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母が亡くなってしばらくしてから、私は母の実家のお墓参りに行きました。

母の事を報告するためと、母の親友に会うためです。

私が住んでいる場所から母の実家まで車で1時間30分ほどで、のんびりとした田舎町は私の懐かしい思い出の場所でもありました。

小さい頃によく来た実家のお墓は、私が小さい頃のまま何も変わっていませんでした。

お墓にお供えするお花とお茶を買いに、周辺のスーパーを訪れました。

そのスーパーは、やっぱり昔と何も変わらずな井出たちで、懐かしい雰囲気を醸し出していました。

売っている商品は、その土地の方が好きであろうラインアップが取り揃えてあり、昭和の雰囲気がたまりません♡

懐かしい気持ちをいっぱいに感じながら、お花とお茶を買いお墓に行くことにしました。

お墓に到着すると、一気に昔にタイムスリップしました。

太陽がカンカンと照らすとても暑い日

いつも夏休みに母の実家に帰省していたいので、その時の記憶がぐっと蘇りました。

その途端に...急に涙が溢れてきました。

「オカン...着いたよ」

母は、母のお母さんが大好きでした。

母の父の事も大好きでした。

亡くなる間際になると、よく

「お母ちゃん...お母ちゃん...」と泣いていました。

まるで、母の記憶が私の中に入ってきたかのように...安堵と寂しさと入り混じった気持ちでした。

「はぁ...」と一息ついて実家のお墓の元へ行きました。

年々も足を運んでいなかった場所なのに、よく覚えているものですね。

見晴らしの良い角にあるお墓に辿りつき、ご先祖様に報告させていただきました。

そして..

夏休みにいとこたちと一緒に蝉を捕まえたり、ザリガニを釣ったりした場所に行きたい気持ちを抑えつつ、ご先祖様に母の事を報告し、お墓周りをきれいにしていた時です。

となりでお墓のお掃除をされていたおばあさんに、話かけられました。

「珍しいね~!ここにお墓参りに来る人、最近はすごく減ったから...」

「母が最近なくなったので、久しぶりに寄らせてもらったんです」

なんとそのおばあさんは、母のお母さんのことを知っている人でした。

昔は、その周辺では有名なラーメン屋さんだったのですが、数年前からお店が火事で全焼してしまってから、ここら辺の人が寂しがっていたんだよ...とお話をしてくれました。

母の実家は、数年前に火事で全焼してしまってから、商売をやめてしまっていたのは知っていました。

昔ながらのラーメン屋さんが商売をやめてしまって、近所の人は寂しがってくれていたんだと思うと、なんだかとても嬉しい気持ちになりました。



そのおばあさんと30分ほどお話をして、今度は母の親友に会いに行きました。



母の親友は、母の死をひどく悲しんでいました。

その方と母は、幼馴染で結婚をして離れた場所であっても、定期的に同窓会を開いては、仲良くしてくださいました。

父が亡くなり母が意気消沈しているとき、その方は、母を励ましてくださいました。

いつもどんな時も、母の良き理解者であったことは間違いありませんでした。

その方近くの公園で待ち合わせをしていました。

待ち合わせ時間より少し前についていたので、日陰になっているベンチに腰を掛けその方を待つことにしました。

しばらくして、その方が到着すると同時に

「ちょっと~!○○ちゃんかと思ったよ~!!!」と泣いているのです。

私がびっくりしていると、その方は

「ごめんごめん!後ろ姿が、○○ちゃんそっくりで!!!びっくりしちゃったの」

私の後ろ姿が、母そっくりだったようで、その方はしばらくしくしくと泣かれていました。



「〇〇ちゃん...早すぎるのよ...〇〇さんも早かったから...すごく悔しくて!!!!!」と。

私の両親を昔から知っているその方は、父が亡くなった時も、すごく悔しがっていました。

「これから、夫婦水入らずで幸せに過ごせる時間だったのにね....」と、父のお通夜の時に私に話してくれたのを覚えています。



それから、2時間ほどお話をしました。

想いで話は尽きることがありませんでした。

しかし、子供のお迎えがあったので、その方とお別れをして帰路につきました。



帰りの道中、なんだかとても不思議な気持ちになりました



「オカンがいない」



それが、いつまでも辛く悲しく切ない...空気となっていることに気が付きました。

これから先、きっと寂しい気持ちは続くのだろう。



胸がキューっと締め付けられました。