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アイドルKSDDへの道(仮)

心に茨を持つ山梨県民こと「やまなしくん」のブログ。基本UKロックが好きですが、最近はもっぱらオルタナティブなアイドルさん方を愛好しています。

人口90万人に満たない弱小県である、わが山梨県であるが、ミュージシャンを輩出していないわけではない。THE BOOMのメンバーとか、レミオロメンとか、(故人となってしまったが)フジファブリック志村氏とか…。アイドル界でいうと、人気グループ「夢みるアドレセンス」の荻野可鈴、BANZAI JAPANのメンバーだった水萌みず、また楽曲派界隈で支持を得たローティーン・アイドルグループ「Peach Sugar Snow」(今はPeach Sleep Skyに改名)がいる…ことは以前から知っていた。

しかし、山梨県出身ソロアイドル「リナチックステイト」の存在を知ったのは最近のことだった。きっかけは、今年5月に、彼女が地元である笛吹市で主催イベントを行った…という、地元紙「山梨日日新聞」の記事だった。笛吹市は、レミオロメンや、ヒップホップ界隈では全国的な知名度のあるstillichimiyaや、直木賞作家である辻村深月を輩出した地域である。そんな中に、また一人、表現者が加わるというのだろうか。

さっそくYouTubeで曲を聴いてみた。



良い。良すぎる。他の曲も聴いていたが、Perfume以降のエレクトロ・ポップに、最近のEDMテイストを加えた楽曲たち。かつてPerfumeにハマった自分は…それを聴き始めたときの、あのワクワクする感じを思い出さずにはいられなかった。しかもリリース元は、タワーレコード内レーベル「箱レコォズ」ということで、楽曲のクオリティについては保証済みと思われた。

そして、ロングツインテールで歌い踊るその姿は、さながら実写版の初音ミク、というような佇まいだった。僕は音楽オタク&アイドルオタクとしての好奇心、探究心から、彼女のライブをぜひ観たいと思った。

リナステのライブを観る機会は、7月に訪れた。7月12日に山梨の「国母工業団地」で催される夏祭りの「カラオケのど自慢コーナー」に、ゲストとして出演するというのである。

マジか。あまりにローカルでタフな環境ではないか。好奇心をそそられ、これは行くしかねぇ…と思っていた。のだが、結局友人との飲み会が入り行けず。心の中で謝りながら、次に機会があるときは必ず行こう…そう思っていた。

リナステのライブ活動は普段都内で行われているので、都内へ行くしかないかなぁ…と思っていた矢先、再び地元でライブを観られる機会は、意外にも早く訪れた。イベントホール「アイメッセ山梨」で催されるフードフェス「グルメサーカス」のステージに、ゲストの一人として出演するという。

(山日YBSイベント情報のキャッシュ)

グルメとかりゅうちぇるとかどうでもいいから、この機会を逃してはならない。調べたところ、17日日曜日、16:30からのステージへ行けそうだ。当日は午前中から用事があったのだが、思ったよりも早く終えることができた。一旦帰宅して着替え、会場へと向かった。

* * *

ステージ


会場は、ステージの前に椅子が並べられており、いかにもローカルなイベント会場といった趣きで、家族連れの人とかが座っていたが、明らかに県外から来たであろうオタクの方も数名見受けられた。うち一人は、おそらく「おまいつ」の方だろう…。着席ライブは苦手だが、立っていると目立つので…僕は前から3列目の椅子に座り、ステージを待った。

リナチックステイトさんは、チャイナ衣裳風のお団子を頭につけ、ニーハイソックスをはいた、あの青い衣装で登場。ライブが始まった。



近くでみる「りなさーん」は可愛かった。そして、こんなことを云うといかにもオヤジ的なので云いたくないがあえて言うと、かつてtwitterで見た(僕は彼女のアカウントをフォローしている)とおり、豊かなお胸だった。

そんなことはともかく、曲は最高だった。あのアッパーで多幸感あふれるエレクトロポップが連発されると、そこはまるで、楽しさの帝国だった。彼女はその帝国のプリンセスで、ひたすら笑顔で歌い、踊っているのだった。ダンスはすぐれてアイドル的だったけど、ときどき身体をゆっくりとくねらせるような所作を見せて、表現の奥深さをも感じさせた。

僕はこれまでずっとグループアイドルを見てきたので、こんなソロアイドルのライブを観ることはまれな機会だった。狭くないステージ上、一人で彼女はライブしている。それも、こんな笑顔で! これが、アイドルの矜持、なのだろうか。初めはその「地下感」になじめない自分を感じていたが、ライブを眺めるにつれ、徐々に彼女の世界に引き込まれていくように思われた。

来る前は、ライブは20分くらいかなぁと思っていたけれど、結果、30分のセットでライブをやってくれて、大いに満足することができた。「つまらない」と思うことの全くない、そんなライブだった。

終わった後、司会である、「山梨住みます芸人」の「ぴっかり高木といしいそうたろう」、そして三浦実夏・YBSアナウンサーが出てきた。

「躍動感がありましたねー! 地元でのライブはいかがでしたか?」

「緊張しました。友達が来ているので。普段と雰囲気が違って…」

「何か食べましたか?」

「ラーメンを三杯食べました!」

「好きな食べ物は何ですか?」

「キムチです!」


…このような会話を繰り広げていた。リナステさんは無事に故郷に錦を飾ることができたようである。僕も歓声を送った。

* * *

さて、今回のライブで気がかりだったのは、果たして「物販」をやるのだろうか、ということだった。物販はアイドルにとって主な収益源であるから、たぶんやるとは思っていたが事前アナウンスがなかったので不安だった。が、ステージ上で、「この後物販がある」旨のアナウンスがあったので、一安心。少し待って、ステージ袖のスペースへ向かった。

物販に来ているオタクの方は、8人程度いた。僕がそこへ向かうと、ライブ会場の舞台設営スタッフのような風情の男性スタッフが応対してくれた。本人"りなさーん"は、すでにそこに登場していた。

「はじめてライブ観ました!すごい笑顔で…」」

「うれしー!アイドル好きなんですか?」

「そこそこ観てるんです…」

…なんて会話を、さっそく無銭でしてしまった。
CDは売り切れてしまって、もう無いそうである。残念。考えたあげく…というか実はすでに決意していたのだが、「サイン入りツーショットチェキ」をお願いすることとし、1500円を支払った。

「よろしくお願いします! …えっと、定番のポーズって、あるんですか…?」

と"りなさーん"に尋ねると、腕を交差させるポーズを教えてくれたので、それでチェキに収まった。


僕は、自分が地元民で、彼女の出身地(笛吹市)に近いことを伝えることができた。

「どんなアイドルさんが好きなんですか?」

「一番好きなのは ゆるめるモ!で、あとはBishとかThere There Theresとか、ロック系ですかねー」

「ソロアイドルって、あまり見ないですか?」

「あぁ…初めてかもしれないですねー」

「10月にゆるめるモ!さんと一緒に出るイベントがあるんですよ!」

「マジすか…?!」

…なんて会話をすることができた。最後に握手をしてくれた。彼女の手は熱かった。「曲めっちゃ好きなんで、またライブ観たいです!がんばってください!」と声を掛けて、その場をあとにした。

* * *

「リナチックステイトさんは、タイや台湾…など、海外でもライブを行っているんですよー!」

と、開演前に三浦アナが紹介していたが、実際彼女は海外経験もあって、その楽曲や容姿から「日本的なアイドル」をレペゼンする存在であるようだ。そんなアーティストが、身近な場所から生まれたことを、うれしく思っている。次は、都内のライブハウスでリナステのライブを観て、思うがままに踊ってみたい。正直なところ、予定は未定、なのだが…まずは、ささやかながら彼女のことを応援したいと思い、まずはこのブログを書いたのだった。

(おしまい)