール化した書面を作成したプランナーさんは他の式場から移動してきたばかりで、この式場のスタッフの言うことはすべて信じてしまう傾向が強かったです。

私は、お客様に価格に見合う価値のある映像を提供するという意識でずっとこの仕事に取り組んできましたが、どうやらこの式場スタッフはそんなものは望んでいないようでした。
お友達付き合いのある仲のよいカメラマンや、新郎新婦様のことよりも式場のスタッフの目だけを気にする式場スタッフに都合の良い、意識の低いカメラマンを望んでいるようでした。
私のような人間はこの式場には必要とされていなかったのです。

式場の目だけを気にして、新郎新婦様をないがしろにするような意識で仕事に取り組むのは新郎新婦様に失礼だと思ったので、私はこの式場にからの依頼はその後すべてお断りしました。

今回の件だけではなく、以前からこの式場では、顧客ファーストを謳いながら新郎新婦様をないがしろにして自分達の都合のよいような仕事の取り組みかたに疑念を抱いてきました。

そして、今回の件がダメ押しになったのです。

ビジネスとして依頼を受けているとはいえ、絶対に守り続けなければならないプライドと意識があると思ったからです。