父の決断
結局、父は、一度は諦めていた腎臓がんの手術を受けることにしました。思い悩み、落胆し、諦めて、また迷い・・・ここに至るまでに、本人も母も私も、たくさんの心の葛藤がありました。前にも書いたように、先生は高齢者の手術にはあまり積極的ではありませんし、何かにつけ脅し文句のように最悪のケースを口にします。そういうやりとりの中で、高齢者という「ハンデ」は、段々と「負い目」と「恐怖心」に変わっていきました。しかしながら、最終的に、父は手術をしたいという強い意志を先生に伝えました。すると先生の態度は一変し、思いがけなく「わかりました!」という力強い返事が返ってきました。そして、不思議なもので、そこからは急に信頼関係が芽生え、先月末、無事に手術を終えました。術後は心配していたせん妄の症状もあらわれず、順調に回復し退院をしました。一歩踏み込む勇気、自分はどうしたいのかという患者としての強い意志、思い込みのない柔軟な心、今回、そんな患者として大事なことに気付かされました。