イギリス緑の庶民物語 明石書店 1999 平松紘
内なる楽園、カントリーサイド、歩く権利とアクセス権。近現代における庶民の社会的状況の変遷。イギリスの緑の物語は、王権を中心とする貴族権力による庶民抑圧が庶民の生活空間の在り方を変え、それに抵抗する庶民の習慣と千絵が、窮地に立たされながらも緑を守ろうとする歴史であった。
18世紀から19世紀の土地囲い込み(エンクロージャー)によって、貴族が土地を独占していった。工場を建て、住宅を建て、資本主義の社会を創りだした。しかし、庶民の生活と休息の場を奪った。狭い間借りで家族を養わねばならなくなった庶民は、フットボールとハイキングの場所を求めた。こうして、貴族の庭園だけでなく、過酷な労働をする庶民の為の公園がいくつか出来て来た。すると、イギリスらしい緑が、都市郊外からカントリーサイドへ伸びた。カントリーサイドが「公衆に解放された緑の空間」を意味するオープンスペースになった。このことが、緑の物語の要をなす。
中世からの習慣的権利によって、庶民が家畜を放牧し薪木を伐採する土地であったコモンズが、18世紀からの囲い込みの対象となった。庶民はこれに疑問をもち、反感に成長させ、反対運動を展開した。「コモンズ保存協会」がこの運動を支え、コモンズをレクリエーションの場へと進化させた。つまり、中世以来祭りの場であった緑地が、オープンスペースへと進化し、フットボールやクリケットの場として、イギリスに無くてはならない緑を形成した。ついに1932年、歩く権利法が制定された、フットパスを創造した。
yamanekoは経験した。「パブリック・フットパス」表示のある湖畔を歩いていたら、男性が「出て行け」とどなり、杖を振り上げた。「歩いて来た道のとおりに出て行け」と。この図書を読んで、その意味が歴史とともに理解できた。