狂気的なハイテンションを誇る前作「バッドボーイズ2バッド」と比べるのは酷だけど、それにしてもここまでダークにする必要はあったのか。

ストーリーの暗さに映画全体の雰囲気や演出のトーンまで引っ張られてしまってる印象。

 

それでもアクションや爆破シーンはマイケル・ベイ監督に負けじとド派手に頑張ってて楽しい。

終盤の銃撃戦も、カメラをすげぇ傾けて上階の敵と下階の味方を1つに収める強引さが好き。

 

 

 

マーカスは警官として大丈夫なのか? と思う所が時々ある。

 

大量の何かの破片が飛び散る爆発や、ギラギラした映像とガチャガチャした編集で目を潰しに来る感じなど、マイケル・ベイ監督ならではの特徴が前作「バッドボーイズ」よりも明確に。

グダグダなのは相変わらずだけど、ハイテンポでド派手なアクションシーンはやっぱり見ごたえある。特にラストの殴り込みは「警察とは」と色々ツッコみたくなるけど、展開は燃えるし超楽しい。

 

反面マイケル・ベイ監督の悪趣味っぷりも存分に発揮されてて、合わない人は徹底的に合わない気がする。

あとこの内容で2時間半は長げぇって。

 

 

 

当たり前だけどウィル・スミスもマーティン・ローレンスも若い。

あとキャストクレジットでマーティン・ローレンスが一番最初に出てくるのも何か新鮮。

 

トランスフォーマーシリーズや「アンビュランス」といった近作に比べたら格段に大人しいけど、初監督作品ながら視覚的なやかましさとかスローモーションの多様っぷりなど、マイケル・ベイ監督っぽさが既に随所に観られる。

もうこの頃からこんな感じだったのかと思うと感慨深いというか、変わらねぇなぁというか。

 

 

 

前日談ではあるけど、前作「マッドマックス 怒りのデス・ロード」とは別物と考えた方がいいかも。

そもそも前作は僅か3日の話だったのに対し、今回は15年という長期間で語り口も全く異なる。更にパンフレットのインタビューによると、クリス・ヘムズワースはジョージ・ミラー監督から「同じことはやれない」と言われたみたいだし。

 

確かに上映時間が28分も増えたり、ストーリーの語り方が変わった影響もあってか、前作ほど怒涛のハイテンションっぷりは感じられなかった。

それでもフュリオサの過去や人物像の掘り下げはもちろん、ガスタウンや弾薬畑など前作では台詞で言及される程度だった要素がガッツリ登場したお陰で、前作の世界観を広げ、理解を深めるには充分だと思う。

そして相変わらずアクションがどうかしてて楽しい。特に中盤のウォー・タンク上の戦いは、前作を踏襲したものかと思ったらまさかの空中戦で、アクション自体の派手さだけでなく混乱させない丁寧な魅せ方にも度肝抜かれた。

 

また上映時間が長くなったお陰で、ディメンタスの出世~没落を描いた一代記としての要素も入り、ただの外道な敵役に収まらず色々深みのあるキャラに仕上がっている。

とは言えリーダーとしての統率力やカリスマ性はポンコツ過ぎて、イモータン・ジョー一味が相対的に有能に見えてくる程だけど。

 

加えてフュリオサやディメンタスだけでなく、他のキャラも相応に濃い。

フュリオサの母であるメリー・ジャバサは戦闘能力・サバイバル能力共に抜群で、「この親にしてこの子あり」という言葉がぴったり。

そして警護隊長ジャックとのやり取りは、眼だけで意思疎通する姿だけでもグッと来るし、前作で見せた戦術やテクニックは彼から教わったものなのかなと想像できる所もあった。

 

 

 

ワケあり欧米人とタイ・バンコクの相性はとっても良い。

 

クソ野郎がひでぇ目に合う血みどろバイオレンスアクションは、痛々しさと迫力が満点なだけでなく、拳どころかそこまで使うのかよというサプライズまであるのが嬉しい。

ただ映画自体はダークでシリアスな雰囲気が強めで、その影響か爽快感はあまりなく終始空気が重苦しい。それはそれで凄惨な暴力描写とマッチしてて悪くないけど。

 

また「オンリー・ゴッド」とか「ただ悪より救いたまえ」など、タイ製作じゃないタイを舞台にした映画でしょっちゅう見かけるヴィタヤ・パンスリンガムが今回いいおやっさん感を出していた。主人公のサムを助けるパートナーとして渋みを醸し出しながら、まさかキレッキレな剣戟まで魅せてくるとは。

あと「13人の命」など他の映画で見た事あるタイの俳優がチラホラ。特に「女神の継承」からは3人も出演しててちょっと笑った。

 

ただ「中華街のカウボーイバー」を探すためヤワラートをうろついた後、何故かソイカウボーイに辿り着いてたのはご愛敬。