退院、でも悲しかった事 

それは、たった40日ほどの入院にもかかわらず
娘が妻になつかない事だった
1歳4ヶ月の娘にとって40日はとてつもなく長かったらしい
甘えたいときに甘えられず
ひたすら祖母と祖父にかわいがられ
母親を忘れたかのように甘えられないでいた

退院してすぐに正月を迎えたが
妻は、新年早々そんな娘を抱きしめては泣いていた

僕は「焦らず行こう、病気も一緒焦らず行こう」そういって慰めた

そんな日々を過ごし、始まった抗ガン剤治療
ドラマのごとく日々抜けていく妻の体毛

妻よ、すまんそう思いながらいずれはパイパンになるだろう事を
妄想し一人で笑ってしまいました
ごめんヨォーこんなトキにって、感じで・・・


数ヶ月後、妄想が現実になったときには
悪いと思いつつちょっと吹いてしまいました

妻の場合、抗ガン剤治療は、3週行って1週休みを繰り返すパターン

当初あれだけ落ち込んだり、悪い方へばかり妄想していても

投与するとこんな症状が落ち着いてくるのが分かってくると
心の準備が整い少しずつ不安も軽減された

それに合わせて、我が輩の妄想も徐々に希望がわいてくる

妻には、抗ガン剤がばっちり効き
転移も、再発も無く妻として、母として人生を過ごしていける

5年生存率?10年生存率?
そんなことは気にしなくていい、
これからまだまだ夫婦として長い時間を過ごすはずだ


そんな妄想が多くなった

それはもちろん明るさを取り戻してきた、妻の笑顔と
なつきだした娘、甘える娘
ちょっとだけ大人になった息子を見ていたからかもしれない



家族の表情という薬はすごいなぁ、改めて思う


術後半年、抗ガン剤も一区切りが着いた頃

妻の髪の毛のほとんどは抜けきってしまったが


「オイ、暗くなるな」「おまえに似合うカツラを探しに行こう」
こんな会話すら出来るようになっていた


どちらかというと、毛深い方だった妻
副作用で毛という毛が抜け全身つるつる

もちろん、投与が終わり数ヶ月すると
髪の毛も含めて体毛は生えてくる

が、陰部はこのままでもいいようにすら思えてくる
妻は恥ずかしいだろうけどネ



その分、夫婦の営みはちょっと燃えちゃうかも
みたいな妄想が膨らんだりした

今、切除をして1年4カ月

2カ月に1度の精密検査では概ね良好

残念なことに?

陰部の体毛もすっかり元通り

たまに訪れる、夫婦の営み時はちょっと残念
と不謹慎なことを思ってしまうほどふさふさ
これはこれで良いのだが・・・・
ジャングルウォーキングも好きなわが輩


ただ、不思議なことに投与前はストレートだった
髪の毛が、なぜか天パに?
くるくるカールした毛に生まれ変わってしまった


先日の検査では担当医の口から「あ、カツラ替えたんだね?」
と言われるくらいに
地毛ですと答えると、「へェ~こんな事もあるんだぁ」
だそうである


妻も家族も明るさを取り戻した
まだ、体力的には多少の不安があるものの
以前と変わらない強情な女に戻った・・・

やはり、強情に効く薬はないようだ(-_-;)


娘も2歳半となり、すっかりわがままに

息子は母親を心配できるようになった

相変わらずなのは、妄想する我が輩だけ


もちろん、妻も我が輩も癌に対する油断はしていない

妻にとってはこれからも再発と転移の不安からは逃げられない

見えない恐怖と戦わなければならないが

我が輩の前向きな妄想で乗り切ろうと思う

もちろん、Hな妄想も含めて・・・m(_ _)m