［由来］

東京を代表する某歓楽街のNo.1ホストとして鳴らした男が、引退後に政界に進出。かつて同じ店で働いた仲間の元ホストたちを巻き込んで新政党「自由ナルシス党」を結党すると、長く地道な政治活動の末に政権奪取&内閣総理大臣就任というゴールデン・ドゥリームを成し遂げた。こうして現役ホスト時代を彷彿とさせる細身のブラックスーツに身を包んだ総理は、就任後初の所信表明演説において「全国民がドン引きするような熱く過激な政治、見せてやんよ!」などという極めて強気な発言に終始したことから、政界には稀な肉食系「オラオラ内閣」として広く国民に認知されるところとなった。

［足跡］

この「オラオラ内閣」を構成する閣僚たちはほぼ全員が総理の元同僚ホストたちで占められていたが、彼らはホストクラブで言うところの「サポート」の位置付けでひたすら総理を立て、国政を盛り上げる役割を果たすのがこの内閣の特色のひとつであった。たとえば国会の答弁において総理が発言を終えるたび、「今日も〜この国〜、いい波乗ってんね!」「経済〜文化も〜いい波乗ってんね!」などとホスト独特のコールをかける場面がよく見られた。また、経済面では日本発祥のカルチャーでもあるホストクラブの経営メソッドそのものを海外に輸出するというアイディアで、アニメなどとはまた別の「夜のクールジャパン」とも言える経済振興策を推進したのであった。このように一見順調であるかに見えた「オラオラ内閣」の政権運営だったが、国政に入れ込むあまり、いつのまにか国や国民を心から愛するようになってしまった総理は、客と真剣な恋愛関係になることをご法度とするホストの美学に反することになるためひどく悩み、ついには辞任を決意するのだった。こうして、総理が官邸を去る日が訪れたが、長年の腹心ともいえる閣僚たちは湿っぽいことが大嫌いな総理の心情をおもんばかってのことか、首相官邸において惜別のシャンパンタワーと「グイグイよしこい!グイグイ!グイグイ!」というホストならではのお馴染みのコールで底抜けに明るく華やかに総理の新しい門出を祝ってみせるのだった。

■第47内閣『オラオラ内閣』