薄れゆく記憶~DV・モラハラ・ボーダー・共依存…狂気に満ちた日々~ -5ページ目

背後の足音

心をザワつかせる「小さな変化」が幾度か積み重なっていった


ある日、仕事に行こうと思い、駐車場に足を踏み入れると…


何か明らかにいつもと様子が違う。よくよく見てみると、車が


微妙に傾いているのだ。傾いた車体に違和感を感じ…しゃがみ


込んでタイヤを調べてみると、タイヤの一つが明らかにパンク


していると見て取れる状態だ。何が原因なのか、素人判断では


分からず、近くのガソリンスタンドまで何とか車を持ち込んで調べ


てもらったところ、太くて長い釘が一本、深々と突き刺さっていた。



「刺さっている箇所から見て、道路に落ちていた物を、つい踏み


つけてしまった訳ではなく…もしかしたら、ですが…誰かが故意


に突き刺したとも取れます…。」語尾を濁す店員の言葉を聞いた


瞬間、今まで不自然に感じていた小さな変化の数々が一気に


繋がった気がした。それは、私に恐ろしいまでの不安と恐怖を


与えた。それでも、警察に被害届を出さなかったのは、タイヤが


パンクした事は事実であるが、不審な人物がタイヤに細工して


いるところを実際に目撃したわけではなく…心のどこかでは


「たまたま落ちていた釘が、不自然な角度から刺さってパンク


しただけなんだ…」と自分に思い込ませようとしていた節も


あったからだ。いや、そう思い込むことで少しでも恐怖を和らげ


たかったのかもしれない、、、。



車のタイヤをパンクさせるという行き過ぎた行為から、見えざる


相手の恐ろしいまでの強い意志が感じ取れた。その日から、


帰宅時間が遅くなると駐車場に車を止めて、家に戻るまでの


距離が恐ろしく長く感じ、背後に張り付くような恐怖を感じるよう


になっていった。買い物をしていても、何となく誰かに付回さ


ているような気がするのだ。いや、間違いなく誰かが私の後を


つけている…。そう確信したことが何度かあった。そのまま部屋


に戻るのが怖くて、遠回りをして家に帰る事もあった。でも、一度


も相手の姿を見た事が無い私は、ただ神経が過敏になっていて


存在しない恐怖を勝手に作り上げているだけなのか、本当に


誰かに付回されているのか分からなくなってきた。だが、私が


過敏になって日々の生活に細心の注意を払えば払うほど、


不自然に思える出来事が徐々に減っていき、後をつけられて


いるような感覚も同様に薄らいでいったのだ。過ぎ去ってみれば…


「仕事で疲れていて、神経がちょっと過敏になっていただけ。


単なる思い過ごしだったんだ…。」と思えるようになりつつあった。


ようやく以前のような平穏な日々を取り戻し、安堵することができた…。



だが…それは束の間の安堵に過ぎなかった…。



その日は、連日のハードワークを省みて早くに帰宅した。家に


着いたら、ゆっくりと休養しようと思い、駐車場に車を滑り込ま


せた時、まだ周りは明るかった。周りが明るいというだけで、


随分と安心できるものなのだと知った。「これからは、もう少し


早くに帰宅するようにしよう…。」素直にそう思った。後部座席の


ドアを開け、上半身を車内に乗り入れて荷物を取り出そうとして


いると…突然、背後から何者かが近づいてくる気配を感じた。


硬い靴底がアスファルトの上の小石を噛むような音が聞こえ、


強い恐怖を感じた私は不安を払いのけるために後ろを振り返った。





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小さな変化

事故は取り返しのつかない傷を私の心と体に残してしまった


にもかかわらず、聡介と別れた後の私は、不思議なほどに


日々気持ちが穏やかだった。



ようやく平穏な日々に戻る事ができた私は、今で以上に仕事


のめりこんでいった。聡介と別れた事に安堵感を覚えつつも、


部屋に帰ってたった一人の時間が流れると、やはり孤独や将来


に対する、漠然とした不安のようなものが湧き上がるのだ。少し


でも長く仕事をしている方が、余計な事を感じる時間が少なく


済む。そして、寂しい話しだが仕事に打ち込んでいると、不思議


と気持ちが落ち着くのだ。



でも、決して目の前の仕事を惰性でこなしているわけではない。


新しい部署では、上司にも恵まれ最高の環境で働くことができた。


パッとしないプライベートに比べて、仕事の方は順風満帆だった。


自分が努力すればしただけ、確実に成果を出す事ができ、その


成果に見合った評価を得る事ができるのだ。次第に仕事が楽しく


なっていく中、今まで以上にストイックに仕事に打ち込み、、、


そして依存していった。仕事があるから生きているわけではないが、


少なくとも私にとって、仕事は生活するための糧だけではなく、


仕事をすることで、精神的に救われている部分が大きくなっていった。


これは、依存だろうか?仕事をする事でしか、孤独や漠然とした


不安感を打ち消す事が出来なかったのかもしれない。



仕事が忙しくなるにつれ、毎日の帰宅時間が徐々に遅くなって


いった。気力が充実していたからか、不思議と体の疲れは感じ


なかったのだが…それでも、些細な事に注意力が散漫になって


いたのは確かだ。ある日、ふと気づくと、ほぼ毎日のように私の


周囲で何かしら「小さな変化」が起こっている事に気づいた。



最初は、あまりにも小さな変化で感じ取る事ができなかった。


「何かが…不自然」だと気づかされたきっかけは…



ある夜、帰宅するとマンションの入り口に備え付けられたメール


ボックスの扉が、僅かに開いていた。毎回、きちんとロックして


いるはずなのに…そう思って、扉を閉めロックをかけた。だが、


翌日の夜に帰宅してメールボックスに手をかけると…ロックが


開いていた…。得体の知れない気持ち悪さを感じながらも、


疲れているから、ちゃんとロックしたつもりになっていたけど


上手くロックされていなかったのだろう…と、自分を納得させた。



それから、何度か気になる事が立て続けに起こった。仕事から


帰宅し、夜遅くにシャワーを浴びようと、蛇口を捻ったのだが…


全くお湯が出てこないのだ。よくよく考えた挙句、もう一度、


服に着替え、寒さに打ち震えながら外にあるガス栓をチェック


してみると…ガス栓が閉じられていたのだ。それは、明らかに


誰かが故意に閉じたものらしく、、、ガスメーターが設置されて


いる門扉が、いつもはしっかりと閉まっているはずなのに、この


日は私が手を掛ける前から数センチの隙間が生じていた。誰かが


意識的に扉を開けて、ガス栓を閉じたのだ。それは、得体の


知れない不安と恐怖を感じさせるに十分な出来事だった。



扉の前で「一体誰が?」と考え込んでいると、不意に何者かの


張り付くような視線を感じた気がして、身震いしながら部屋に


逃げ戻った。それからも、少しずつ少しずつ「…何かが不自然…。」


と思える出来事が、日々着実に増えていった。ある日は、小さな


昆虫の死骸がいくつも部屋のドアの前に、不自然なほど奇麗に


並べて置かれていたり…郵便受けに明らかにゴミと分かるような


紙屑が山盛りに入っていたり…車に何か得体の知れない液体が


付着していたり、細かな傷がつけられていたりした。



日々、着実に増えていく不気味な変化に、言い様のない不安を


感じながらも、どうすることもできず…ただ不安に苛まれながら


「きっと…偶然が重なっただけ…。」そう自分に言い聞かせて


恐怖を紛らわすことしか出来なかった。



それから暫くすると…今までの小さな変化とは違い、自分の存在を


はっきりと主張してくるような「明らかな変化」に気づかされた。





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社会人:聡介-その後-

聡介と別れて、どのぐらい経ってからだろうか…。携帯電話に


非通知で無言電話がかかって来る事が多くなっていった。あそこ


まで、自身満々の受け答えで別れたんだから…聡介は今頃その


「結婚を前提とした彼女」と幸せな日々を送っているに違いない、


そう思って疑わなかった私には、非通知電話の相手が、誰なのか


全く見当もつかなかった。



しかしある夜、深い眠りに落ちようとした矢先、携帯電話の呼び


出し音が静寂を打ち破った。待ちうけ画面を見ると、またいつもの


「番号非通知」である。「もしもし…?」寝ぼけながら電話に出ると


「もしもし…。」聞き覚えのある声に、一瞬にして眠気が吹き飛んだ。


「香奈…俺、聡介だけど…。」聡介の口調から、随分と酔っ払って


いるのが伝わってきた。「…。」今更よく電話してこれたものだと


絶句している私に、聡介が言う。「切らないで!ちょっとだけで


いいから話がしたいんだ。」「…なに?」半ば呆れながら答えると、


聡介は、酔いに任せて愚痴めいた話をこぼしはじめた。



本当に迷惑だ…こんな夜中に、しかもあんな別れ方をした相手の


人生相談に快くのれるほど、私はバカでもお人よしでもない。


聡介の話しは、「結婚前提の彼女」にこっぴどく振られたという話し


だったのだが、その話題が終わった後、信じられない事を口にした。


「香奈…お前が悔い改めるのなら、もう一度ヨリを戻してもいいと


思っているんだ…。」聡介のこの台詞を聞いた瞬間、意味が理解


できず頭の中に「マーク」が100個ほど飛び交った…。自分の


浮気は棚に上げて、私の何を悔い改めろというのか?呆れ返る


ほどの内容を一通り聞いた後、湧き上がる怒りを抑えながら答えた。


「で?なにが言いたいの?悪いけど、ヨリを戻す気なんて更々無い


から。第一、こんな時間に電話かけてくるなんて非常識だよね?


聡介、以前わたしの事を非常識な人間だって罵ったけど、自分が


今やってることのほうが、ずっと非常識だよね!」「ごめんごめん。


もしかして、こんな時間に電話したから気分を害した?」少し嘲り


笑いながらヘラヘラと答える聡介の声色からは、私が


ヨリを戻したい―と言うものだと信じて疑わない様子が伺えた。


「非常に迷惑です。もう一度はっきりと言うけど、土下座されても


ヨリなんて戻す気は全くないから、もう二度と電話してこないで!」


最後の方は、怒りの余り声が震えていた。私の怒声に、聡介は


絶句しているのか、受話器の向こう側からは沈黙しか流れてこな


かった。聡介が何かを話し始める前に、一方的に電話を切った。



電話を切った後も、しぶとく電話が鳴ったが、電源を切って完全


無視に徹した。その日は、あまりの屈辱に怒りで寝付く事ができなかった。



その後も、1ヶ月ほどの間、頻繁に聡介と思われる非通知電話が


かかってきた。凡そ無視していたのだが、うっかり受けてしまい、


相手が聡介だと分かった時は、有無を言わさずに切るようにした。


そのうち、非通知設定は全て着信拒否にすることで、聡介の亡霊は


私の生活から完全に姿を消していった。



私の記憶では、聡介と別れてから1年半ぐらい後にも一度、最後の


電話があったのだが、聡介の声だと判断した時点で直ぐに電話を


切った。どんな用があったのか今更知りたくも無いが、ここまで


何度も執拗に電話をかけてくる聡介に、怒りよりも「恐怖」を覚えた


のは確かだ。それから、今日まで聡介の消息は分からないのだが…


今もどこかで、モラハラの被害に遭っている人がいるのではないか


と思うと心が痛む。聡介との付き合いの後、私は今まで以上


男性に対して警戒心を持つようになった。警戒心というよりも、


理不尽な敵意や嫌悪感と言った方が近いのかもしれない…。


もちろん、全ての男性が聡介のような人間ではないということは、


十分に分かっていながらも、私は心を頑なに閉ざされ、自分の


生活の中から「恋愛」を徹底的に排除していった。そして…寂しい


話であるが、付き合う前の段階で「私にだけ優しい人」に対しては、


特に信用が置けず、強い心理的抵抗を感じずにはいられなくなって


しまった。私にだけ優しい人は、時が過ぎれば簡単に手のひらを返すから…。





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社会人:聡介-17-

思わず口を突いて出た言葉に、聡介の態度がいきなり豹変した。



「…ふざけんなよ!俺もお前みたいな女と、本気で結婚するわけ


ないだろう!だいたい…お前…鬱陶しいんだよ。いつもいつも、


自分は一生懸命に生きてるんだ、っていうような顔して。大した


人生経験も無く、甘やかされて育っただけの癖に!」唖然とした…


私の言葉が、聡介の自尊心を完全なまでに打ちのめしたのだろう


か…。両親から、十分な愛を与えられずに育った聡介にとって、


自分を否定されることは、何よりも耐え難い屈辱なのだ。居心地


のいい場所を探すために、幾度と無く会社を渡り歩いてきた聡介


にとって、自分より立場が低いと認識している私からの「拒絶」は


何よりも耐え難い屈辱だったのかもしれない。怒りが収まらない


聡介は、止めを刺そうと言わんばかりに次々と暴力的な言葉を


吐いていく。



「それに、お前の母親なんだよ!?下手したら娘が死んでたかも


しれない大事故を起こしたっていうのに、説教一つせずに『良かった』


だって?散々、周りの人間に迷惑かけた娘のことを一切怒らない


なんて信じられないよ…普通の親なら、説教の一つぐらいするもん


だよ!あんな甘い親だからお前みたいな、子供が育つんだよ!」




…頭の中心が怒りでクラクラと煮え滾っているのを感じた。事故を


起こした私の事を罵るならともかく、両親の事をバカにするなんて


…許せなかった。



気づいたら、聡介の言葉を遮るように叫んでいた。「私の両親の


ことを侮辱するのはやめて!はっきり言わせてもらうけど、聡介


と居ると息が詰まるの!またいつ、なじられるんだろうって、ビクビク


しながら顔色を伺って付き合ってても全然楽しくなんかない!一緒に


いるのが苦痛なの。お願いだから…もう別れて下さい!」




怒りを通り越したのか、聡介の顔が笑いで歪んだ。「おいおい、


お前が別れようなんていうんじゃないだろうな!ふざけんなよ。


俺が、お前と、別れたいんだよ。何で俺が、お前みたいな女に


振られなきゃいけないんだよ…笑わせるなよ!」叫ぶように言い


ながら、聡介が突然、私の体を突き飛ばした。…興奮してカッとなり


つい手が出たのかもしれない…だが、全く予想していなかった衝撃に


私の体はバランスを失い、足元がフラつき全身を壁に強く打ちつけた。


その衝撃で、まだ塞がっていない傷口がズキズキと疼きだす。



痛みを感じると、不思議と怒りで熱くなった頭が冷えわたっていくのが


分かった。これ以上、聡介を怒らせたら…次は本当に殴られるかも


しれない。もっと本格的な暴力に発展するかもしれない…亮二の時


みたいに…。壁際に寄りかかりながら怯えている私を勝ち誇った目で


見下しながら、聡介が口を開いた。



「いいよ…そっちがそのつもりなら、俺も本当の事を話すよ。俺は…


他に結婚を考えてる彼女がいるんだよ!」聡介が、勢いに任せて


口にした言葉は、明らかに私を傷つける目的で放たれたものだった。


一度口を開くと、聡介は興に乗ったのか、ペラペラと自分の浮気を


告白し、私に対する憎しみを言葉に乗せてぶつけてきた。聡介の話し


では、少し前の休日に会わなかったのは、他の女性と会っていたから


だという。以前、一緒に行ったお店だと頑として譲らなかったのも、


その女性と一緒に行った店だという。



浮気相手の彼女は、私と違って苦労して育ったから、向上心があるの


だと言う。いつも笑っていて、明るく…そして、家庭的だという。「お前


とは全く正反対の女性だよ!」そう言い切った。聡介との終わりは、


もうずっと前に感じていた。でも、ここまで関係が悪化するまで関係を


きっぱりと清算できなかったのは、私自身の責任でもある。



聡介の口から他に好きな人がいるといわれた時、正直、心の底から


深い深い安堵を覚えた。ホッとしたのだ…。これで、責められることも


詰られる事も、暴力を振るわれることもなく別れる事ができるのだと…


きっぱりと別れる理由ができたと。「…そう。」あっけに取られながらも、


深い安堵から気の抜けた返事をすると、都合良く聡介は私がショックを


受けていると解釈したらしく、「そういうわけだから、悪いけど、別れて


もらいたいんだ。」と、勝ち誇った顔で自ら別れを選ぶ言葉を発してくれた。



付き合っている相手から、「他に好きな人ができた」と言われ、自分の


欠点を延々と羅列されても自尊心が傷つくどころか、ただただ安堵の


思いだけが私の心を支配していた。聡介が悠々と部屋から出て行った後、


私は言いようの無い開放感を感じていた。やっと別れる事ができたのだ…。





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バトンを2本…

【四感で生きていく!嗅覚の無い男のブログ】―の「ダルバインさん」 と、

【新米主婦ちーこの生活】―の「ちーこさん」 からバトンを頂きました。

とても陰鬱な内容の
ブログであるにも関わらず、バトンを回して下さった

お二方、本当にありがとうございます。私の回答は、あまり面白くない

かもしれませんが、受け取らせていただきます。


まずは、ダルバインさんからのバトン。

【1】一日だけ自分以外の何か(人、物、動物、何でも)になれるとしたら

何or誰になって、何をする?
―いきなり難しいですね。男性になって、女性を口説いてみる、かな?

【2】今まで失敗した買い物はありますか?
多すぎて書けませんが、やはり衣類関係ですね…。反省してます。

【3】今まで見たドラマの中で一番のお気に入りは?

シリーズ物の海外ドラマ

【4】新しい年をどんな年にしたいですか?
ありきたりですが、充実した年に…

【5】今、一番欲しい物は?
現在の私に追いついた時に、記事の中に書くことになりそうです。

【6】10年後の自分像を熱く語ってください。
健康で、平穏な日々を送れていれば多くは望みません。

【7】一番最初に買ったCDは?(レコードは除いて下さい)。
ごめんなさい、覚えていません…汗

【8】最後に食べたい物は?
うーん…甘いもの


【9】映画化orドラマ化して貰いたい小説、漫画は?
一生懸命考えてみましたが分かりません。
ちなみに、映画はほとんど見ません、、、。



続いて、ちーこさんからのバトン。

【1】起きてまず始めにする事は?
顔を洗う

【2】これだけは欠かせない日常的な事は?
お風呂に入ること

【3】好きな食べ物を3つ挙げてください。
和食全般、梅干、あっさりした物

【4】嫌いな食べ物を3つ挙げてください。
肉類全般、香草、脂っこい物

【5】あなたが踏まれたくない地雷は?
過去

【6】ここ1週間で楽しかった事は?
残念なことに、今週は不調でした…

【7】ここ1週間で悲しかった事は?
現在の私に追いついたら、記事に書きます

【8】今使っているシャンプーは?
L'occitane

【9】お風呂は どこから洗う?
髪の毛

【10】あなたにとって恋愛は?
気力も体力も消耗するもの

【11】恋愛では手のひらで転がすタイプ?転がされるタイプ?
転がしているつもりが、気づいたら転がされているどころか、

グルングルン振り回されているタイプ…

【12】あなたの長所は?
どん底から這い上がる「しぶとさ」かな?

【13】あなたの短所は?
熱くなると、周りが一切見えなくなる点

【14】あなたを動物に例えると?
年老いた猫

【15】あなたの弱点は?
なんでしょうか?家族でしょうか。
家族の事になると、途端に心配性になります。

【16】寝る前に必ずする事は?
お香を焚く

【17】リラックス・ストレス発散方法は?
リラックス…好きな物に囲まれて生活し、美味しい物をたらふく食べる。

欲しいものを、好きなだけ買う。


ストレス発散…理不尽な叱責を受けた時は、その上司の戒名を考えてみる。

不思議と優しく接する事ができます…。

【18】1番好きな季節は?


【19】好きな香水・思い出の香水・毎日つけている香水は?
香水はつけません

【20】バトンを回す10人
すいません…こんなに回せる人が居ないので、止めます。

バトン使いたい方、受け取って下さい。


社会人:聡介-16-

聡介の口から懇々と続く詰りを遮るかのように、突然ドアホンが


鳴った。「きっと母だ!」そう思うと、聡介の攻撃から逃げられる


という安心感が、一気に押し寄せてきた。玄関へ駆け寄ってドア


を開けると…香奈…。」母が温かい腕で強く抱きしめてくれた。



母は一切、怒ることなく…とにかく命が無事であったことをポロ


ポロと涙を流しながら喜んでくれた、「良かった…良かった…


本当に良かった…。」と。そんな母と私のやりとりを、聡介は


ただ黙って部屋の隅からジッと見つめていた。



聡介の存在に気づいた母が、愛想よく挨拶をすると、聡介は


不機嫌な顔で軽く会釈をした程度だった。気遣って聡介に話し


かける母に、聡介が言った。「お母さん、怒らないんですか?


今回、こんな事故を起こして、周りに散々迷惑をかけたんですよ。」


聡介の言葉に、母は目を丸くして絶句した。何も言わい母と、


睨みつけるように部屋の隅に佇む聡介…。しばらく重苦しい沈黙が


続いた後、気まずい空気に耐えかねたのか、聡は、逃げるように


部屋を出て行った。聡介が帰った後、母が尋ねてきた。


「ね…香奈、今あの人と付き合ってるの?」「…一応、別れたんだ


けどね…。今回の事故のことを知って、訪ねて来たの。」「一応って…?


ちゃんと別れてないの?香奈…こんなこと言うのなんだけど…お母さん、


あの人だけは絶対に嫌!」「どうして?」「分からないけど…最初に


見た瞬間から、何となく香奈には合わないわ。理由は分からないけど、


すごく嫌なの…。それに…事故を起こして怪をしているのに、あんな


こと口にするなんて信じられないわよ!香奈は、あんな人と一緒に


居て楽しいの?」珍しく、激しい感情を露にする母に、戸惑いながらも


「今回の件が無ければ、このまま連絡を取らないつもりだったの…。


ちゃんと話し合って別れるつもりだから、心配しないで。」そう伝えると、


まだ不安そうな顔を見せながらも、納得してくれた。



それから、数時間後には出張先から父が駆けつけてきた。意外な


ことに父は、私の顔を見るなり大きな声で笑った。「なんだ香奈、


大した事ないじゃないか!よかった。」私の怪我…大した事ない


のかな?父の高らかな笑い声を聞いていると、醜く腫れあがって


いる患部も、何事もなかったかのように奇麗に治るような気がして


きた。酷い状態に、本当は、父も不安に押し潰されそうだったに


違いない…それなのに、私を不安にさせない一心で「大した事ない!」


と言ってくれたのだ。出張先から飛行機で駆けつけてくれた父は、


私の顔を見て30分もしないうちにまた仕事へと戻っていった。


たった30分だけにも関わらず、本当に、顔を見るためだけに


飛んできてくれた父の行動に、強い愛情を感じた。



それから数日の間、母は身の回りの世話を全てしてくれた。少し


ずつ傷口も塞がり、母が帰る頃には、食事も随分と食べられるよう


になっていた。母が帰って暫く経ったある日、聡介から電話がかか


ってきた。「お母さん、帰ったの?」「…うん。」「あのさ、今、近く


まで来てるんだけど話できるかな。」「…もう会わない方がいいと


思うの。」そういうと聡介は食い下がってきた。「会わないってどういう


意味で言ってるんだ?どちらにしても、会って話しした方がいいだろう。


今から行ってもいいだろ?」「部屋は・・・困るの。」「部屋じゃなくて、


どこか外で話をする?でも、香奈…怪我してるから周囲の視線が


気になるんじゃないか?」計算され尽くされたような口調で、聡介が言った


言葉に気持ちが沈んだ。「分かった…でも、あまり長くは話せないから。」


そう言うと、電話が切れて直ぐにドアホンが鳴った。



ドアを開けると、聡介がするりと滑り込んできた。ズカズカと部屋に


上がり、ソファーに腰を下ろすといきなり尋問のような攻撃が始った。


「ずっと聞こうと思ってたけど、あの日はお母さんがいて聞けなかった


んだ。」「…何?」「あの日、誰と会ってた?」あの日って?」


「事故の日だよ…。」友達だけど…。」「男の?」女性よ…。」


「ふーん。まぁいいや。」「嘘じゃないんだけど…。」「どっちでもいいよ…


ただ、これからはもう少し考えて行動してくれよ。」聡介は、もしかして


まだ付き合ってるつもりなのだろうか?「…。」それと、お前最近、


外食ばっかりだろ?二人で会う時ですら外で会おうとするし…。


どう考えても浮気しているとしか思えないんだよな。」それは…」


聡介と部屋で過ごすのが嫌だから、という言葉が喉元まで出掛かって


ハッとした。



「それは、何?」「…。」何も言い返せず沈黙で答えると、聡介の口から


信じられない言葉が飛び出した。「何も言えないんだろ?だいたい、


今回の件だって自分が事故を起こしておきながら、不都合な部分は


目を瞑って優しくしてもらいたい、って気持ちが見え見えなんだよ。


お前には、常識ってものが存在しないだよな。でも・・・いいよ、今回の


事は目を瞑ってやるから、これからはちゃんと常識を持って行動しろよ。


それから、前々から気になってたけど、食事支度もちゃんとしろよ!


料理もまともにしないようじゃ、お前との結婚は考えられないよ。」




結婚?私が?聡介と?…突然の台詞に頭が真っ白になっている


私に向って、聡介が続ける。「お前は結婚したいから、俺と一緒に


いるんだろう。ただ単に、結婚して早く会社をやめて、お気楽な


三食昼寝つきの生活がしたいだけなんだよ。第一、お前が俺と


付き合ってる理由は、俺が一流企業に勤めているかだろ…


安定した生活が欲しいんだろ?」妙齢の女性にとって「結婚がしたい


だけだ」という台詞は、どれほど暴力的なものか…。その言葉だけで、


どれだけ深く自尊心を傷つけられることか…。



私は…強がりなどでは決して無く、聡介との結婚は考えていなかった。


もし仮に聡介と結婚なんて事になったら、一生地獄のような日々に


なるのが目に見えていた。籠の鳥で、何を楽しめるわけでもなく、


死ぬまで家政婦のように扱われる人生が安易に想像できた。


「私、聡介との結婚なんて考えてない…!」呆然としたまま思わず、


口を突いて出た言葉に、聡介の態度がいきなり豹変した。





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社会人:聡介-15-

ドアを開けると、そこには久々に見る聡介が立っていた。部屋に


入った後、二人して押し黙ったままの重苦しい時間が流れた。


随分と時間が経って、ようやく開かれた聡介の口から出た言葉


は…「お前さ…何やってるんだよ…。」やっぱり私を責める言葉


の数々でしかなかった。「相手が信号無視したとかそんなことは


関係ないんだよ。」「お前が注意していれば事故はおきなかった


んだ…。」怪我をして、まだ会話をすることすら辛い私に、新たに


傷をえぐるような言葉の数々を投げかけてくる。耳を塞ぎたくなる


ほどの衝動に耐えかねて私は聡介に反論した。聡介は…事故の


ことを責めるために、わざわざココへ来たの?私の体を心配する


言葉なんて、一切ないんだね!ただ私を責めたいだけなら、帰って!


もう、聡介と会うつもりは無かったの。」もう、これ以上、傷つきたく


ない…あまりにも情けなくて涙がこぼれる。私が流した涙を見て、


聡介が怒鳴り出した。



「ふざけんなよ!俺に、お前の体の心配をしろだと?お前、自分が


どんなことをしでかしたか分かってるのかよ!それを棚にあげて、


自分のことを心配しろなんてどこまで我ままなんだよ。お前、


もしかして自分が悲劇のヒロインだと思ってるんじゃないのか?


全く…反省ってものを知らないんだよ、お前は。呆れるよ…。」


聡介は言い澱むことなく、鼻で笑いながら吐き捨てるかのように


言い放った。体、大丈夫か?」その一言を望むことは我侭なの


だろうか?たとえ、その言葉を掛けられなくても事故で傷ついた


直後に、執拗にネチネチと責められるなんて、僅かに残っている


気力を消耗するだけだ、、、そう思う事自体、反省していない事


なのだろうか…。



聡介からすれば「言い訳」になる事だが、今回の事故は、防ぎようが


無かったと警察からも言われた。交差点内の事故ということで、


私に過失が全くない訳ではないが、それでも警察からは


「どうすることも出来なかった事故だから…早く忘れるように。」


言われたのだ。「運が悪かった。」その一言で片付けられるほど、


まだ時間は経過していないのだ…。事故の記憶は手に取るように


生々しく、鮮明な画像を伴って頭の中に浮かび上がる。傷を負った


患部は、事故の直後から醜くいほどに腫れあがり、外出すれば


周囲からの好奇の視線に晒される。私は…また自分の体に目に


見えて残る大きな傷を作ってしまったのだ…。この事故で体だけ


じゃなく、心にも深い傷が残された事を日々実感しつつある私に


とって…聡介からの偏執的なまでの追及は、私の精神状態を


確実に追い込んだ。





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社会人:聡介-14-

大きな怪我を負ったものの、事故時の衝撃の凄まじさから


見れば驚くほど早く自宅療養できる事となった。それでも、


まだ普通の生活ができるような状態ではなく、食事をする


のも一人ではままならない上に、会話もおぼつかない状態


だった。



自宅に戻った後、ホッとしたのも束の間、直ぐに両親の顔が


頭に浮かび上がり、気持ちが一気に塞ぎこむ…。きっと、この


ことを知ったら両親は心配するに違いない。母をまた…泣かせ


てしまうかもしれない…母の涙を思うと、なかなか電話をする


気持ちになれなかった。意を決して、電話の受話器を取り、


不自由な手つきで、ぎこちなくダイヤルをプッシュしていく。


だが、、、ダイヤルボタンを押す指先が小刻みに震える。一度


受話器を置いて、手の平を強く握り締めてみると…ふと昔の


自分を思い出した。亮二に連れて行かれたあの街で、夕闇が


静かに降りる中、何度も何度も受話器を置いては電話をためら


っていた自分を思い出した。私は、あれから…何一つ変わって


いないんじゃないか…。


最後のダイヤルを押して、呼出音が鳴る。電話が繋がるまでの


時間が恐ろしく長く感じられた。「はい…望月です。」母の声だった。


「もしもし…。」香奈?どうしたの、こんな時間に…珍しいわね。」


「…。」「もしかして、何かあったの!?」「うん…。」「何があったの!?」


母の声が悲鳴のように喉の奥から搾り出された。



その声を聞いた途端、胸の辺りが強く締め付けられ涙が溢れた。


「あのね…お母さん…私、事故を起こしたの。それで…大怪我を


してしまって車も廃車になるみたい。」一気に言うと「体は!?


体は大丈夫なの?どこか痛いところは?怪我は、どんな状態なの?」


矢継ぎ早に、呼吸を忘れた母の声が受話器の向こうから飛んで


きた。母の動揺が受話器の向こうからピリピリと伝わってきて、


罪悪感に苛まれ涙がが溢れた。「お母さん…心配かけてごめんなさい。」


一頻り泣いた後、母は私の気持ちを落ち着けるために、穏やかな


声で話し始めた。「香奈、こうやって電話してきて声を聞けるって


ことは、香奈が今生きてるってことだから。良かった…。今から、


そっちに向うから、香奈は少し横になっていなさい。きっと、あまり


寝てないんでしょ?お母さんが行ったら、起こしてあげるから。ね?」


体に出来た生々しい傷よりも、心の方がずっと痛んだ。



それから母が来てくれるまでの間、少しだけでも眠ろうとしたが、


頭の中が混沌とし過ぎていて疲れが深く眠る事もできない。


それでも、気持ちを休めるために、静かに目を瞑って横になって


いた。随分とたってから、遠くから何か音が聞こえてきた。


その時になって、少しまどろんでいたことに気づいた…。突然、


はっきりとした音が耳に届いた。ドアホンだ…。「誰…?」時計を


見てみると、母にしては、到着が早すぎる。「はい…。」ドアホンに


向って声をかけたが、かすれた声しか出てこなかった。



「俺…聡介だよ。…会社の方に電話したら事故に遭ったって


聞いたから…。」重い沈黙が流れる。まだ頭の芯が熱を帯びて


クラクラしているからか、聡介の声を聞いてもどういう対応を


すれば良いのか分からない…。もう会わないと決めたはずなのに、


こうやってドア一枚挟んだ向こう側に、聡介が立っているのかと


思うと頭が混乱した。私は、言葉を選んで聡介に言った。


「…もう少ししたら、両親が来るの…。父は出張先だから、もう少し


来るのに時間がかかるけど、今日は今から両親が来るから…。」


やんわりとだが、帰って欲しいという意思表示をしたつもりだった


のに…聡介からの返事は「そうか…じゃぁ、お母さんにちょっと


だけ挨拶してから帰るよ。」というものだった。



その声は有無を言わさないもので、命令に近い口調に聞いて


取れた。事故を起こしてしまったという罪悪感も手伝ってか、


聡介の言葉に半ば諦めの気持ちを感じながら、ドアに手をかけた。





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社会人:聡介-13-

その日、いつものように仕事が終わってから友人達と食事を


していた。翌日が休みだったこともあり、遅い時間までお店を


はしごしていたのだが、その日は仕事の関係もあって私は車


で出かけていた。



「そろそろ解散しようか。」という話が出た頃には、既に夜も12時


を回っていた。「香奈、気をつけて帰ってね。」友達の一人が、


言う言葉に「大丈夫よ。」と答えると「みんな電車だけど、香奈


だけ車だから。雨も降りそうだし、気をつけて帰るのよ。」そう


言って念を押した。「うん、気をつけて帰るね。またね。」そう


言って、友人達と別れた後、私は車で帰路についた。



自宅まで、約30分…途中で少し雨が振り出し、大きな交差点


に差し掛かった瞬間…私の視界に突然、白い物が飛び込んで


きた。今まで、視界に全く存在しなかった物体が突如、目の前


に飛び混んできたのだ。一瞬、何が起こっているのか理解でき


なかった全ての思考が遮断された頭が、動き出した時、私の体


は危険を察知し思い切りブレーキを踏み込んだ。



目の前に現れた白い物体は…赤信号を無視して交差点に進入


してきた中型のトラックだった。勢い良く踏み込んだブレーキは


タイヤをロックし、ただ無抵抗のまま衝撃を受け入れることしか


出来なかった。



突然目の前に現れた車と衝突する、僅か「0.何秒」の間に、


色んな事が脳裏を駆け巡った。最後に浮かんだのは、両親の顔


だった。それと同時に「お母さん!」と小さな悲鳴を上げ…そして


次の瞬間、全身に激しい衝撃が走り私の記憶は、霧に覆われた


視界のように薄れていった。



意識のはるか彼方で、沢山の人がざわめく声が聞こえてくる。


女性の、か細い悲鳴のような声…男性の怒声…それらの音に


混ざって、サイレンのような音が徐々に近づいてくる。ただ、


遠くから籠もったように聞こえてくる音を、無意識に受け入れ


だけで、何が起こったのか考える事すら出来なかった。



突然「大丈夫ですか!!」と、耳元で誰かが大きな声を上げる。


薄っすらと目を開くと、ぼんやりとした視界に男性の姿が浮かび


上がる。「今、救急車が来るから頑張って!!」救急車?


…私、今どうなってるの?必死に、自分の状況を知ろうと体を


動かしてみるが、全く力が入らず起き上がる事もできない。


視線を落とすと、仰向けに寝転んでいる自分の胸元が飛び込ん


できた。そこには、何か黒い物がべっとりと広がっていて…最初


は何がなんだか分からなかったのだが、よくよく見つめていると、


その「黒い物」は血液をたくさん吸った服の生地であることが


わかった。耳元で叫び続ける声に向って、何かしゃべろうと口を


開くが声にならない。「…。」声の変わりに、ブクブクという音を


発しながら口内から生暖かい何かが流れ出し、首筋を伝っていく。



そっと手を動かしてみる。右手が動く事に気づいて、口元に指を


這わせると「ヌルリ」とした感触が指先に伝わってきた。血だ…。


それが血だと分かった瞬間、私の頭の中心はジリジリと痺れを


発しながらも恐ろしく冴え渡っていった…。こんなに血が出て


いるのに、体中どこも痛くない…痛みを感じない…「もしかしたら、


私…このまま死ぬのかもしれない。」そう感じた後、次に意識を


取り戻すまで、私の記憶は途切れた。



眩しいまでの光に目を細め、再び意識を取り戻したのは、手術


台の上だった。何かが起こった事は確かだったが、突然の出来


事で頭が混乱しているのか、自分の置かれている状況が上手く


飲み込めない。横で看護師の女性が「頑張って!頑張って!」


何度も繰返し、力強く手を握り続けてくれた。



薄れゆく記憶。意識は混沌としていて、断片的な記憶しか頭の


中に浮かんでこない。ただ…痛みを感じない体、混乱した頭で


「なんで、私がこんな目に遭わなくちゃいけないんだろう…。」


そのことばかりが頭の中をグルグルと駆け巡った。



この事故での後遺症や、怪我をした箇所や状況などについては、


これ以上、書けそうにない…。次の記事から、事故後の話になる


ことを了承ください。。。ただ、後になって警察から聞かされたのは


「とても大きな事故で、大怪我を負ったものの、致命傷を受ける事


もなく…命がある事が奇跡だ。」…という事だった。





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社会人:聡介-12-

その日は、仕事が終わってから、一緒に食事に行く事になっていた。


私が住んでいるところと、聡介が住んでいるところは離れていたため、


中間地点にあたる駅で待ち合わせをしていた。



会った時から、珍しく聡介の機嫌が良かった。「香奈、今日は


焼き鳥でも食べに行こうか。」そういって、お店の名前を言うのだが、


私の記憶の中にはないお店だ。「どこにあるお店なの?」そう聞くと、


聡介は怪訝な顔で「え?前に一緒に行っただろう?」と威圧的に


答えた。「…行ってないけど。それ私じゃなくて、前の彼女なんじゃ…」


そこまで言った時、突然聡介がキレだした。聡介を責めるような


口調では、一切話していない。そんなヘマはしない…。細心の


注意を払って掛けた言葉に対して、聡介は理不尽な怒りを爆発


させたのだ。



「はぁ?間違いなく、一緒に行ったよ!お前が忘れてるだけだよ!!」


「人が連れて行ってやった店を忘れるなんて、最低だな!一緒に、


ビールを飲んだじゃないか!」繰り返される罵倒を、ただ黙って


聞いていた。絶対に私ではない。以前にも書いたが、記憶力だけ


は自信があるのだ…。「一緒にビールを飲んだ」という台詞を吐き


捨てたところで、聡介は「はっ!」とした表情に切り替わった。


ようやく気づいたようだ…そのお店に行った相手が私ではないことを…。


私は下戸である。お酒は一切飲めないのだ…そのことに気づいた


聡介は、「チッ」としたうちをした後、私を一人残してその場を去って


いった。



私は、聡介が立ち去った後もただ呆然と立ち尽くすだけだった。


聡介から怒鳴られている時から、ずっと、周りの人達からの白い目線


が肌に突き刺さるように感じられる。聡介の口から吐き出されるなじり


の言葉に必死で耐えたが…聡介は自分の間違いに気づいた後も、


一言も謝る事はなく、悪いのはお前だと言わんばかりに、怒りに満ちた


一瞥を残して去ってしまったのだ。



私の中では、決定的な出来事だった。外であっても関係なく、人目を


憚ることなく大勢の前で詰られるのだ。もう聡介と一緒にいることすら


恐怖であった。これ以上、自分の中に残っている「自尊心」や「尊厳」


をすり減らしたくなかった。



本当は聡介と一緒に居ることが、少し前から徐々に苦痛になりつつ


あったのに、ずっと我慢していたのだ。もし、私が「別れよう。」と言えば、


今ギリギリのところで踏ん張っている聡介の精神が、一気に暴走


するような…そんな見えざる恐怖を感じていた。今の聡介は、


表面張力で水が一杯になっている状態と同じなのだ。私が、別れる


と言えば、聡介のプライドを傷つけ、怒りの表現方法が言葉での詰り


だけではなく、暴力などの実力行使に移る気がしてならなかった。



狭い空間、威圧的な態度…気づいたら暴力に摩り替って、壮絶な


地獄の日々を彷徨うことになった過去と、今の状況を否応なしに


結びつけてしまうのだ。



この日、聡介が立ち去ったあと罵倒を受けた事に関しては、驚きと


ショックを隠せなかったが、でも心のどこかで少し安心している


自分を感じていた。このまま、別れる事ができるかもしれない…と。


それから1週間たっても聡介からの連絡は無く、私自身も連絡する


つもりは無かった。不思議な事に聡介と連絡を取らない、1週間は


「寂しさ」や「孤独」など無縁で、気力も充実し楽しい日々を過ごし


ていた。



会社の同僚や、友人と気兼ねなく終電間際まで食事やおしゃべりを


楽しむことができる。ただ、それだけのことでも、自分が今まで


聡介の存在にどれだけ抑圧されていたのか痛感させられた。



もう、このまま聡介と関わりあうことも無く、穏やかに時間が過ぎて


いくものだと思っていた矢先…更なる不幸が私に襲い掛かった…。





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