CDレビュー: hauptharmonie / Brass! Brass!! Brass!!! | アイドルKSDDへの道(仮)

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心に茨を持つ山梨県民こと「やまなしくん」のブログ。基本UKロックが好きですが、最近はもっぱらオルタナティブなアイドルさん方を愛好しています。

"Fat, Rich&Gorgeous!!!"…この1曲目のタイトルが、このミニアルバムの内容を的確に説明している。以前からスカやスウィングジャズの曲をメインに据え、(インディーズアイドルにしては本格的すぎる)生のブラスサウンドが特徴的だったハウプトハルモニーだが、本作ではブラスバンド"Tapferkeit Band"とのコラボレーション…という形で、サックスやトロンボーン等が全編にわたり鳴り響く、豊饒なブラスサウンドを展開。洒脱なジャズ歌謡「唇を奪いにいく」、いなせなスカ・ロック「Tokyoite Grim Reaper」、昭和時代っぽさも感じさせる可愛らしい「ハウプトハルモニーの大脱走」などなど楽しく踊れる曲が満載だが、そんな彼女たちにスリップノットが乱入したかのような、ヘヴィロック#6「豪遊」のようなナンバーが混ざっているのも、遊び心があって良い。

しかし、楽しいことは長くは続かなかった。この作品がリリースされる約半月前に、運営はメンバー1名の解雇、そして解散を発表。約3年間の活動にピリオドを打つことを宣言した。(ちなみに、メンバーが加入と脱退を繰り返す不安定な3年間だった。)…そんな、はかないアイドルグループの在りようと比べて、このミニアルバムに収められた楽曲を聴くのは(そしてライブパフォーマンスを観るのは)何て楽しいのだろう!まるで夢のようだ。

悲しい現実が嘘のように、ハウプトハルモニーの楽曲は超然として楽しさにあふれている。そんなレコード芸術の本質が図らずも露わになった、おそらくはアイドル史においても忘れることのできないであろう作品。