オレは小さくなった氷を口に含んだまま、彼女のバスロープのひもをほどく
そこには、一糸まとわぬ、少し熱を持った白い裸体があった
 

氷を含んだ口は、志庵の唇を離れ柔らかい胸へと滑っていく
口から漏れた冷たいしずくがまるで意志があるように流れ
右の乳首を通り過ぎた時彼女の体がぴくんと反応する
 

そのまま、顔を下げていく
 

へそを過ぎ彼女が母であると言うことの印が目に入る
 

もう少しで、彼女の敏感なところへ達するところまで来た
 

と同時に彼女の体がこわばり硬くなった気がした
 

僕も一瞬、動きを止めてしまう・・・
 

心の中で問う、このまま体を一つにしていいんだろうかと
二人は、流行のセフレと言った関係では勿論無い
 

彼女もとっても夫を愛しているし、子供を大切にしている
それは僕も同じだ、今こうして二人がいるのはSEXが目的ではない
 

仕事に少し疲れていた、ほんの少しの刺激が欲しかったし
そうすることで新たな気持ちで向き合える、そう思っていたからではないのか?
 

キスは?んー彼女のかわいらしい笑顔とロングヘアかなぁ
んー二人とも後悔しないだろうか?
そんな思いがめまぐるしく頭の中を駆けめぐる
 

 

 

「どうしたの?」 「今更こんな事言うの変なんだけど」
「後悔しない?」
 「・・・・」
 

「志庵も家族すごく大切にしてるだろぉ、それはオレも一緒だし」
「二人がどんなに言い訳しても周りから浮気と思われる行為になるよね」
 

「君は平気な顔していられる?」
「オレは後悔するかもしれないと思った・・・」
 

「うん、私も旦那をすごく愛してるし、子供が大切」
 

「オレね、最初にキスした時からドキドキしっぱなし、すごく新鮮だった」
「あー今は特別な時間なんだって」
「恋してる錯覚に陥ったよ」
 

「私もネ、北海道まで来て色々エスコートしてもらって」
「こうなるのって当然のように思ってた・・」

 

「体は感じるの、でも心のどこかで疑問詞あったかもしれない」
 

「罪悪感あると、何故か逆に萌えるよね」
「だけどやっぱり、月並みだけど愛がないと心が萌えないんだね」
 

「そう、私もそう思う、シャワー浴びてる時一瞬とまどいがあったの」
「どうしようって、子供じゃないのにね」
 

「ニングルの森でさ可愛い物見ると子供にって思わなかった?」
「一瞬なんだけど顔が曇ったんだよね」
「それを見た瞬間ね、オレも子供のこと考えちゃった(笑)」
 

「エ゛、そんなところまで見てたの?」
 

「まぁ~ネ、そうじゃないと妄想家はつとまらん」
 

 

二人に笑顔が戻った
彼女のはだけたバスロープを元に戻し
その後もデッキチェアーに座りながら色々な話をした
 

満天の星空の下、昔からの友達のようだった
 

「明日早いからサ、そろそろ寝る?」 「そっしよっか」
 

小さいコテージベッドは一つしかない
 

「一緒に寝ることになるけどイイ」
 

「襲う?」 「ないない」 「じゃ一緒に寝る」
 

「ねぇー横にこんないい女がいるのに我慢できるのぉ?」
 

「が、我慢してんのっ!」
 

 

どれどれ、そう言う志庵は僕の股間をちょっんと触った
 

「あっ、たってるぅ~ケラケラケラ」
 

「あのさぁー我慢してるんだからさぁ・・・襲うよ」
 

そう言うとオレはがっばと起きあがり
 

彼女の両手を掴み押さえつけた
 

目をパチクリしている志庵にチュッとして離れた
 

「ハイ、お休みのキス、焦った?」
 

「んー、ちびっとだけぇ」
 

「次悪戯したら、ぜってぇー犯すかんなぁ」
 

「でも、私がしたくなっちゃったら・・・どうするのぉ?」
 

「そこにサッ、ナイアガラの瓶あるから」
 

ギャハハハ「デカすぎぃ、じゃ隣でオナッテやるぅ」
 

「ご勝手にぃ、僕ちゃんは寝マまーす」
 

「チッ、つまんなぁーい」 
 

「じゃオナッテるところ見てあげるから、我慢しろよぉ」
 

「んーそうする、見られると萌萌ですぐ逝けそうだし」
 

「腕枕で寝る?、かみさんは熱ぐるしいってしないんだよね」
 

「私はいいけど、我慢できなくなるよぉ?」
 

「うだうだ言わない、じゃ抱きしめたまま寝るワ」
 

 

そう言って抱き合ったまま寝ようとした
 

 

「何か当たるんですけどー」
 

 

「きにすんなって、すぐちっちゃくなるから、お休みぃー」
 

 

そう言うと僕は朝まで寝ていた

オーイ、朝だぞーの声でまぶたが半開きになる
 

ひゃつめてぇー、次の瞬間彼女の口移しで口の中に氷が
 

「昨日のしかえしぃ、気持ちよかったけどネ、あれは」
 

そう言って起こされた・・・
 

テーブルにはトーストと、コーヒー、サラダが
 

「志庵が作ったのへぇー、誰でもできるもんばっかだなぁ」
 

「贅沢言わないの、やっと起きて作ったんだから」
 

「冗談だって、朝食には十分だって」
「頂くよぉ~ん」二人で食事を取る
 

あっという間に時が過ぎた、勿論セックスはしなかった
 

 

 

 

 

 

キスはいっぱいしたけど・・・
 

 

 

 

 

浮気?いやいや、気持ちも浮ついてないそれは彼女も同じだ
 

 

僕らは人生や社会の戦友としてキスをしたのだ
 

 

 

 

 

  

「急ぐから、バイクで行くヨッ」
 

 

彼女の手荷物が少ないこともあり、何より真夏の太陽が照りつける中
バイクで残りの時間北海道の空気と風、臭いをプレゼントしたかった
 

ドゥリュュュュン、ドゥオン、ドゥオンミリの中に木霊する排気音
 

 

タンデムシートに彼女を乗せ旭川空港に向かう
 

 

バイクに乗っている間志庵は一言も話さなかった
 

 

空港に着き手荷物を渡すと、うっすら泪
 

 

「なしたぁ?」 「別にぃ、ゴメン、らしくないんだけど」
 

「なっ、もう一回キスしよっか?」
 

「ここで?」 「そっ」
 

そう言ってバイクにまたがったまま志庵にキスをした
 

そして、彼女の感じやすい右胸をちょっんと指でつっいた
 

「今のは、昨日我慢したH分」
 

「もぉー、馬鹿なんだからぁ」そう笑顔で
 

「なぁ、二人って共に昨晩我慢した戦友だよな?」
 

「うん、男と女だけどね」
 

「いつか又会えることがあったらキスしてくれる?」
 

「もちろん、氷入りでね」
 

そう言って彼女を見送った
 

 

搭乗口に向かう彼女の顔は、すぅと妻と母の顔になっていた
 

 

旭川発羽田行きANA4732便 9時40分発 
 

 

 

 

 

 

24時間、彼女と素敵な時間を過ごした