メールと明治維新 | ロングテールの先っぽで

メールと明治維新

飛脚が世の中から消えてどれくらい経つでしょうか?
しがない明治志士の高杉(仮)です。

どうにもこうにも便利な世の中になりました。

人間にとって『情報の伝達』って
昔っから無くてはならないものであったし、最重要課題であったように思います。

古くはのろしに始まり、
飛脚や、戦場(イクサバ)ではホラ貝やドラが
開始の情報を速やかに伝達していました。


とにかく
『速く』伝える事が、いつの時代も命題でした。


今では信じられませんが、
大政奉還のような一大政治事変も
日本全国に行き渡るのに1ヶ月、もしくはそれ以上かかったのではないでしょうか?


私は好きで、よく明治維新の頃の本を読むのですが、
高杉『なにぃ~!!それは許せん!!今からそいつにモノを申し上げに参る!!』

なーんて怒り沸騰で馬に飛び乗り、
パカラッパカラッと走らせ、
やっと物申せるのは、2日後だったりする場面を
よく見ます。


そして現代。
情報伝達はもはや最速を極め、
情報は溢れ、
どちらかというと『速さ』よりも『取捨選択』が重要となっていますよね。


携帯のメールであれば、
情報の伝達は最高に速くなります。


先ほどの高杉の例で行きますと、
高杉『なにぃ~!!それは許せん!!今からそいつにモノを申し上げに参る!!』

と思ったら、その場でメールを送れば言い訳です。


高杉『貴様ぁ!!それでも長州男児か!?腹を切って詫びよ!!!』


思ってから、情報が伝達されるまで、
その間、わずか2秒。

最速です。


ですが、最近こう思います。


恐らく、昔の高杉は、
馬をパカラッパカラッパカラッと走らせている間に、
いろんな事を考えたのではないでしょうか?

もっと言えば、人間の感情の持続は
それほど長くはないと思うので、
2日も経てば、最初のテンションとはまるで違うものになる。

少し客観的になるのではないでしょうか?


高杉『おぬし、長州藩への忠義を忘れておったと聞いたが、まことか?』


と言った具合です。


『腹を斬れ!!』
という言葉との違いは一目瞭然です。



情報の伝達は最速であるに越した事はありません。


ただ、そういった時代の小説を読んでいると、
・誰かを訪ねて留守だったから、帰ってくるまで待ったり、
・急いで伝えるために早足に掛けて、着く頃には息が切れていたり
・自分の一歩が、日本を変える一歩だと勘違いしたり

わりと演出的にドラマチックになるんですよね。


『何時何分にどこどこで待ち合わせねー』
みたいな事が出来ないから、
出会いが奇跡的になってくるんです。





きっと無いものねだりなんでしょうけど、
ちょっと良いな~と思ったりします。